パラレルワールド・ラブストーリー

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120024009

作品紹介・あらすじ

「記憶」のなかで君を愛してる。俺は親友の恋人を手に入れるために"本当の過去"でいったい何をしたのか。会心の長編青春ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • この作品が初めて読んだ東野圭吾作品。

    当時はまだ、作家さんの名前なんて
    知らずに、パラレルワールドっていう
    ワードだけで読みました。

    SFすぎずミステリー要素を持っていて、
    小説の面白さと読み終えた達成感を
    味わえた作品でした。

  •  記憶の一部を書き換える操作によって発生した出来事をモチーフとした作品で、厳密な意味でのパラレルワールド(パラレルに同時並行して存在する世界)ではない。パラレルワールドとは次のようなものではないだろうか。

    鴻上尚史作・演出の舞台「ファントム・ペイン」(2001年、第三舞台)から抜粋。

    「サキ あなたは愛する人と電車に乗っている。やがて、愛する人の住む駅に着き、愛する人はホームに降りる。あなたはついていきたいと思う。すべてを捨てて、ついて行きたいと思う。
     その時、あなたが強く思った時、世界は分裂する。ホームに降りたあなたとホームに降りなかったあなたの世界に分裂する。それをパラレルワールドという。
     もちろん、ホームに降りなかったあなたは、ホームに降りたあなたを知らない。ホームに降りなかったあなたは、降りなかった自分を責める。けれど、もうひとつの世界では、あなたはホームに降りている。もうひとつの世界のあなたは、ホームに降り、愛する人に駆け寄る。そこから始まる別な物語を、ホームに降りなかったあなたは知らない。

    山室 けれど、想像することはできる。二度と会うことはないもうひとつの世界の自分が何を感じているのか、ホームを駆けながら何を思っているのか。想像することはできる。

    サキ 私は想像する。もうひとつの世界に行った人達を。――― もうひとつの世界に行ったと思われている人達を。」


    (あらすじ)
     敦賀崇史は大学院生の頃、毎日乗っていた電車と並走する電車(山手線、京浜東北線)で火曜日にだけ見かける女性(津野麻由子)に一目惚れをする。崇史は一度だけ声をかけようとしたが、それもできず麻由子を見かけることはなくなってしまう。

     脳の研究者となったある日、崇史は同じ研究所で働く親友の三輪智彦から彼女を紹介されるが、なんとその女性は麻由子だった。

     崇史がある朝目覚めると、自分の部屋で朝食を作っている麻由子の姿があった。崇史の記憶の中では彼女は崇史の恋人であり、智彦の紹介でふたりは付き合っている。

     ふたりの仲は順調で幸せを感じていた崇史だが、やがてある疑問を持つようになる。それは、親友であるはずの智彦の存在を自分がないがしろにしていること、また、麻由子は智彦の恋人として自分に紹介されたのではなかったか、ということ。

     麻由子が「親友の恋人である」という現実と、「自分の恋人である」と言う現実。同時進行する2つの世界で、愛する女性と親友の間で翻弄されながら真実を求めた先にあるものとは・・・

  • 東野先生の、数少ないあるファンタジー要素のある作品の一つ。
    ファンタジーと言っていいのかわからないけれど。秘密、変身、分身と近いジャンルかな、と勝手に考えています。サスペンス、ホラーとはまた違ったヒヤッと感がある、個人的にも好きなジャンルです。

    こちらは、脳や記憶を研究する機関で働く主人公・崇史と、その親友・智彦
    、智彦の彼女である麻由子をめぐる三角関係が描かれる。
    崇史の視点で、二つの物語が交互に進行していき、まさにそれは二つのパラレルワールドのよう。
    ファンタジーなんだけど、緻密に設定されているため、本当にありそう…と思わせるところは、さすが東野先生!
    こちら、キスマイの玉森くんが主演で、映画化されている。こちらも見てみたい!

    台風により、今日は家で過ごしています。もう一冊読もうかな。
    みなさまも、くれぐれもお気をつけください!

  • 嫁さんが図書館で借りてきていた「東野圭吾」の長篇ミステリー『パラレルワールド・ラブストーリー』を読みました。

    「東野圭吾」作品は、先日読んだ『麒麟の翼』以来ですね。

    -----story-------------
    親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。
    "本当の過去"を取り戻すため、"記憶"と"真実"のはざまを辿る「敦賀崇史」。
    錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。
    精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?
    傑作長編ミステリー。
    -----------------------

    序章において主人公「敦賀崇史」は、京浜東北線で「津野麻由子」と出会い憧れを抱く… そして、その後は時代が微妙に異なる二つの物語が交互に展開、、、

    ひとつの物語では、主人公「敦賀崇史」は中学生時代からの親友「三輪智彦」と共にバイテック社に入社し、新入社員の中でも特に優秀な人材を集め最先端技術の研究と英才教育を行うMAC技科専門学校という研究機関に送り込まれるが、そこで「三輪智彦」から恋人の「津野麻由子」を紹介され、「三輪智彦」との友情と「津野麻由子」との愛情の狭間で苦悩する。

    もうひとつの物語では、主人公「敦賀崇史」は中学生時代からの親友「三輪智彦」と共にバイテック社に入社するというところは同一だが、「津野麻由子」は、主人公「敦賀崇史」の恋人であり、時間軸もひとつめの物語の少し先で、親友「三輪智彦」はバイテック社のアメリカの研究機関で勤務している。


    「津野麻由子」との関係が相反しており、矛盾しているふたつの物語なのですが、、、

    展開するにつれて、ふたつの物語のズレが徐々に近づいて行き、最後には矛盾なくぴたっと合わさります。


    この構成には、さすが「東野圭吾」作品だなぁ… と感じさせられましたね。

    SFっぽさもありましたが、ミステリー色を失うことなく、そして余韻に感動も残す佳作でした。


    脳の影響を与え、記憶を改変するところ等は『変身』を思い出させる内容でしたね。



    備忘用に登場人物を。

    敦賀崇史
     総合コンピュータメーカー「バイテック社」に勤務。
     現在は同社の研究・教育機関である「MAC技科専門学校」に在籍。

    三輪智彦
     敦賀崇史の親友・「MAC技科専門学校」に在籍

    津野麻由子
     「MAC技科専門学校」に在籍

    桐山景子
     「MAC技科専門学校」に在籍

    須藤
     「MAC技科専門学校」の教官

    小山内
     「MAC技科専門学校」の教官

    篠崎伍郎
     「MAC技科専門学校」に在籍・津野麻由子と同期入社

    直井雅美
     篠崎伍郎の恋人

  • 自分の暮らしと記憶に齟齬があることに気づいた時、物凄い恐怖を感じると思う。
    それが作り上げられたものだとしたら、何故そうなったのかに悩まされるはず。

    主人公の崇史は、その研究していた訳だから、恐怖よりも何故を追求するのは当然こと。
    この研究の成功が、何かの役にたつことはあるはずだけれど、やっぱり怖いことだと思ってしまいます。

    記憶を取り戻した崇史と、目覚めた智彦が再会し、その後麻由子との3人がどうなるのか。
    モヤモヤしながら読了しました。

    映画ではどう描かれているのかも気になります。

  • 読んだ気がするけど初読な気もする。
    不思議な感覚
    主人公の感情が代表的に描かれていたが、3人が最終的に選んだ道も、記憶を無くすことで自分を楽にさせたいという心理の働いた、科学が進歩した未来の利己的な感情の表れかなと思った。
    私もこの感情は日頃から身に染みて感じるものだから、読んだ後は心がざわめいてなかなか忘れられない作品だった。

  • 2023.06 図書館借本
    *
    思ってた内容とは違ったけど、昔の事実と現在の答え探しを交互に読めるのは面白かった。記憶の改編が本当にあったらカオスな社会になるけど、犯罪者が無実を訴えるうちに本当に犯罪をしていないように錯覚する話はなるほどと思った。

  • 著者の初期作品に入るのだろうか、映画化されなければ知らないでいただろう。まず読み始めて「君の名は。」のラストからの続きのように感じた、どちらも記憶改編の話と言えば言えなくないだろう。記憶の消去はオウム真理教で電気ショックを与える方法で実証されているが、果たして偽の記憶を作り出すのはどうだろう、それより先に倫理的に許されることではなく、麻由子が許すはずがないと思うのだが。時代も変わってしまっているので、現代風に映画は解釈変更されるのだろうか。崇史が全てを諦めても麻由子が放っておける訳はないと思うのだが、ラブストーリーがやり直されると理解したい。

  • 親友か、恋した人か。
    なんとも選ぶのが難しいです。

    話は2つの平行線があるように進んでいきます。
    タイトルもパラレルワールド、ですしね。

    続きが気になって進みました。
    映画はどう表現するんでしょうね。
    気になります。

  • 先が気になってどんどん読んでしまいました。

    う〜ん、面白かったのですが、うまく感情移入できませんでした。
    なぜだろう。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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