スカイ・クロラ

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著者 : 森博嗣
  • 中央公論新社 (2001年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120031588

スカイ・クロラの感想・レビュー・書評

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  •  空を飛ぶ視点から見た、青い空、夕景から紫色に移りゆく空、図書館で見た本の表紙がとても印象的で、読んでみたかった作品です。森博嗣の作品は工学博士としての評論は別に初めて。

    Sky Crawlers  空を無限に這い回る者たちというところか。不思議な感覚が残る物語です。

    無機質とも言える短い会話
    戦闘の最中でさえ、冷徹な描写でステップが進んでいく無機質の裏側に制御され、抑制された永遠の生への不安

    「キルドレ」 大人になれないで、永遠の生を生きる存在。目的も大義名分の無く、社会の中で平和の価値を実感するためにだけ存在する”戦争”を演じる企業。パイロットの「キルドレ」達はここでようやく物理的な死を迎えることができる。空の中でしか自分の生を考えられないのか。

    「僕はまだ子供で 時々右手が人を殺す
     その代り 誰かの右手が僕を殺してくれるだろう
     それまでの間 何とか退屈しないように
     僕は生き続けていくんだ子供のまま」

    飛び立ち、戦闘から帰還してくる者たちは地上にあって、自分の終わりのストーリーを考える。

    「ただ滑らかに飛び 風を切って翻る
     その瞬間に、自分の中の無が見える
     しかしその夢心地を地上で思い出すことはできない
     どうしてもできない 自分は何者なのか
     どうして生きているのだろう」

    そして、最後のシーン。
    押井守監督のアニメ作品にもなっているそうです。

  • 目が覚めるような青い空を飛んでいる。聞こえるのは互いにかき消し合うステレオ音楽と飛行音。
    自由に飛び回る事が出来るのに、ちっとも自由じゃない。爽快の真反対のような気分。何もかもを諦めたような倦怠感、それを否定する所在のない希望。
    感じたのはそんなものたち。

    いつか見た映画の雰囲気と解釈が、作品の難解さを上手く補完してくれた気がします。

  • 不思議な物語だ。
    この本は映画を観てから読みました。
    独特の世界観、世界のつくり方。普通の頭ではここまで矛盾しない世界は創造出来ないでしょう。
    引き込まれます。
    この本は、是非続編まで含めて全て読んでほしい。
    全て読んで、作者が創造した独自の世界を完成させてほしい。

  • ミステリィじゃない森作品。

    子どもと大人。大人になるということはどういうことなのか。
    大人になれないキルドレ。
    成長する事とは何か、老いるという事は何か。
    生きることと死ぬこと。
    何が幸せで何が不幸せなのか。

    彼らはただ空を飛ぶ。空にいることで生きていると実感する。

    無機質でさらさらと読める感覚なのに深くて考えさせられた作品。
    文章も表現の仕方も登場人物も綺麗な作品だった。

  • 音のない世界のイメージ。しいんとした中に、空を飛ぶシーンが浮かぶ。これほどフィクションの世界に引きずり込まれたのは、これが初めてでした。

  • "僕はまだ子供で、ときどき、右手が人を殺す。その代わり、誰かの右手が、僕を殺してくれるだろう。"
    そんな、表紙に飾られた一節が魅せる世界。戦争がある種シンボルとして、あるいはショーとして存在する世界の中で、「キルドレ」という人工兵器としてつくられた永遠の子供の視点から世界が描かれている。生と死が、通念の感覚とは違った視点で認知されていて、淡々と進んでいく日常の中に見える、主人公カンナミの深層に揺れる様々な心情や情動、避けられない誰かの死、そして死に対する見解が、人というものの複雑さ、単純さ、聡明さ、身勝手さなど様々な真理をリアルに、そしてとても深く描いていく。
    カンナミの思考はとても哲学的で、シンプル。主観を交えることなく、世界や、世界に存在する様々な事象を純粋にあるがままに捉え、認識しようとする。死を可哀相、哀しいと捉えるのはやはり主観的で、この本に描かれる人間社会はそんな身勝手さや偏見に溢れた主観によって成立している。逆に死を身近なものとして理解し、空を飛ぶことを純粋に愛して、時間という認識を排除して生きているキルドレにとっては、死はただの結論に過ぎない。二つの世界のコントラストが鮮明で、それがとてつもなく哀しい。
    独特な世界観と、複雑で緻密に構成された設定が魅力的な一冊です。

  • この本がシリーズになってるとは知りませんでした。
    スカイ・クロラを読むだけでは謎な事が多いです。が、シリーズを読む楽しみには繋がります。
    儚くて切ない考えさせられるストーリーと『僕はまだ子供で、ときどき右手が人を殺す。その代わり、誰かの右手が僕を殺してくれるだろう。』このセリフが頭から離れない。

    大切な一冊です。

  • 頭がいい人が書いたと感じる本。

  • 戦闘機と空中戦なのに、静かで淡々としています。
    登場人物の、大人びているのとは何処か違う様な落ち着きとか、そっけなさ、生への無関心さが気に入りました。
    戦いの話の筈なのに、読後に落ち着いた気持ちになるのです。

  • ありえたかもしれないもう一つの世界を舞台に、戦闘機パイロットの日常と "死とは" をテーマに描かれる物語。

    戦争ものというのは大抵重くなりがちで苦手意識があったんですが、読んでみると独特の世界観に引き込まれてとても面白かったです。
    登場人物の洒落た会話のセンスや比喩を絡めた詩的な文章表現は秀逸。

    個人的には、終盤ラスト数ページのところで話がグッと重苦しくなり読後感がスッキリしなかったのは少し残念な部分。

    シリーズ化されてる本作はファーストでありながら時系列的にはシリーズ最終章になるらしいので、より深く読み説くには他の作品も順に読んだ方が楽しめそう。

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