天使のウインク

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著者 : 橋本治
  • 中央公論新社 (2000年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120030000

天使のウインクの感想・レビュー・書評

  • 微妙に共感しきれない断定も多少あるのだが、すごく面白かった。
    坊っちゃんと清の話がいちばん興味深かった。確かに兄は不幸かも。

  • 30年ぐらい前に小林信彦さんのエッセーを読んで吃驚したことがある。
    (記憶のままに)うらなりの視線で坊っちゃんの物語を書こうと考えた。かなり奇妙な物語ができあがったことだろう。

    結局、他人の小説の舞台、人物で小説を書くにはマズイと30年前は考えて断念。エッセーは坊っちゃん的な世間知らずを主人公にした自伝的長編「夢の砦」に話が移っていく。坊っちゃんへの言及は本当に上記の数行。

    だけど、心底驚いた。坊っちゃんを読んだのは中学生時分。きっと心のどこかで奇妙だと感じていたのだと思う。確かに、坊っちゃんの行動は何の解決になっていないし、坊っちゃんの出奔した後、うらなりの立場を悪くしたことは間違いない。
    では、松山中学の生徒から見たら?
    飛び出せ青春とか。これが青春だ、などのテレビの熱血教師の元祖のようなイメージがあったが(僕は当年50歳だからね)、冷静に見れば坊っちゃんと生徒の間には断絶しかない。
    更に、赤シャツは本当に悪人か?周囲に打ち解けない東京からの新米教師を心配して釣りに誘ったりする。ところがこの新米は詰らないと不貞寝をしてしまう。赤シャツ先生は嫌な顔も見せずに、(本心は怒っているだろうが)知らぬ顔で素晴らしい夕陽に見入る。
    赤シャツは若い頃、恋愛とかできなかったんじゃないかな。結構ロマンチストなので、青春を取り戻そうと変に金と権力を使っちゃったように思える。

    坊っちゃんと赤シャツ。どっちがまともな人間だろうか。坊っちゃんは上司が心配して声を懸けてくれているのに気が付かない鈍感な奴。
    そう思うと、他人とコミュニケートする能力を著しく欠いた、出来損ないの哀れな人間の姿が現れる。結局、彼が松山の人を田舎者と莫迦にするのは、必死にバリヤーを張っているだけのこと。

    何故、こんな人間になったのかという問いの答えが本書の中の「親は何人必要か」などの数編にある。坊っちゃんの冒頭の「親譲りの無鉄砲で…」に騙されるが、そこに記述されているのは破滅衝動の強い情緒不安定な少年である。その原因は彼が親に疎んじられた子であったこと。
    この橋本さんの文章にも驚きました。坊っちゃんが勧善懲悪の青春小説とまったく違う色彩の小説となりました。怖くて読み返せません。(いや、それじゃ駄目ですよね。)
    橋本さんは本当は坊っちゃんの兄貴の方が不幸だと言います。そしてその兄貴にような子供達が現代に問題を起こしていると。

  • 橋本治が,時事問題などを独特の切り口で語るエッセイ。
    『中央公論』誌上で1997.8〜1999.12まで連載された。

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