告白

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著者 : 町田康
  • 中央公論新社 (2005年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120036217

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告白の感想・レビュー・書評

  • 町田節の真骨頂。
    史実を元にして、一人の男の脳内を描ききる。
    独特の言い回し、粗野な世界観に脳内がぐるぐるする。
    全く知らない、想像もできない、他人の頭の中を覗き見た気持ち。

  • 勢い的にはピカレスク小説。「河内十人斬り」の浪曲が元ネタ。木戸熊太郎の思弁的な思考ゆえの哀しい話。作者は熊太郎の思弁をページにスペースなしに語らせているのだが、これが読んでて面倒くさい。

  • 軽妙洒脱な文章にのせられぐいぐい読み進めるが毎回最後に涙してしまう。傑作。

  • 熊太郎の思考に圧倒される。でも共感してしまう。
    河内十人斬りは知らなかったので、予備知識を入れないまま読んだ。

    口から出る言葉と、からだの中に渦巻いている思考が一致しない男、熊太郎。
    頭の中で散々考えたあげく、粋な言葉を選ぶはずが本当に言いたいことから要旨がずれてしまったり、それどころか「何考えてるかわからない」と同情の目を向けられるような言葉を発してしまったりする。行動も変。
    馬鹿にされ、騙され、利用されるばかり。
    もちろん自業自得のところもあるけど本当はかしこいのに。

    最終的に破滅へ向かっていくわけだけど、そこに至る思考がものすごく説得力がある。こんな自意識過剰、理解したくないのに、痛いほどわかる(ところもある。全部じゃないけど。)
    「人間失格」を読んだときのような気持ちになった。

    それにしても、町田康さんすごい。
    こういう思考回路を言葉で表してくれたことに、感謝。
    誰かに言いたいけど言ったら確実に面倒くさがられ引かれてしまうだろうから言えずにいた気持ちが、活字になっていた。
    小説の内容というより、私にはそっちの方が感動です。

    凄惨なシーンですら、「あひゃーん」には吹いた。笑いどころも多い。
    河内弁でしゃべりたくなる。
    熊次郎がとにかく憎らしい。白こすぎるんじゃ、ぼけ。

  • 熊太郎ができなかったことをやってのける町田康
    結局、「本当の本当の本当のところの自分の思い」は言葉にできない。ないんじゃなくて
    言葉と自己

  • 分厚い本ですな。読む前にちょっぴりビビりましたよ。
    最近、読書意欲がないんでね。

    しかし読み始めてしまえば、一気に世界に引きずり込まれます。
    言葉の使い方が個性的で独特。
    形式的なものがない迫力ある文章。
    コミカルであり殺伐たる雰囲気もあり、しめりっけのある映像も
    イメージされ空気感も混沌としています。

    内容としては、実際の事件
    大阪河内地方の大量殺人事件を題材にしております。
    なんで殺したのか、を加害者となる熊太郎の幼いころからを振り返り
    そこに至るまでの話を書いてある。

    そして、私が読んで感じたのは、熊太郎自身は思弁的すぎるがゆえに
    他人とうまくコミュニケーションがとれないと思っているが、
    熊太郎は今で言うアスペルガー症候群なんじゃないかな。
    誰にも理解されず苦しみ、上手く事が運ばない。
    今の時代だったら、言葉を導いてくれて、コミュニケーションのとりかたも
    練習もさせてくれて、薬もあたえてくれる。
    昔は、変な人ですまされていた人も
    今なら、ちょっとした対応で周りからも理解を得られ
    本人もそこまで苦しまずにすむ。
    アスペルガーだから人を殺したというわけではない。
    そういう熊太郎を騙して利用して無下にした結果ということだ。
    普通の人だったら、そこに至るまでに回避することも
    怒りをあらわにすることもできるのに、
    熊太郎には出来なかったということだ。



    ( ・_ゝ・)<今まで言わなかった本心を語る熊太郎。

  • 「自分の思想と言語が合一するとき自分は滅亡する」

    人間のほとんどが自分の本心を上手く器用に隠してきれいに整えて言葉に表し、それで人付き合いをしている。しかもそれを無意識のうちに。
    主人公の熊太郎がそれができなくて苦悩し、自分の本心と向かい合い、突き詰めていった最期の時に思ったこと……。

    この苦悩をぜーーーんぶ、文章で表現した町田さんはすごい。
    すごいなんて言葉じゃ薄いな。すいません。

    本当に自分にとって重く深いテーマであるが、要所要所に笑いのツボをついてくる描写が多いのも最高。笑える!
    人生で一番の本に出会ってしまった。

  • 町田康作品の中でも、主人公の城戸熊太郎に圧倒的な感情移入をしてしまい、最後の河内十人切りにいたる前に、あまりにも読んでいられなくなって一旦本を閉じてしまったほどだった。

    他の町田作品だと、お話しが短いのと、主人公がだいたい破天荒というか真面目なんだけどどこか突き抜けてはちゃめちゃで、ここまでのシンパシーを感じることはなかった。今年一番響いた作品になりそうな予感がする。

    でも、この「告白」の主人公熊太郎は思弁的な自己を表現する言葉を持たず、何気なく反対の行動を取ってしまってもごく僅かの友人を除いては誰にも理解をされないどころか侮蔑される。その心理描写における思弁的な言い訳の仕方が、またあまりにも分かる気がするる。

    たとえば、海外に行ったとして、ふと目の前に見かけた吉野家に入る際に「いや自分は吉野家が食べたいと感じて今まさに入らんとしているのだが、なるほど海外に来てまで吉野家を食べるのはどうか、せっかくだから現地の料理を探索すべしという考えにも一理あるだろう。いやしかしながら、そういったステレオタイプな言説に惑わされることはなく、自分はただ安易に吉野家にはいるのではなく、あえて海外で吉野家を食らい、自分のスタイルを安易に変えずに苦節を自ら呼び込む男であることを示しているのだ。などと考えてはみたが正味誰もそんなこと気にしないか」のようなことを考える。

    考えるだけ、考える。結局行動は変わらないのである。

    そりゃその中身を理解されないのが当たり前な行動を取っているんだが、その理解のされなさ加減が無性に悲しくなり、何かしら信じていたことも覆され、信じていた僅かの人間もいなくなり、結局誰からも孤絶して、最後の最後まで「本当のこと」を口にすることができない。

    人は、自己を伝えきれるのか。結局は孤独に生まれ、孤絶へと向かうのか。
    そんな問いを町田節で時代劇風に読みやすく書ききった名作だった。

  • さみしい話。
    でも、なんとなく元気も出る話。

  • 長期海外出張にちょうどいいや。と思って買ったのですが、1日で読み切ってしまうほど惹きこまれました。小説は専門外なのですが、今まで読んだ本の中で、一番印象に残っています。こんなに涙がボロボロでるとは思いませんでした。主人公が、作者独特の文章との相乗効果で非常に異端であるような感想が多いようですが、むしろ、誰にでもある、皆が持っている、人間的弱さを、主人公に私は感じました。だからきっと、主人公に感情移入ができたのだと思います。圧倒的な人間は、世の中と折り合って生きることとを強いられていて、折り合えない人を笑ったり蔑みますよね。そして、実際、折り合えない人間にとって生きることは大変辛いわけですが、折り合って生きていくことも実は辛い。実は辛いから、折り合えない人を笑ってしまうわけであります。生きていくうちに妙に賢くなった自分を慰めてくれるような一冊でした。

  • 感想が書きづらい本。
    ページ数は半端ないが、先が気になって仕方が無くなる。
    熊太郎の破滅的な顛末を想像すると読み進めていくのが
    躊躇させられる…が止められない。
    江戸初期設定だが、現代の社会現象を交えた表現が
    時代の枠組みを超えていて終始飽きさせない。
    熊太郎の考えや思いがストレートに言葉では表せず、
    その為にトンチンカンな発言で人とのコミュニケーションが上手くいかないという破滅へ向かう一原因の性分は
    一歩間違えば誰にでもあることで、切なくなる。
    自分を変えていこうとする努力も結局実らず
    関わった人を憎悪するという最悪の循環で自分を表現するしか
    なくなってしまった。
    読み終わった後は虚脱する。

  • 龍やマルケスのようなすぐれた小説を読んだ時の「ああ」という圧倒的な読後感は、ない。それは、一文一文のこの表現味わい深いなあという文体がないから。文学の面白さは文体の面白さだから。これはあくまでも「けんかえれじい」的エンタメ小説、つまりストーリー。ストーリーはめちゃくちゃおもしろい。どんどん読ませる筆力も見事。特に、前半戦の岩室のvs葛木ドール戦のヤバさ。でも町田康は詩の方が好き。

  • あかんかった・・・あまりの分厚さに挫折した1度目。満を持して挑んだ今回は読了できたものの、独特の文体のリズムに最後まで乗り切れず。人は人、自分は自分とわかっていても大絶賛されている作品の良さがわからないその寂しさといったら・・・

  • なんだかすくわれた気がする。
    それでも納得がいかないようにおもうのは、僕がまだ死んでいないから。
    それから、内語を多くつかい感情を描写しているが、それが一方的で不自然な点が多い。
    熊太郎がエゴイスティックだからということだけでは片付けられない。
    具体的に何処かといわれると面倒なのですが。

    それから鹿蔵になってるところ、「。」が打たれていないところ、無意味に「きたのだ。北野田。」などという誤変換を文中に置く。
    こういったことはいかがかとおもうのだが、それをさしひいても、作品として魅力的である。
    だって文字が生き物だもの。

  • 世の中には2種類の人間しかいない。架空の笛を吹いた者と吹かなかった者である。吹かなかった者に吹いた者のことは、正味、分からない。かといって、吹いた者同士が分かり合えるかと言うと、そんなことはなく、つまり吹いた者のことは誰にも分からないのである、正味。

  • よくわからんけど最後まで読んでしまうたぐいの本

  • これはすごい。河内十人斬りの犯人、熊太郎が主人公。熊太郎の考えがあーだこーだあーだこーだとだらだら垂れ流しで書かれていて、しかも河内弁で読みにくく、ついつい読み飛ばしてしまったが、そこも含めて面白かった。熊太郎、抜けているというか、あほというか。弥太郎がかわいそう。他の人とは違って、自分は思考をそのまま言葉にできない、と熊太郎は常々感じていたけど、人って多かれ少なかれ誰もがそうなのではないかな。最期に思考と言葉が一致「あかんかった」ほんま、それ。

  • 安政から明治にかけて河内の無頼者になった城戸熊太郎なる人物が心の中で思ったことを詳細に書き表し、一人の人間像を魅力的に紡ぎ出している。無法者でありながら、心優しくお人好しの主人公にいつか心を寄せてしまう。「それはやり過ぎ、もっと巧くできないか」と心配になってしまう。弟分・弥五郎も義理任侠の世界で可愛い。著者が二人を「あほである」と言い切る場面が多く、楽しい。敵役・松永熊次郎はどこまでもあくどく、熊太郎たちが気の毒でさえある。絶世の美人・森本縫の登場と魅力的な描き方、陶然とする熊太郎の姿が印象に残るが、最後まで謎に満ちた人間性だった。河内弁での悪態言葉のオンパレードが臨場感溢れる!面白く惹きこまれ、676ページを一気に読むことができた。「告白」との題名の意味するところは心の中の描写が多いからか。

  • 鉄砲光三郎の河内音頭や京山幸枝若の浪曲で有名な『河内十人斬り』(水分騒動)を題材にした大作670頁、場所は、たまに練習で走る、南河内グリーンロードの石川郡赤坂村(当時)水分、御所、富田林、金剛山、読売新聞の書評で、川上弘美さんは、結局十人殺したことだけと書かれていましたが、まさに言いえて妙、しかしこれは何という文体、河内弁に外来語が混じり、現在の風俗が参照され、ところどころ作者が顔を出し、完全に圧倒されました、河内生まれで河内育ちの私には、よく理解できるのですが、他の人はどうなんやろね、感染力も大です。

  • 第41回谷崎潤一郎賞
    「傑作」の一言。笑いの理論「緊張の緩和」が見え隠れする。無意識的な言葉を入れ、笑いに走ったかと思えば、急に哲学的な文章を入れたりするものだから読者は胸に響く。考えている事が上手く言葉に出来ず他人に伝えられないモヤモヤ満載な主人公。(今で言えばアスペルガー症候群を患っているのだろう)一般的に脳から体までの伝達スピードが0.05秒、行動に移す反応速度となると0,5秒とか言われている人間。そんな人間の誰しもが持っている思考と言う脳内の宇宙規模の空想・思想・妄想をとにかく表現していると思う。そして今この作品をどう説明しようか?巧いこと感想が書けない・・・。読後にそんな事までもくらわしてくれる傑作です。

  • 実際に起こった事件である「河内十人斬り」をモチーフに書かれた物語。
    思案したことを言葉で表現しきれていないと自らを嘆く主人公。
    前半はその思案のおもろさで笑ってしまうほど愉快。
    そして後半、熊太郎、弥五郎が行っていく殺戮…その後の熊五郎の思案が印象的。

  • おもしろい。
    途中何度も声だして笑ってしまった
    「どあほっ」

  • うーん半分くらい読んだところで挫折。

  • これは…!!

    なんと評したらいいのかわからないけれど、
    本を読む人じゃないと読み終われないだろうな。
    こんな分厚い本、本を読む人じゃなければ読まないだろうけど。

    別に悪い意味ではなく!

    独特の言葉遣いで耳に馴染みはないけれど、
    軽快なリズムで苦にならず読み進められます。

    こいつ本当に阿呆だなぁ、と呆れるばかりなんだけど
    確かに私にも似たようなところがあって憎み切れない。

    いくつもあったはずの分岐点、悪い方を選び続けてしまい、
    最後はこうなったのか…と。

    この作者すごいなー。言葉選びとリズムのセンスの良さが際立つ!

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