- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120035876
作品紹介・あらすじ
あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように-。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。
感想・レビュー・書評
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演劇祭の舞台背景を完成させるために船着場のある家で夏合宿をする高校生6人、香澄、芳野、毬子、月彦、暁臣、真魚子
そこで、遠い夏の日に起こった事件の真相が明らかになっていく
途中、背筋がゾーとした
まるで6人の役者が舞台で劇を演じているみたいな感じがした -
ちょっと出来過ぎなミステリーな気がするけど、その中で描かれる少女の描写がキラキラしてて素敵。章ごとに語り手が変わることによって、全く違うタイプの女の子たちの微妙な距離感や繊細な心の動きが新鮮に読み取れる。
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芳野さんと香澄さんの仄暗い感じがすき
恩田陸でいちばん読みかえしてる -
まず、タイトルが魅力的。彼女の作品には蛇行する川がよく出てくる気がする。そして、装丁がものすごく好み。見開きの絵もなんとも言えない。駒子さんの絵にはめっぽう弱い。夏の匂いと、正しく美しい少女たちがぎっしりと詰まった話。前半は本当に良かった。ずっと少女たちの夢を見ていたかった。後味はあまり良くないけれど、相変わらずの恍惚としてしまう文章でした。芳野さんが好きです。船着場のある家と塔のある家という呼ばれ方に、すごくきゅんとした。
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蛇行する川のほとりにある「船着場のある家」。そこで二人の不思議な美少女、香澄と芳野と過ごすことになった鞠子。昔に起きた二つの事件。二人の少年。全ては絡み合い、繋がり、そして起こる悲しい事故。香澄の過去は鞠子の少女時代を奪い、明らかになる真実。
言葉や文の一つ一つが綺麗。お話全体の雰囲気が好き。こういう小説好き。とても悲しくて苦しい過去の事件が、とてもきれいに描かれてる。 -
再読。
高校時代の夏休みに美術部の憧れの先輩の家に泊まり込みで舞台の背景を描くように誘われる。
出だしは私の大好きな内田善美の漫画「ひぐらしの森」を彷彿とさせる。もしかしてオマージュなのかな?
高校時代私も美術部で学園祭の看板絵を皆で描いた事あったなぁ・・・。もちろんこんな優雅でも綺麗な少女達でもなかったけど(苦笑)
少女時代の残酷な透明さが懐かしい。
昔起きた殺人事件の謎が次第に明らかにされていく。この手の話は大好物です。 -
恩田陸は(私にとって)当たり外れが大きい(大当たりのときも多いが、大外れのときもたまに。ほとんどは普通の当たり)が、これは大当たりの部類か。
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終始さらさらと重たい内容なはずなのに軽快に物語が進むのが新鮮。自分が知っている高校生とは比べられないくらいには大人な高校生の男女。一般的な男女ではなく見えない絆や目論みが見えて面白い。ある意味死にとらわれず存在自体を肯定している関係に思えた。