足利義政―日本美の発見

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制作 : Donald Keene  角地 幸男 
  • 中央公論新社 (2003年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120033575

足利義政―日本美の発見の感想・レビュー・書評

  •   ドナルド・キーン「足利義政-日本美の発見」を読む。
      日本の歴史の中で意識が薄いのが室町時代だが、金閣寺、銀閣寺、相国寺など室町時代の寺院のことを知るにつれて、この時代こそが日本文化の基礎ではないかという思いがしてきていたところ。だから先日来、足利義満の本を三冊読み、今日、足利義政のこの本を読み終わったということだ。
      改めてというか、実質的には初めて認識したに等しい足利義政の実像と銀閣寺というものの意味。眼からうろこが落ちると云ってもいいのかも知れない。将軍としては最悪の評価を受けたこの義政、しかし自分の信念とも云うべき美への追及がこの銀閣寺に結晶したということ。日本の心、日本の美は、この銀閣寺及びその位置する東山の文化から流れ出たものだということ。禅を基本とした簡素な作法、簡素な造形の中に表現される芸術、それは建築であり、庭園であり、生け花、茶の湯、絵画、能にすべて通じている。
      最近のことではないが、これまで銀閣寺には二度ばかり訪ねたことがあり、正直なところいずれも退屈な感じを禁じ得なかった。金閣寺と違って、取り立てて眼を引くような珍しいものがなく、我々が普段眼にしているものに近いとすら感じたものだ。今回この本を読んで知った、まさにそう感じた印象こそが銀閣寺の偉大さを示すものであったのだと。現在、我々が脈々と生活してきている様式、例えば、床の間がついて小さく仕切られた畳の部屋、この様式自体が銀閣寺の東求堂を嚆矢とするわけで、だから今の我々が眼にしてもまったく珍しくない、それが原点だからということなのだ。現在、我々が日ごろ眼にしている日本文化の原点がことごとくこの東山文化を母体としている、と云っても過言ではないと云える。
      この春、京都を訪ねた折に銀閣寺にも立ち寄って見ようとは思っていたが、久しく行っていないからというのが理由だった。ほんの些細な理由で取りやめてしまったが、やはり銀閣寺を見るのはその背景を知ってこそ意味があるということ。改めて次回はしっかりと見てきたいと思う。
      それにしても、この本の著者はドナルド・キーン。もともと英語で書いたものだそうだが、実に体系的に、文献の考察は抜かりなく、そして義政に対する高い評価を窺わせる名著と云ってもいいだろう。日本人ではない違う眼で、しかし客観的に日本文化を観る、素晴らしいことだね。

  • 事実関係が淡々と語られるだけなので正直少し退屈だったが、今日の(そして失われつつある)日本文化の始まりがどの様なものであったのかをざっくり掴むことができ、読書の目的は果たせたので良しとする。

    図書館にて。

  • 日本文化の始まりを再確認できる書。将軍としては愚将と言われるが茶の湯や俳句、能などの日本的と言われるものの基礎を東山文化という形で創り上げた足利義政を紐解くことが出来る。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    一人の無能な将軍が恣につくりあげた文化が、その後の日本人すべての美意識を決定づけた。著者が半世紀にわたって深く関心をもちつづけてきた東山文化。それはどのようにして生まれたのかを、愛着をこめて描く。


    内容(「MARC」データベースより)
    一人の無能な将軍がほしいままに作り上げた文化が、その後の日本人すべての美意識を決定づけた。著者が半世紀にわたり深く関心を持ち続けてきた東山文化が、どのようにして生まれたのかを描く。

    目次
    序章 東山時代と燻し銀の文化
    第1章 父義教の暗殺
    第2章 乳母と生母の狭間で
    第3章 将軍を取り巻く男と女
    第4章 応仁の乱と東山趣味
    第5章 東山山荘の造営
    第6章 雪舟・一休と日本文化の心
    第7章 歌人義政と連歌芸術
    第8章 花道と築庭と
    第9章 茶の湯の誕生
    第10章 晩年の義政

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足利義政―日本美の発見はこんな本です

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