- Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120036217
感想・レビュー・書評
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軽妙洒脱な文章にのせられぐいぐい読み進めるが毎回最後に涙してしまう。傑作。
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熊太郎ができなかったことをやってのける町田康
結局、「本当の本当の本当のところの自分の思い」は言葉にできない。ないんじゃなくて
言葉と自己 -
分厚い本ですな。読む前にちょっぴりビビりましたよ。
最近、読書意欲がないんでね。
しかし読み始めてしまえば、一気に世界に引きずり込まれます。
言葉の使い方が個性的で独特。
形式的なものがない迫力ある文章。
コミカルであり殺伐たる雰囲気もあり、しめりっけのある映像も
イメージされ空気感も混沌としています。
内容としては、実際の事件
大阪河内地方の大量殺人事件を題材にしております。
なんで殺したのか、を加害者となる熊太郎の幼いころからを振り返り
そこに至るまでの話を書いてある。
そして、私が読んで感じたのは、熊太郎自身は思弁的すぎるがゆえに
他人とうまくコミュニケーションがとれないと思っているが、
熊太郎は今で言うアスペルガー症候群なんじゃないかな。
誰にも理解されず苦しみ、上手く事が運ばない。
今の時代だったら、言葉を導いてくれて、コミュニケーションのとりかたも
練習もさせてくれて、薬もあたえてくれる。
昔は、変な人ですまされていた人も
今なら、ちょっとした対応で周りからも理解を得られ
本人もそこまで苦しまずにすむ。
アスペルガーだから人を殺したというわけではない。
そういう熊太郎を騙して利用して無下にした結果ということだ。
普通の人だったら、そこに至るまでに回避することも
怒りをあらわにすることもできるのに、
熊太郎には出来なかったということだ。
( ・_ゝ・)<今まで言わなかった本心を語る熊太郎。 -
さみしい話。
でも、なんとなく元気も出る話。 -
長期海外出張にちょうどいいや。と思って買ったのですが、1日で読み切ってしまうほど惹きこまれました。小説は専門外なのですが、今まで読んだ本の中で、一番印象に残っています。こんなに涙がボロボロでるとは思いませんでした。主人公が、作者独特の文章との相乗効果で非常に異端であるような感想が多いようですが、むしろ、誰にでもある、皆が持っている、人間的弱さを、主人公に私は感じました。だからきっと、主人公に感情移入ができたのだと思います。圧倒的な人間は、世の中と折り合って生きることとを強いられていて、折り合えない人を笑ったり蔑みますよね。そして、実際、折り合えない人間にとって生きることは大変辛いわけですが、折り合って生きていくことも実は辛い。実は辛いから、折り合えない人を笑ってしまうわけであります。生きていくうちに妙に賢くなった自分を慰めてくれるような一冊でした。
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龍やマルケスのようなすぐれた小説を読んだ時の「ああ」という圧倒的な読後感は、ない。それは、一文一文のこの表現味わい深いなあという文体がないから。文学の面白さは文体の面白さだから。これはあくまでも「けんかえれじい」的エンタメ小説、つまりストーリー。ストーリーはめちゃくちゃおもしろい。どんどん読ませる筆力も見事。特に、前半戦の岩室のvs葛木ドール戦のヤバさ。でも町田康は詩の方が好き。
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あかんかった・・・あまりの分厚さに挫折した1度目。満を持して挑んだ今回は読了できたものの、独特の文体のリズムに最後まで乗り切れず。人は人、自分は自分とわかっていても大絶賛されている作品の良さがわからないその寂しさといったら・・・
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なんだかすくわれた気がする。
それでも納得がいかないようにおもうのは、僕がまだ死んでいないから。
それから、内語を多くつかい感情を描写しているが、それが一方的で不自然な点が多い。
熊太郎がエゴイスティックだからということだけでは片付けられない。
具体的に何処かといわれると面倒なのですが。
それから鹿蔵になってるところ、「。」が打たれていないところ、無意味に「きたのだ。北野田。」などという誤変換を文中に置く。
こういったことはいかがかとおもうのだが、それをさしひいても、作品として魅力的である。
だって文字が生き物だもの。 -
方言のため読みにくさがあったが、殊の外面白くて長さに飽きることもなく読めた。