五郎治殿御始末

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著者 : 浅田次郎
  • 中央公論新社 (2003年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120033513

五郎治殿御始末の感想・レビュー・書評

  • 明治維新を迎えた、侍たちの短編集。

    「椿寺まで」
    以前は旗本であった小兵衛は商いを始める。その丁稚の1人、新太と共に甲州街道を行く。その途中寄った椿寺には幕末の戦から子と離れて暮らす尼僧がいた…。

    「箱館証文」
    徳島藩士・大河内伊三郎は政府軍として箱館を目指す最中、会津藩士・中野伝兵衛と遭遇する。大河内は脇差を咽元に当てられ、命を千両で売らぬかと問われ、証文を書いてしまう。その後、明治政府にて働いていた大河内は、訪ねてきた中野に証文を突き付けられる…。
    立場は違えど、日本と言う国のために、命をかけて戦った侍の明治政府への思い。

    「西を向く侍」
    幕府では天文方におり、その年々の暦を作ってきた成瀬勘十郎。新政府に変わっても、失職せず待命と言う形で、僅かだが給金を貰っていた。しかし、ある年の旧暦十一月に、米英のグレゴリオ暦に合わせるため、師走十二月二日をその年の大晦日とすると言うふれが出た。日本固有の暦を廃することに怒りを覚え、政府へと直談判に向かうが…。
    小さい頃から、カレンダーの隅に旧暦が書かれていてどんどん日付が現在と離れていくのを見て、昔はこの暦で季節は合っていたのかと不思議に思ってた。二十何年に一度、一年が十三月になるって、初めて知った。

    「遠い砲音」
    西洋定時は1日を24時間、1時間を60分、1分を60秒ときっちりと区切る。近衛砲兵の中隊長土江彦蔵は、その時刻に慣れずにいた…。
    「一瞬を規制してまで戦をすることに、いったい何の意味があるのか。それはただ、対する敵を同じ人間だと思わせぬための手だてではないのか。一セカンドの瞬間には、人の情のつけ入るすきがないから。命乞いをする間も、情をかける間もないから。」

    「石榴坂の仇討」
    井伊直弼の近習役を務めていた志村金吾と、桜田門外で井伊を討った郎党の1人の13年後。志村は仇討ちをなそうと郎党を探すが…。

    「五郎治殿御始末」
    明治を迎え藩がなくなり、続くべき家も始末しなければならなくなった五郎治。1人残った孫半之助を共に死での旅路に出ようとする…。

    明治維新により、生活、時間、制度などへ西洋文化が入り、戸惑う侍たちがなんとかそれまでの日本の文化をなぞりつつ、日々を送っていく様子がいい。

  • 御一新」から数年経った明治のはじめが、この短編集の舞台。武士という職業はとっくになくなり、多くの侍が職業を変えて、必死に生きていた。
    表題作「五郎治殿御始末」は、桑名藩の元事務方役人・岩井五郎治の思い出を、その孫が語る短編だ。廃藩置県の施行により、五郎治は旧藩士の「始末」(人員整理)を命じられる。元同僚たちに恨まれ泣きつかれながらも、彼はリストラの役目を淡々と遂行していく。そしてそれが終わったあと、五郎治はある決意を胸に、自分自身と岩井家の「始末」をつけようとするのだが…。

  • 維新の折に生きた人々の生ける記録。

  • 明治ご一新後の元武家の面々を描く短編。時代遅れで地味な話だけど、こういう風に死ねたらいいなあとも感じたりする。諦めや悲壮、無情といった話がを、浪花節とは逆の浅田節で描いている。

  • 映画「柘榴坂の仇討」の原作収録

  • 明治維新を生きた武士の短編集。
    時代小説を初めて読みました。言い回しが難しいので遠ざけていたのですが、良い物ですね。
    五郎治殿御始末では涙が出ました。真っ直ぐで不器用すぎるお爺様に何かを教わった気がします。

  • 時代の変わり目には壮大な、そして表に表れないドラマがあるものだと思う。この物語はそのようなものではないか。今の時代にもそれはあるのであろうが・・・
    歳の所為か目頭に熱いものが感じられる物語である。




  • 時は幕末維新の激動期
    今まで仕えていた藩、そして幕府までもが跡形なく消え去ってしまった後の武士たちを描いた物語


    彼らの無念、失望、そして君主への忠義さがひしひしと伝わってきた


    それはあまりにも突然すぎて
    全てが違う世界の様に尽く覆され
    行き場のない思いを抱えたまま途方にくれるしかなかったのかもしれない」
    彼らは日本の未来に、何を見ていたのだろうか

  • 短編小説。タイトルの作品が秀逸。

  • 「柘榴坂の仇討」が秀逸。最近、井伊直弼が再評価されてますが、この話がフィクションであれなんであれ、もし井伊直弼が本当にこの様な人柄だったとしたらそばにいる人は心酔してしまうだろうな。
    映画化して欲しい話です。
    「西向く侍」も好き。みんなひたむきだなあ。

  • すべての価値観が転換したかのような明治維新。それまでの自分を忘れ、あるいは乗り越えて新しき時代に向き合った武士たちの姿を描く短編集。…だということは、最後の話を読んで初めて気づいたのだった。それまでは、「浅田次郎は幕末から明治の何もかもが嫌いなんだろうな。それでもこの時代を書き続けるのは、いやな時代を背景にしてこそ士が輝くということか?」などと思っていたのだ。よって「敬愛する明治」という言葉にはびっくりしてしまった。
    「椿寺まで」が好き。

  • 椿寺まで
    箱館証文
    西を向く侍
    遠い砲音
    柘榴坂の仇討
    五朗治殿御始末

     すべて明治初期のお侍さんの話

  • 読みました!!
    維新後の短編集でした。

  • 近代日本を舞台にした短編集。「石榴坂の仇討ち」「五郎治殿御始末」は面白かった。武士としての美学と新しい時代の変わり目で見えてきた「身分にとらわれない人間としての生き方」の価値観との葛藤が浅田次郎のいつもの感じで描かれていた。

  • 武士という職業が消え、どう生きてゆくのか。そんな中で誇りを貫く侍たちの姿は胸にジンとくる。時代の流れの無情さ、日本人として残すべきなのに失われてゆく美しさ。それなのに爽やかさは損なわれていないので読みやすい。現代日本のあり方も考えさせられます。

  • 幕府側「だった」人々の、御一新後の後始末。キラリと希望が見えた。

  • 文句なしの短編集。表題の作品がイチおし。
    小説で泣き笑いというのは初の経験であった。

  •  江戸から明治へと移る境目の時期、かつてないほどに大きな変化を遂げた日本。古い時代の精神から抜け切れず、新しい世・社会のシフトに上手くついてゆくことの出来ないひとびとを切なく、ちょっと可笑しく描く短編集です。
     不器用だからこそひとはドラマを生みます。読後感は爽快。

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