- Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120036217
感想・レビュー・書評
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勢い的にはピカレスク小説。「河内十人斬り」の浪曲が元ネタ。木戸熊太郎の思弁的な思考ゆえの哀しい話。作者は熊太郎の思弁をページにスペースなしに語らせているのだが、これが読んでて面倒くさい。
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あかんかった・・・あまりの分厚さに挫折した1度目。満を持して挑んだ今回は読了できたものの、独特の文体のリズムに最後まで乗り切れず。人は人、自分は自分とわかっていても大絶賛されている作品の良さがわからないその寂しさといったら・・・
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河内十人斬りに至る物語
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安政から明治にかけて河内の無頼者になった城戸熊太郎なる人物が心の中で思ったことを詳細に書き表し、一人の人間像を魅力的に紡ぎ出している。無法者でありながら、心優しくお人好しの主人公にいつか心を寄せてしまう。「それはやり過ぎ、もっと巧くできないか」と心配になってしまう。弟分・弥五郎も義理任侠の世界で可愛い。著者が二人を「あほである」と言い切る場面が多く、楽しい。敵役・松永熊次郎はどこまでもあくどく、熊太郎たちが気の毒でさえある。絶世の美人・森本縫の登場と魅力的な描き方、陶然とする熊太郎の姿が印象に残るが、最後まで謎に満ちた人間性だった。河内弁での悪態言葉のオンパレードが臨場感溢れる!面白く惹きこまれ、676ページを一気に読むことができた。「告白」との題名の意味するところは心の中の描写が多いからか。
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残念ながら、自分には読みづらかった!
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明治時代の河内十人斬りを元にした小説。残虐な大量殺人を犯す主人公・熊太郎の内面を描いています。それにしても長かった・・・。この変わった作風に馴染み、軌道に乗るまでに300ページもかかってしまいました。個人的には、もう少しスマートな文章で、物語全体にリズムや流れがあれば、終盤の場面がもっと引き立ったかなぁと思います。 殺害に至るまでの熊太郎の逡巡し瞑想する思考回路、他人との会話・交流が図れない様を文章で綴っており、思い通りにならないもどかしさが十分に伝わってきました。熊太郎は己の自分勝手、不真面目、理不尽さに対し、屁理屈を並べて正当化しようとし、とどのつまりは、乳飲み子の命まで奪う殺戮。 折しも巷で起きた自己顕示欲が強く自分勝手で排他的な犯人による無差別な殺傷事件と、この物語がラップし、主人公に対して強い嫌悪を感じてしまい、「殺人者の声」を題材とした文学作品として、冷静に、素直に読むことができませんでした。読む時期が違っていたら、評価が変わっていたかもしれません。。。。
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河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフにした作品。
全編が河内弁で書かれている。
幼い頃から自分の本当の気持ちが表現できず、鬱屈していた熊太郎は成長しても周囲の環境に馴染めず、そして追い詰められた熊太郎は「河内十人斬り」と歌われることになる事件を起こす。
「告白」という題名なので、加害者が事件を告白した内容かと思っていたが、城戸熊太郎・谷弥五郎の二人の恋と金の恨みを晴らすために十人斬りをした挙句、自決したという事件が書かれている。
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町田康の名を更に世間にしらしめた、非常に評価の高い作品。
河内十人斬りをモチーフにした時代小説。
非常に思索的な熊太郎は、その人の良さから人々に利用され続けていく。そしてあるとき、ついにそのタガが外れ、世間への復讐が始まる。
思索的な文章が町田康らしさみたいだけど、すっごい回りくどい文章が自分には合わないなぁ。
というか非常に厳しい。無理ぽいなぁ。