スティル・ライフ

  • 117人登録
  • 3.81評価
    • (16)
    • (21)
    • (26)
    • (1)
    • (0)
  • 36レビュー
著者 : 池澤夏樹
  • 中央公論社 (1988年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120016523

スティル・ライフの感想・レビュー・書評

  • 星の観察をする気分だろうか。手が届くようで届かない話。しかし、リアリティとは隔絶した小説。

  • 読み終わった後のこの不思議な感覚は何だろう‥
    テレビの音声を消して映像だけで世界遺産の風景を視ているような、
    静かで俯瞰的な感覚。
    あるいはプラネタリウムに映し出された星座群が
    降りかかってくるような‥。
    しかし天体や景観の話ではなく、そういった“広い世界”が
    自分の内側にもあり、それが外の世界と上手く呼応し調和できた時、
    人は風のように、波のように、生きるのが楽になると説いている。

    主人公の“ぼく”はアルバイトの染色工場で出会った佐々井とう男に、
    奇妙な仕事を依頼される。
    ミステリーめいた謎を秘めながらも作者独特の
    美しい日本語に感嘆させられる。
    一つ一つの言葉の持つ煌めきと静かな語り口が
    読み手の心に心象風景を生むでしょう。癒しの一冊。
    図書館で借りて再読。芥川賞受賞作。

  • スティルライフのほうが気に入った。出足の不思議な話からネタばれまでがなかなか良い感じの運び。もう1つのヤーチャイカは等身大で過ごしたのでふむふむと読み進むことができた。

  • 著者の名前は知っていたが、小説は初めて。

    この本の前に翻訳した「鳥とけものと親類達」を読んだのがきっかけ。

    訳が好ましくて流れ着いた。

    その前に森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」に出てきたのがきっかけ。で、この本を読んだのも偶々。

    こういうつながりは面白い。

    池澤夏樹、名前が村上春樹に似ているし、文章もどこか似ている。他の人も多々言及しているようだが。

    本書に掲載されている2つの中編、「スティル・ライフ」も「ヤー・チャイカ」も共に大変好ましい小説である。

  • 初池澤夏樹。知らずに読みましたが芥川賞受賞作品
    だったんですね。1987年、ということでほぼ30年前。

    30年前だからでしょうか。起こる出来事は
    犯罪も含まれているのにサラッとしていて
    さほど巧妙でもなさそうなのに成功していたり
    するのでそういった部分を楽しむ小説ではなく
    ただただ池澤氏の文章を味わって楽しむ、というのが
    楽しみ方なのでしょう。とても繊細で美しい文章でした。

  • 再読。やっぱり面白い。

  • 面白い!
    主人公が知的で、会話も洗練されていて、文章全体の雰囲気がいい!
    殺人も婦女暴行もない。でも謎があり解決がある。そういうのって、いいよ。
    ネタバレしない範囲でいうと、真似してグラスにウイスキーを注いで飲みたくなるし、山のスライドショーもやってみたくなる。
    そんなかんじかな。
    星四つの理由は、短編小説かつ2つしか無かったので、少しだけ満点と差をつけてみました。

  • 冒頭がすごく好き。

  • 1987下半期 芥川賞

  • 図書館で借りたが積読で返却

  • 『スティル・ライフ』のみ読了。
    佐々井が自分かと思った

  • 2つの話に上品な静けさを感じた。かっこよくいうと静謐。具体的なこと何も書かれていなかったけど、すごく感傷的な心象風景が浮かんだ。不思議だった。

    ヤー・チャイカ(わたしはカモメ)のことを知れてうれしかった。カンナは物事を客観的に見れる、鳥のように俯瞰できる人間になるのだろう。恐竜の話はカンナの夢化、もしくはパラレルワールドの彼女なのだろうか。いずれにせよ圧倒的な切なさを感じてしまった。
    なんなんだこれは。

  • 染色工場で会った男、佐々井と主人公の話。
    佐々井はちょっと変わっていてその秘密がありそうではあるものの主人公は問い詰めない。
    彼から手伝って欲しいといわれ二つ返事で手伝うことに。
    彼の荷物がほとんどなく世捨ての旅人のような身軽さだった。

    その荷物の少なさと生き方が独特で興味深い。

  • コップの水を見つめて「チェレンコフ光を探している」という佐々井。そして静かに去っていった佐々井。
    宇宙の果てから地上へ毎秒一兆ほども降ってくる微粒子ニュートリノ。しかしそれと反応することはなく、ただ過ぎてゆく日々を、生きるだけの「ぼく」。
    そこへふと現れた彼。…それは、コップの中の「ぼく」と、天文学的な確率で奇跡的に邂逅した、一個の微粒子だったのだ。


    そうして彼は消えていった、一筋の光を放って。…

  • 最初の文章に心を鷲掴みに...

    とにかく出だしの文章は静かで...
    そしてとてもドキリと来る。

  • 染色工場で知り合った二人の面白いストーリーです。
    本を読み終わった後の余韻は格別なものがありました。

    一部抜粋。    

    「何でも店で売っているからね。 自分の手元に置かないで、店という倉庫に預けてあると思えばいい。 出庫伝票の代わりにお金を使うだけさ。 着るものは安いのを買って、一シーズンでおしまいにする。 書類は即座に始末する。 本は文庫本で、読んだらやはり始末する。 鍋や茶碗の類は最小限。 家具は持たない。 寝具はシュラフ。そのつもりになれば、そう難しいことじゃないさ」

    こういう感じまで持っていけたらいいなと思う。 

    スティルライフは面白いけど、ヤー・チャイカはそんなにだったの星4つ。

  • 私はものすごく偏った読書をします。

    好きになった作家さんの本を全部網羅する勢いで読み、
    ほかの人には見向きもしませんでした。
    しかも、同じ本を繰り返し繰り返し読むので、
    なかなか読書の幅が広がりません。

    そんなんじゃつまらないなぁと最近になって思うようになりました。
    それで、今まで手に取らなかった人の本も読んでみるようになりました。

    池澤夏樹さん。もちろん名前は聞いたことがあったけれど、まだ未知の世界。

    10ページほど読んだところで、もう大好きになりました。

    登場人物たちはみな、
    一つのことにゆっくりと思いをめぐらせる時間を持っていて、
    そのことがとてもうらやましくなりました。

    日々の生活ってそんなにドラマチックな激しさはなくて、もっと淡々と進んでいくものなのに、なんだかこのごろの映画やドラマや小説は、そうじゃない気がする。
    胸を切り裂くような事件や、立ち直れなくなるような悩みに翻弄されてばかり。

    でも、日々の生活の事件や悩みは、冬の乾燥した日にうっかり紙で手を切ってしまうような
    誰にも分からないけれど、本人だけがちくちくと痛む、そんなものなんじゃないかな。

    何が言いたいのか若干分からなくなってきたけれど、池澤さんの作品に出てくる人物は、
    自分の価値観というガラス越しに世界を淡々と見つめている、そんな印象でした。
    友人の犯罪も、自分の離婚も、娘の将来も。

    もう一つ収録されている、「ヤー・チャイカ」もよかったです。
    寝る前に読んでいたら、濃霧に覆われた夢を見ました(笑)

  • 終盤急に現実的な雰囲気になってしまい残念。
    これも小説を読むきっかけになった本。

  • 故郷を離れるとき、意図して実家に置いてきた1冊。
    帰省するたび、抜けるような青空の日に、または台風の嵐の中で、時には夜中の小さな灯りの下、郷里とはかけ離れたイメージに没頭する。
    後に作家の池澤氏が故郷に移り住んだと知った時には、目玉が飛び出るかと言うくらい驚いた。

    一生、読み続けるだろうし読み続けたい。

  • 芥川賞ってなんで面白くないんだろ?書評を見てこれは例外かと思たらやっぱり面白くない.こんな話書いてて楽しいのかなあ?何か書く意味があるのかなあ?

  • 『ノルウェイの森』の後に読んだせいか淡々とした世界観、流れに逆らわない日常を送る主人公が少し似てた。

  • 2008/3/8〜3/9
    しっとりと透明感のある静かな本でした。星を見上げるとふと思い出してしまう本になりそう。主人公と佐々井のような生き方はできない人種なので羨ましくも思ったり。
    『この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。』 冒頭より

  • 聴き慣れた音楽のような言葉の連鎖。
    スッと入ってきて、体の中でほどけていくみたいな感覚がありました。
    不思議な読書体験。ずっと大事にする一冊だと思います。

全36件中 1 - 25件を表示

スティル・ライフを本棚に「読みたい」で登録しているひと

スティル・ライフを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

スティル・ライフを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

スティル・ライフを本棚に「積読」で登録しているひと

スティル・ライフのKindle版

スティル・ライフの文庫

ツイートする