告白

著者 :
  • 中央公論新社
3.93
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  • Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120036217

感想・レビュー・書評

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  • よくわからんけど最後まで読んでしまうたぐいの本

  • 安政から明治にかけて河内の無頼者になった城戸熊太郎なる人物が心の中で思ったことを詳細に書き表し、一人の人間像を魅力的に紡ぎ出している。無法者でありながら、心優しくお人好しの主人公にいつか心を寄せてしまう。「それはやり過ぎ、もっと巧くできないか」と心配になってしまう。弟分・弥五郎も義理任侠の世界で可愛い。著者が二人を「あほである」と言い切る場面が多く、楽しい。敵役・松永熊次郎はどこまでもあくどく、熊太郎たちが気の毒でさえある。絶世の美人・森本縫の登場と魅力的な描き方、陶然とする熊太郎の姿が印象に残るが、最後まで謎に満ちた人間性だった。河内弁での悪態言葉のオンパレードが臨場感溢れる!面白く惹きこまれ、676ページを一気に読むことができた。「告白」との題名の意味するところは心の中の描写が多いからか。

  • 鉄砲光三郎の河内音頭や京山幸枝若の浪曲で有名な『河内十人斬り』(水分騒動)を題材にした大作670頁、場所は、たまに練習で走る、南河内グリーンロードの石川郡赤坂村(当時)水分、御所、富田林、金剛山、読売新聞の書評で、川上弘美さんは、結局十人殺したことだけと書かれていましたが、まさに言いえて妙、しかしこれは何という文体、河内弁に外来語が混じり、現在の風俗が参照され、ところどころ作者が顔を出し、完全に圧倒されました、河内生まれで河内育ちの私には、よく理解できるのですが、他の人はどうなんやろね、感染力も大です。

  • 第41回谷崎潤一郎賞
    「傑作」の一言。笑いの理論「緊張の緩和」が見え隠れする。無意識的な言葉を入れ、笑いに走ったかと思えば、急に哲学的な文章を入れたりするものだから読者は胸に響く。考えている事が上手く言葉に出来ず他人に伝えられないモヤモヤ満載な主人公。(今で言えばアスペルガー症候群を患っているのだろう)一般的に脳から体までの伝達スピードが0.05秒、行動に移す反応速度となると0,5秒とか言われている人間。そんな人間の誰しもが持っている思考と言う脳内の宇宙規模の空想・思想・妄想をとにかく表現していると思う。そして今この作品をどう説明しようか?巧いこと感想が書けない・・・。読後にそんな事までもくらわしてくれる傑作です。

  • 実際に起こった事件である「河内十人斬り」をモチーフに書かれた物語。
    思案したことを言葉で表現しきれていないと自らを嘆く主人公。
    前半はその思案のおもろさで笑ってしまうほど愉快。
    そして後半、熊太郎、弥五郎が行っていく殺戮…その後の熊五郎の思案が印象的。

  • おもしろい。
    途中何度も声だして笑ってしまった
    「どあほっ」

  • うーん半分くらい読んだところで挫折。

  • 河内十人斬り。実際にあった事件。
    河内生まれ、河内音頭に馴染んで育った私だけど、知らなかった。
    ただ、生き生きと交わされる、
    河内弁が心地よく、声に出して読んでみたりした。

  • One of his major works is a 676-page-long true crime novel, for which he took home the Tanizaki Jun’ichirō Prize. The story is based on a well-known folk song about ten murders conducted in 1893 by a notorious killer in Kawachi, Osaka. The book traces the murderer’s psychological transformation from a timid, contemplative man to a murderer who slaughtered local residents.
    Machida makes use of heavily Kawachi-accented Japanese as he depicts the words and mind of the protagonist. The author blends the local dialect with standard Japanese to create unusual rhythms, which add a comical element to the story, which is also serious and philosophical.

  • 熊太郎の、思考と言葉の不一致という、思考の高度さと言葉の幼稚さの対比が切なくなりました。
    思弁的な人は破滅していくのか、という視点で読み進めました。

    熊太郎にはそこに見栄が混じってアウトローな生き方しかできなくなります。
    思考ですべてを知って悟ろうとする生き方は、苦しいのですが、社会が高度化すればするほど、つまり現代においては、熊太郎のような苦しみを抱える人が大多数なのだと感じました。

    思考と言葉が一致しないという人は、意外に多いようにも感じますが、結局、一致、不一致が問題なのではなく、その人の資質や性格が問題なのだと感じました。
    つまり、資質や性格によっては、熊太郎のように、思考と言葉が一致しなくても愛される人もいれば、言葉が即ち思考という人であっても愛されるのだと思いました。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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