にぎやかな天地 上

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著者 : 宮本輝
  • 中央公論新社 (2005年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120036668

にぎやかな天地 上の感想・レビュー・書評

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  • 約15年ぶりくらいに宮本さんを読みました、宮本節健在。
    「そうやってここ(胸を指して)が[ねれていく]のよ、、、」これは恩師のことば。
    この小説読んで
    ねれていく、ということばがようやく腑におちるようになりました。
    「知識」や「経験」や「感情」や「意思」や「志」なんかがにぎやかにまざりあって、
    「時間」というエッセンスで「醸されていく」。
    そしてすんごいいいものができてくる。私も醸されてゆきたいな。

    先人の知恵に敬意をひょうし、そして、人間がだめにならないように、
    ちゃんと五感をつかって時間と手間をおしまずに
    だいじなものを守りたい。
    この小説を読んでいる最中に始めたぬか漬けでこのことを思いつづけたい。

  • 希少な本作りを仕事とする主人公の物語。
    小さな菌が行う業と、人が生きていく上でのいろんな繋がり。
    なんとこの世の中にこれほどまでに深遠なるものがあるだろうか。
    物事を深く考えれば、考えるほど、その意味の奥深さに頭をたれたくなる。
    生きるということに希望を与えてくれる本でもあると思う。

  • 再読です。

    ちょっとここのところ、身の回りがざわついていて落ち着かないのですが、丁寧に生きる人々を描く本書をゆっくりと読み、少し、平らかな気持ちになれたような。

    主人公は、個人で豪華本出版業を営む32歳の独身男性・船木聖司。彼の父親はまだ彼が母親のお腹にいる時に駅で引ったくり犯と間違われ、不運な事故から落命。また、そんな彼の周辺には、生と死にまつわる話が多々あるのだが、なぜか、その色合いは穏やかである…。

    仕事でも生活でも、手抜きをせずに精一杯ことにあたる、という姿勢の登場人物たちが全編に現れ、とても好ましい。

    宮本輝の語る関西弁って好きだなぁ。
    優しくて、ちょっと哀しくて、耳元で囁いてもらいたい気がするんだよね・・・。

  • 宮本輝は大好きな作家の一人だが、
    この作品はだらだらしていて読むのが苦痛。
    下巻を読むべきか、やめるべきか・・。

  • 発酵食品の本を作成していく過程で、様々な人間模様が描かれています。さすが宮本輝の作品って感じです。糠漬けが特に印象的です。自分で漬けてみたくなり、スーパーに買いに行きました。

  • 最近読んだ宮本輝の作品の中では、すごい読みやすかった。
    うんちくなども含まれているが、それ程しつこくなく、最近感じていた、これ本筋となんにも関係ないだろ、という様な違和感を感じることもなかった。
    主人公のプライベートな部分と仕事に関する部分が同時進行しているが、どちらも結論的なものがどこに向かっているのか、この先どうなっていくのだろうという興味は惹かれる内容だった。
    読み始めると止まらなくなるというようなおもしろさではないが、宮本輝らしい味わいのある本のような気がしている。
    後半に期待。

  • 生のひとつの形としての「死」

     舟木聖司は32歳。独身。豪華本の編集を仕事としている。
     偶然手に入れた彼の師匠の豪華本は、肉筆の楽譜をまとめたものだった。そこに古代ラテン語で書かれた詩があった。

     >私は死を怖がらない人間になることを願い続けた
     >だが、そのような人間にはついになれなかった
     >きっと私に、最も重要なことを学ぶ機会があたえられなかったからだ
     >
     >ならば、私は不死であるはずだ

     この4行目がわからない。この空白を彼は考える。すると、彼が25歳に死に掛けた時、書き記した言葉を思い出した。

     >死というものは、生のひとつの形なのだ。この宇宙に死はひとつもない。きのう死んだ祖母も、道ばたのふたつに割れた石ころも、海岸で朽ちている流木も、砂漠の砂つぶも、落ち葉も、畑の土も、おととし日盛りの公園で拾ってなぜかいまも窓辺に置いたままの干からびた蝉の死骸も、その在り様を言葉にすれば「死」というしかないだけなのだ。それらは、ことごとく「生」がその現われ方を変えたにすぎない。

     彼の父親は、引ったくりの犯人とまちがわれて、27歳で死んだ。そして、その殺してしまった人物は、32年間も、残された子どものために、毎月2万円を送金していた。
     そして、彼は、日本の発酵食品の編集に関わることになった。
     命は、妙に調和している。かれは、命を食べる生き物として、命としての食べ物を取材していく。
    2008-03-22

  • いいなあ

  • 発酵食品を豪華な1冊の本にまとめる事を依頼された主人公とその周囲の人たちの話。

    時間だけが解決してくれるものがある。
    それを時間をかけずに短縮させるといびつになってしまうのではないか。
    食物も人間も。

    子供を置いて家を出た祖母とその息子。
    子供を思うたくさんの詩を残して心中した母親を持つ男性。
    父親を人違いで殺されたという気持ち。
    何十年も送金を続けてきた人。
    ・・・何十年も時を経て熟した頃にやっと穏やかに受け入れられる。

  • 発酵食品から、人の死は無駄でない、という事を解き明かしていくお話でした。

    宮本輝さんにとって、阪神大震災はものすごいテーマなんでしょうね。

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にぎやかな天地 上の作品紹介

船木聖司は、謎めいた老人・松葉伊志郎の依頼により、豪華限定本の編集・製作を手がけている。今回の依頼は「日本の発酵食品を後世に残すための本」である。糠漬、熟鮓、醤油、鰹節…。日本各地を取材する聖司は、微生物の偉大な営みに魅せられていく。32年前と7年前の、ある「死」が青年編集者・船木聖司に今、にぎやかな"時間"を運んでくる…。2年ぶりの最新長編小説。

にぎやかな天地 上はこんな本です

にぎやかな天地 上のKindle版

にぎやかな天地 上の文庫

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