箱の夫

  • 78人登録
  • 3.78評価
    • (8)
    • (14)
    • (13)
    • (0)
    • (1)
  • 20レビュー
著者 : 吉田知子
  • 中央公論社 (1998年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120028663

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

箱の夫の感想・レビュー・書評

  • 吉田知子さん好きならたまらないだろうと思う短編集。冒頭の『箱の夫』からして面白すぎるというか、なぜ『箱の夫』なのか、『馬絹』ってどこ?という疑問を一切受け付けないし、あえて説明もいらない。『箱の夫』『遺言状』は良いお話だが、あとは全部怖かった。一番ゾクッとしたのは、『母の友達』それから『遺言状』に出てくる東堂は、『東堂のこと』の東堂と別人みたいだけど、何か関係があるのか、同じく『遺言状』に出てくる『エス』が『恩珠』の最後にいきなり出てきて、ひょえ〜っとなったり、細かい事がいちいち気になった。ありふれた日常がくるっと反転し、その境目があやふやで本人も無条件にそれを受け入れているような様、あるいは狂っているような主人公の言っている事が、本当に起こるように思われる時間の歪み。うん、面白かった!

  • 正常だと思っていた人が、狂気の人へと頭の中で変化を遂げる。
    いつの間に変わったのか分からないほど、じりじりと。
    まるで読者を弄ぶように、ゆっくりと狂気の世界へ導くその道程の
    えっ?何?という不穏な空気が何とも怖い。

  • タイトルの「箱の夫」に魅かれて読んでみた。初老女性の日常が不気味にねじ曲がる様を描いた短編集。夕方に迷子になって、家に帰れなくなったときのような心細い気持になる。

  • ねじれていく日常の先にある異界を描いた八篇。『夢十夜』や『冥途』に通じる不条理。この人の著作に関しては、強く再版を希望します。

  • 家の中だから、安心とは限らない。家の中でも、妖しいものはやってくる。どのにいても、不穏はつきまとう。見えないふりをするのは簡単だ。でも、恐ろしいものはいつでも近くにあるんだと思う。そんな作品でした。面白かった!

  • どうしてこんなに高水準なのに文庫化していないのか疑問すぎる一冊。じわじわ奇妙さへ踏み込む様が堪らない。夫と外出するときは箱に詰め込まないと「箱の夫」、本当にこの人「母の友達」?、しんみりする普通小説も書けます「遺言状」、行き過ぎた無料譲渡「泳ぐ箪笥」、死体発見記事で陽気な気分の主人公「天気のいい日」、外国人らしき人との上手くいかないコミュニケーション「恩珠」、兄のナオに関する思い出話が妙な方向へ「天(アマ)」、お手伝い女性にはけじめをつけないと、と思いつつやはり…「水曜日」。気持ち悪さと心地良さは紙一重と感じた一冊。

  • 8つの短編のうち多くが、老人性の呆けを題材にしている。認知症の身内がいる自分にとっては、現実と当人が現実と思っているズレた世界とが、知らないうちに交錯し、入れ替わっていく様が、ありありと分かって少し息苦しくなる。どんなにリアルに描かれた物語でも、どこかで「これは本の中の世界」と思いながらページをめくるが、この本は、これまで読んだどの話よりも、現実的だったかもしれない。

  • 『お供え』より読ませるなと思った。粘っこさ不気味さが薄くなってるけど、さっぱりした分よりシュールだし、オチがワンパターンじゃない。
    「箱の夫」は意味不明だけども、なんだかハッピーエンドのような読後感。何故だ。夫が謎の可愛さだからか。1番怖かったのは「恩珠」。「母の友達」は正常との繋がりである母との電話を切りたくない、というところが怖かった。「水曜日」は途中までほんの少しハートフルストーリーを期待したけど、。現実にも起こりそう。「遺言状」、好きでした。老人→若者の構図から生まれるものとはまた違う切なさ。だんだんと、手が届かない存在になっていく対象を想うのは、なんとも言えない気持ちになる。

  • 計り知れない怖さ。

  • これから読む人は取り扱い注意のこと。普通の日常が綴られていて古風な格式張った風習があってふむふむ読み進めていくうちに、、、いつの間にか信じ難く悍ましい状況に陥り呆気にとられる。その異変の理由は一切説明されず、その状況を躊躇わずに受け入れる主人公の無頓着な意識の迎合が怖い。なんとも気持ち悪い。後味が悪すぎて後を引く。他に類を見ない読後感、つまるところ面白かった。

  • 以前、小川洋子さんの「偏愛短篇箱」で著者の「お供え」を読み印象に残っていたので、初めて著者の本を借りてみた。

    「箱の夫」「母の友達」「遺言状」「泳ぐ箪笥」「天気のいい日」「恩珠」「天」「水曜日」の8編収録。
    既読の「お供え」同様、かなり奇妙でなんだか落ち着かない気分にさせられるお話ばかり。不条理、というか、理解しようと一生懸命追いかけていたのにふいに足をすくわれたような、人間のちょっとした隙に顔をのぞかせる何か黒々としたものを描いたような、そんなお話。

    嫌いではないが、気分がすぐれない時に読んだらより落ち込みそう。
    読んでいてなんだか疲れた。

  • 家族は空洞化して、中身はどこにもない。単なる赤の他人の人間関係と同じ。――日本人の家族ってどうしてギスギスするんだろう。

  • 何だか寂しく暗い気持ちになった。
    登場人物と共に自分も何かを失う感じ。
    こういう気持ち、苦手。

  • 受け入れて前に進むしかないおかしなお話

  • 読み終えたとたん、疲労感に襲われた。この作品には、なぜ、どうして、どうなっているの、と思考を巡らせてはいけないと思った。しかしありのまま受けとめようとすると、ゆがんでいく世界にのまれて、自分の立ち位置や目の前で起きている現象にとまどいを覚えてしまう。ちょっぴりぞっとする不条理な話が好きな人におすすめ。

  • 表題になっている、「箱の夫」が
    やはり、一番インパクトがある。

    夫はなになのか。
    こんな夫をなぜ愛すのか。
    引き込まれる物語。

  • この作家さんは、ファンタジーやライトノベルをよく読む人にもすすめたい。タイトルになっている作品がすごく好き。

  • 妖怪ぬらりひょんが家に訪れたら、この本を読んだのと近い気持ちになりそうな。事件も何にも起こらないし、私の経験する日常と同じ程度の時間が流れていくのだけれど、いつも寄り添っている違和感が視界の端に映っている、そんな短編集。この人の作品はクセになる。

  •  箱の中に入れるほど小さい夫との暮らしが、ごく普通の日常風景として語られる変な小説。

全20件中 1 - 20件を表示

箱の夫に関連するまとめ

箱の夫を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

箱の夫の作品紹介

夫を運ぶのにちょうどいい大きさの箱はあるかしら?"小さな"夫との奇妙で幸福な日々。しかし、ある日…。たしかな手ごたえを持っていたはずの現実が、ふとあやうくなる瞬間を鮮やかに描き出す、待望の作品集。

ツイートする