光ってみえるもの、あれは

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著者 : 川上弘美
  • 中央公論新社 (2003年9月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120034428

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光ってみえるもの、あれはの感想・レビュー・書評

  • ■「かいしょうって、なに」幼い僕が聞くと、祖母はにこにこしながら、
    「俗物性を伴う精神的膂力」と答えた。

    <登場人物>
    江戸 翠:主人公、16歳
    母:祖母の娘、愛子さん、フリーライター
    花田:翠の友人、男の子
    平山水絵:翠の恋人、女の子
    祖母:母の母。匡子さん
    大島さん:主人公の遺伝子上の父親
    佐藤さん:愛子さんの恋人、フツウの大人
    北川:国語教師、キタガーくん

    この小説は16歳の男の子の世界を描いた小説です。16歳の男の子を描いた小説のどこがおもしろいのかというと、彼の生きている姿を通して、自分自身の16歳の頃のことを思い出すことができるからです。
    この小説を16歳未満の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を16歳の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を16歳以上の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を30代の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を40代の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を50代の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    この小説を60代の男の子が読んだらどう感じるだろうか?
    そんな事を考えながら、この小説を読みました。

    時々、何のために小説なんかを読むんだろうか?と思うことがあります。
    小説なんかを読むよりもビジネス書や語学の本の読んだほうが世の中の役に立つような気がします。小説なんかを読むよりも映画を観た方がよりてっとりばやく愉しむことができるような気がします。小説なんか読むよりもBARで飲んでいる時間の方が愉しいような気がします。だけどそれでもなお、ときどき無性に小説が読みたくなってしまいます。
    理由はおそらくそこに登場する人々の呼吸を感じたいからだと思います。
    姿形を想像し、話し方や声の感じを想像し、どんな風に行動していくのかを想像すること。
    そして頭の中で彼らと行動を共にすること。この時間がとても愉しいから、小説なんかを読むのだと思います。

    小説を読み終わったあと、自分の中に新しい自分がいるような気分になることがあります。それは小説世界を歩き回った経験を通して、新しい細胞が自分の中に生まれた結果だと思います。この小説を読んだあとも、もちろんそんな風に新しい自分を感じることができました。

  • 男子高校生の翠は、母と祖母と三人で暮らしている。
    時折ふらりと家にやって来る大鳥さんは、遺伝子上の父親らしい。
    彼女の平山水絵、友人の花田と関わりながら、翠は自分の在り方を見つけていく。

  • 読んでた…。
    途中で「あれっよしもとばなな読んでるんだっけ」感。と思ってたら「ムーンライト・シャドウ」引用あったね。

  • 副題「男子高校生・翠くんの成長記録」という感じ。

  • あー、川上弘美さん好き。
    ほろ苦いような、でも柔らかいような、そんなの。
    そして翠くんが好きだな。
    中性的な名前の子、好き。
    まわりに振り回されて、ああでもないこうでもないって様子が、可愛い。

  • あー、高校生だなーて、思った。

  • たまに出てくる短歌?和歌?や詩が良かった。
    プレヴェールやジャムの詩。

  • ☆3.8
    江戸翠、16歳男子。母と、おばあちゃんと、大鳥さん。突然セーラー服を着始めた男友達(女子の制服ですらない。翠の高校はブレザー派)。
    いつだって「ふつう」なのに、なんだか不自由なのはどうしてだろう。

    「なぜおんなのこはダイエットするのかな」
    「ダイエットしてる自分が好きだからよ」←納得した

  • 祖母の匡子さん。
    母の愛子さん。同居も籍も入れていない父、大鳥さん。
    恋人の平山水絵、親友の花田。
    僕、江戸翠。

    特にたいして何があるというわけでもない日常で、ふと思うことあり。

    前半はのっぺり。
    翠と花田が長崎に行く後半からゆらりと物語が展開。

    家族という一見堅苦しい枠にとらわれないけれど、絆は深い家族は、そうそういないのではないかな。
    翠みたいな男の子はきっといると思うw

    個人的には国語教師キタガーくんがいいかなあ。
    のんびりした長編)^o^(

  • 主人公の翠(みどり)くんと母、祖母の三人家族に、高校生の友人、遺伝子上の父親・大鳥さん、彼女の平山水絵が織り成す物語。ふわっとした感じの展開ながらも、登場人物の魅力に引き付けられて飽きさせない。

  • 「なんかこう、溶けこんじゃってる感じで」
    ラーメンの玉をほぐしながら大鍋に放りこんでいる店の主人の手元を眺めながら、花田は言った。
    「ラーメンの玉が?」
    「違うって。俺が」
    「花田が?ラーメンの汁に?」
    「違うって」
    「じゃ、何に」
    「だから、俺が、この世界、みたいなものに」
    花田はどうやらさきほどの話の続きをしているらしかった。



    「翠がそれほどわたしのこと好きじゃなくても、好きだよ」
    う、うん。
    「翠、もしかしてほかの女の子が好きなんじゃないの」
    なぜそんなふうに飛躍するんだ、と僕は頭をかかえた。
    僕はただ平山水絵が小さな魚みたいであることがうれいしのだ。理由など何もなく、平山水絵が好ましいのだ。でも、そのことを平山水絵に伝えようとしたとたんに、僕の気持ちはもやもやと灰色に漂いだす。
    天井を僕は見上げた。確かなことを言おうとするほど、確かなことが言えなくなる。それを平山水絵に伝えようとすると、ますます不確かな感じになってくる。



    「一個半個というのは、もともと禅かなにかの言葉らしいのだが、まあこの句の場合は、少数のもの、というくらいの意味だと、わたくしは思う」キタガーくんは、ゆっくりと続けた。
    冬の雲が、ほんのぽっちり、空に浮かんでいる。一個が、半分にちぎれて二個になったのかもしれない。一個ぶんあったものが縮み、半個ぶんの大きさになったのかも、しれない。さみしい風景だな。でも、きっぱりとした光景でもある。きっぱりとしたものは、なぜかみな、さみしい。
    キタガーくんは説明する。時おりは花田をじっと見つめ、あとはうしろの掲示板のあたりを、放心したように眺めながら。

  • 川上作品の中で一番すきなもの。主人公と、それを取り囲むすべての登場人物が魅力的。

  • 少し欠けた話
    少し欠けたともだちと欠けた家族と欠けた自分

  • すごく好きだと思った覚えがあるが内容は覚えていない。
    再読必要。

  • なんというのか。独特の雰囲気を持った文章を書く方ですね。何作か読んだことがありますが本当に独自の世界を作り上げられているなあ、と思ったことを思い出します。

    短編にみえるような、連載というのか長編と言うのか。自分の世界観にきちんと向き合って生きている(ように思える)主人公たちが結構のほほんと生活している、そんな感想です。北川さんが一番好きかな。自己完結しているのかも知れないけれども伝えられるかもしれない、伝えられないかもしれないと知っていて言葉を伝える。そんな感じが好きですねえ。実際存在したらどうだか分かりませんが。

  • 何かを確認するように、女子の制服で生活してみる花田がすきだと思った。

  • 「男子高校生」という記号が、主人公には馴染んでないように感じた。シンプルとは言えない家庭環境で育った主人公が、生きるとはなにか、という命題を密かに抱きながら、いささか冷めた視点で過ごす日々。そういった経緯から、故意に一般的な高校生とは一線を画すために、若さや青臭さをあまり持たないキャラを作り上げたのだろう。しかし、あまりにも主人公の性格がおとなしく、かといって隠された狂気や暴力性といったものもあらわれず、却って不気味である。特に最後のほうで、もっと積極性を見せてくれたならば、好きな作品になっていたかもしれない。

  • 江戸翠。少年。みずみずしい
    再読した。
    川上弘美の描く少年もまた透明だ。
    さらさらした水のような、実体がないような。
    作品後半では翠がちょっとごつくなった感じがした。
    さらさらしたものが輪郭を得るようで嬉しい。

  • 2004年7月31日読了。

  • 高校生が主人公だが、他のそういった小説とは違って、なんとなく老成したような味わい。

  • 淡々と高校生活や家庭での会話が進んで行く感じがよかったけど、
    最後の方で島に行くところもすごくよかった。

    時々、登場人物の台詞がぐっと胸をついて
    くどくなくて、さりげない一言なのに胸をついて、それもよかった。

    こういうストーリーや、登場人物や言葉の運び方は好き。

  • ゆるくてでもリアルだから、川上さんの日常的物語は好きだ。
    けど、これはあまりにまどろっこしかったかなー。
    まどろっこしいからいいんだけど。ね。

    キタガーさんが好きー!

  • 珍しく、未成年(高校生)の視点で書かれた小説。
    やっぱり切ないし、可笑しいし、川上広美はいい。
    もう一度じっくり読みたい。



  • ( ヒトはうろうろ生きて、で、それで? )

  • 僕・江戸翠は16歳の高校生。母と祖母の3人暮らし。学校には友人の花田と恋人の平山水絵がいる。日々の生活から、五島列島への旅行を経て、「僕」の心の移り変わりと成長が描かれているようだ。

    「どうして僕らは生きてるのかな」

    思ったことをうまく口に出せない「僕」が、自分を表現し始めた時、生きていることを実感し始めるのだろうか。

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光ってみえるもの、あれはの作品紹介

ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい-友がいて、恋人がいて「ふつう」からちょっぴりはみ出した家族がいて…生きることへの小さな違和感を抱えた江戸翠、16歳の夏。みずみずしい"家族小説"の誕生。

光ってみえるもの、あれははこんな本です

光ってみえるもの、あれはの文庫

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