TUGUMI

著者 :
  • 中央公論新社
3.83
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120017759

感想・レビュー・書評

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  • この頃の吉本ばなな作品が好き。

  • 海辺にある山本旅館の次女「つぐみ」は、幼い頃から病弱なためにわがままに育つ。つぐみと同い年で旅館の女将の姪にあたる「まりあ」は、小さい頃からつぐみと一緒に育ち、つぐみの壊れそうにみえて実は強烈に強い心を誰よりも知っている。▼物語そのものにはそれほど惹かれなかった。現実離れしているところが多い。しかしつぐみを中心に、二十歳前の女性たちの心情が生き生きと描かれている。病弱な傷んだ心をもつつぐみが、強く真っ直ぐ、弱みを見せずに生きるのも潔い。

  • 人物の描写や展開は少しやり過ぎな部分は感じるけど、個人的にちょうどいい明るさの本で面白かった。死があるから生があるということなのか・・・。でもちょっと前に「哀しい予感」を読んだと思ったら、もうそれも4年前・・・時間過ぎるの早っ!!(笑)

  • フランスに住んで、久しぶりに日本の小説が読みたくなって手にした1冊。吉本ばなな初めて読んだ。彼女の手から溢れてくる表現の豊かさに、日本語の美しさを改めて感じた1日だった。

  • これも映画化されている作品。つぐみという、めちゃくちゃな女の子の話。

  • ・「それはいやな奴というより、むしろ変な奴ね」
    私は言った。
    「そう、わけのわかんない奴。いつもまわりにどこかなじめないし、自分でも何だかわかんない自分をとめられず、どこへ行きつくのかもわかんない、それでもきっと正しいっていうのがいいな」
    つぐみは暗い海をまっすぐ見つめてさわやかに言った。

    ・時々、不思議な夜がある。
    少し空間がずれてしまったような、すべてのものがいっぺんに見えてしまいそうな夜だ。寝つかれずに聞き続ける柱時計のひびきと、天井に射してくる月光は、私がまだほんの小さかった頃と同じように闇を支配する。
    夜は永遠だ。そして、昔はもっとはるかに夜が永かったように思う。何かの匂いがかすかにする。それは多分、あまりかすかなので甘く感じる、別れの匂いなのだろう。

    ・あの夜、つぐみは浜で白い石ころをひろい、それを本棚のすみっこにずっと今も置いてあるのだ。つぐみがあの夜、どういう気持ちだったのかは知らない。どんな気持ちがその石ころにこもっているのかも、わからない。
    案外、いいかげんなことなのかもしれなかった。でも私は、あらゆる点で、つぐみが「生の人間であること」を忘れそうになる度にその石ころのことと、あの夜、はだしで外に出て、歩かずにはいられなかった幼いつぐみのことを思い出して、なんとなくもの哀しく、冷静になるのだった。

    ・「ねぇ、おまえ、恭一」とつぐみが飛び出しそうな大きい瞳を見開いて言った。「おまえにずっと会いたかったんだ。また、会えるか?」
    私はぎょっとしたが、相手はもっとぎょっとしたらしく、しばらく沈黙してから、
    「・・・うん。俺は夏中ここにいる。権五郎を連れていつもうろうろしているし、中浜屋ってとこに泊まってるんだ。場所、わかるか?」
    「わかる」
    「いつでも訪ねてきてくれ、姓は武内だからな」
    「わかった」つぐみは、うなずいた。

    ・「どんな時でも、こんなに何もかもに対して無関心になったことなんてない。本当に何かがあたしの中から出ていってしまったようだ。今までは、死ぬことなんて何とも思っていなかった。でも、今はこわいんだ。自分を駆りたてようとしても、いら立つばかりで何も出てこない。真夜中に、そういうことを考えているんだ。このまま調子が戻らなかったら、死ぬ、そういう気がする。今、あたしの中には激情が何ひとつない、こんなことは初めてだ。何に対する憎しみもない。自分がちっぽけな病床の少女になっちまったみたいだ。一枚ずつ葉が散っていくのが本気で怖ろしかった奴の気分がわかるんだ。そして、まわりの奴らがこれから、少しずつ今までより弱っちまったあたしのことをバカにしはじめて、少しずつ影が薄くなってゆくことを思うと気が狂いそうだ」

  • 破天荒で男勝りな口調の病弱な美少女・つぐみが主人公の話です。
    つぐみの自己中心的とも言える騒動に周りは巻き込まれるのですがいい人ばかりです。

    ストーリー全体も特別な何かがあるわけでもないんですが甘酸っぱいような切ないような不思議なものばかり。
    でも最後はつぐみは本当に死んじゃうのかと思って焦りました(笑)

    私も何もない海の町に旅行に行きたくなりました。

  • よしもとばななさんの著書の中では、好きです。

  • 西伊豆土肥が舞台と聞いて、一気読み。
    秋になった季節の描写が秀逸。
    映画は、同じ西伊豆の松崎町が舞台とのこと。
    映画も見てみたくなった。

  • 読んだのはもう随分と昔で、内容を覚えてないので、評価はなしで。また、読んでみたいと思います。

    確か、牧瀬里穂さんが主演で、映画になりましたよね?

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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