嗤う伊右衛門

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著者 : 京極夏彦
  • 中央公論社 (1997年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120026898

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嗤う伊右衛門の感想・レビュー・書評

  • 京極夏彦による小説『嗤う伊右衛門』も恋愛小説なのかもしれない。
    しかし、巷間に流布する所謂恋愛の概念から逸脱した、生々しい愛の現実界を描いた作品だ。それは愛かもしれないが、恋ではありえない。それはもはや恋愛という言葉で表現することさえ不適切であるとも思える形態の男女関係であり、狂気といっても過言ではないものである。

    二人の関係は、一言では理解しがたいものだ。
    忠義なのか、愛情なのか、狂気なのか。
    わからない。

    だが、己の内奥に訴えかける何かが確かに感じられる。

    最後の最後まで、二人はお互いに、理解し合うことがなかった。
    お互いはお互いに幻想というフィルターを通して相手の虚像を見て、それとの関係で全てが完結してしまう。
    まるでラカンのあの言葉―「性的関係は存在しない」―を思い起こさせるようだ。

    二人は、死という虚無の中で漸く結ばれたようにも読める。
    然し、天国で結ばれただとかいう考えは斥けなければ成らない。
    これは、京極夏彦の作品なのだ。
    あの世は存在しない。
    最後の最後まで、二人の間には男女関係が存在しないのだ。

    故に、これは恋愛小説でありながら、恋愛小説ではない。
    成る程確かに愛の物語ではあるのだが、二人は決して結ばれず、気持ちさえも通じ合わない。むしろ、お互いはお互いに憎み合っているとさえ思っているのではないか。
    だから、これは最広義の意味では恋愛小説なのかもしれないが、些か歪な愛であり、俗に言う恋愛小説とは全く異なるものだ。
    しかし、それでもこれは愛のあり方や、人間の生について深く考えさせられるものがある。
    「恋って素晴らしいわ~~」とポワ~っとなるのではなく、人生の無常さや、人間の孤独さを考えさせれるのだ。

    兎も角も、傑作であることは確かで、もう一度読み返したいと思った作品である。

  • なかなかとっつきにくかったが、読み進むうちにツボに入る。切ない。途中、他の本を挟まず、ひと息に読むべきだった。

  • 京極夏彦が四谷怪談を書くとこうなるんだーと感心させられます。とても美しいお話になっていました。登場人物がそれぞれちょっとずつ不器用で、切ないです。最後はウルっとします。

  • お岩を薬害被害者として、四谷怪談を合理的に解釈している。お岩は究極のツンデレである。しかし、デレの部分をほとんど描いていないので、なぜ彼女を中心に世界が回るのか,若干分かりにくい。とは言え、蘊蓄を封印した京極夏彦の文章は、やはり素晴らしい。

  • 京極東海道四ツ谷怪談。人間のこわさにぞくり

  • 出てくる登場人物が全員好きになれた。
    最後に謎だった部分が一気に開閉されるところが、ゾクゾクした。
    二人の最後のシーンが映像としてずっと心地よい記憶として残っている。

  • 京極夏彦が新たに創作した四谷怪談。もう怪談とは言えないないが、伊右衛門、お岩さんとも魅力的な存在に描かれた秀作。

  • おもしろかったが、なんかすっきりしなかった。

  • 泉鏡花文学賞(1997/25回)・直木賞候補

  • 怪談再構成シリーズ1、お岩さんの話。あまり覚えてないけど切なかったような…

  • ノベルズの解説を読んでぐっと評価の上がった本。
    京極夏彦の熱量にはいつも驚かされる。

  • 相変わらず漢字の使い方が個性的な、京極さんの美しい文章。
    出だしからして、やられた、という感じです。
    もっと怖くておどろおどろしてういるかと思っていましたが、ちがいました。
    とてもせつない愛の物語。最後のほうは、泣きました。

  • 百鬼夜行シリーズ好き過ぎる私としては、又市出てる!!と飛び付いて読んだのですが、なんと壮絶極まる話。登場人物誰一人として幸せでない気がする。
    こんなに禍々しいのに最後迄一気に読んでしまった。
    人の業の深さ欲深さを煮詰めて捻りきったようなお人が出ておるわ。

  • ずっと昔に読んだのを再読。お岩さんの現代女性的な性格設定が馴染みやすくてよかった。お岩さんと伊右衛門のラブストーリーだよね。

  • 怖いけどすごく素敵な恋愛小説だなと!
    伊右衛門さんとイワさんの来世での幸せを願います

  • 発売日に自転車飛ばして、買いに行った本。
    こわくて、悲しくて、哀しいお話でした。

  • 初京極夏彦本です。

    前半はいいお話しだったのに、後半はなんとも報われない。

    と言うか、伊東が全て悪いんじゃないの⁈

  • 角川の文庫のほう持ってる

  • ラストを何度も読み返したくなる。

  • 伊右衛門と岩の、壮絶なる愛の形に終始圧倒されっぱなしだった。人間の裏側から滲み出る、狂気という黒い思いがどんどん深みにはまっていって、どうしようもない状態になった結果があの最期なのかと思うと、すごく哀しくなった。でもあれでしあわせだったのかもしれない、伊右衛門が岩に対していった言葉を反芻するとそう思えてしまうのも哀しくなった。ほんとにひとを想うことは、生半可な気持ちではできないことなのだというのに気付かされた。
    なんでこんなにもすれちがっていったのだろう。みんなみんな相手のことをたいせつに思った結果がこれなんだと思うと、すごくやるせない。
    せめて向こうでやさしく寄り添っていてほしいと切に思った。

    (385P)

  • 一番心に残った恋愛小説は?と聞かれて、この本が脳裏よぎりました。もともとあまり恋愛小説を読まないので、比較の対象があまりに少なすぎて暫定一位かも。

    京極先生の骨太な筆致で一気に読ませます。
    いつだって生きている人間が一番怖い。
    伊右衛門夫婦の深い切ない愛情が、あの恐ろしい怪談とはまったく様相を別にしていて、ほんとうにほんとうにおもしろく読みました。ミステリなんだけど、まごうことない恋愛小説です(私にとって)

  • 伊右衛門さんとお岩さん……といえば四谷怪談。お岩さんて多分、日本で一番有名な幽霊ですよね。大方は、伊右衛門が悪い男で、お岩から心変わりしたあげくに毒を盛ってその顔を醜く爛れさせ、それを恨みながら死んだお岩が伊右衛門を祟り殺すといったようなストーリーみたいですが、京極版のこれはひと味違います。これはアリです。伊右衛門さんステキ。

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嗤う伊右衛門の作品紹介

幽晦との境界が-破れている内部の薄明が昏黒に洩れているならばそこから夜が染みて来る。鬼才が挑む悪の華「四谷怪談」。

嗤う伊右衛門のKindle版

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