安徳天皇漂海記

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著者 : 宇月原晴明
  • 中央公論新社 (2006年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120037054

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安徳天皇漂海記の感想・レビュー・書評

  • 亡国、流亡、衰亡、滅亡、興亡、亡者…。読んでいるあいだ、「亡」という文字がずっと頭の隅に引っかかっていた。歴史の中で浮かんでは消える「亡」とはなんなのか、伝奇ものならではの手法でみごとに描いている。お薦め。

  • 琥珀に入った入水した幼帝・・・・・・ジャパネスクロマンやな・・・・・・

  • 歴史小説かと思ったら、まるで違った。前半は語り部が誘導してくれるけど、後半は自分で持てる限りの想像力を駆使して読まなきゃならない。広がりが予想以上ですよ。

  •  壇ノ浦の合戦で入水したとされる安徳天皇生存説を、貴種流離譚と絡めた、歴史小説の体の幻想伝奇小説。
     第一部の、敵対側の裔である源実朝による忠誠と、蒙古襲来を退けた秘技。
     第二部で、大陸を征した元のクビライ・カーンの巡遣使こと、マルコ・ポーロが見届けた結末。
     比して描かれるは、平家が擁した幼帝と、南宋最後の少年皇帝。
     一時は貿易を通じて交わった二国の象徴である、天子達の友情と、存亡を賭けた戦の末路。
     彼らは共に、海に滅びた国と一族。
     壇ノ浦を彷彿とさせる厓山の海戦の悲劇に、胸を突かれた。
     そして、流浪の幼帝が辿り着いた先、かつて廃太子の憂き目に遭った親王と、太古に廃されて棄てられた神が眠る、南の島の神秘。
     本書は、黄金の島と夢見られた古代日本への讃歌であり、小説という形を借りての、西海に沈んだ幼き主上への鎮魂歌と言えよう。

  • 落人伝説のような物語を想像していたが、まったく違った。
    壇ノ浦の後の時代に天子と関わる人々の物語。
    『古事記』『平家物語』『東方見聞録』などの史料がつながり、足跡ができていく。

    関わりは無いように見える物語がつながっていく様子に驚いた。
    第一部と第二部でまったく別の作品にも見えるが、天子を荒ぶる御霊にさせまいと動く物語の軸は一貫している。

    軸となる話が幼い天子の入水なので、物語の雰囲気は静かで哀しい。

    歴史小説ではなく歴史ファンタジー。

    序盤の鎌倉ではゆっくり進む物語に焦れましたが、舞台が移って行くに連れ世界が広がってからは、もう一気に読めちゃう。
    おもしろかった。

  • 幼帝の 御霊包みし 琥珀玉 波間漂い 時を越えゆく


    壇ノ浦の合戦で亡くなった安徳天皇をモチーフにしていたので、山口県に住んでるものとして、興味があって読んでみました。
    面白かったけど幻想小説としては少し地味かもしれません。

  • 壇ノ浦で入水したはずの安徳天皇が実は・・・、という話はよくあるんだけど、これは琥珀の玉の中で老いもせず生き続けてる、といういきなりなんだかすごい特殊なイメージ。
    山田風太郎とかともまた違う、こゆのなんていうんだろ?歴史ファンタジー?伝奇?
    どこへ連れて行かれるかわからないのが面白くもあり、微妙に不安でもある。
    第二章での南宋の少年皇帝がせつなくてしんみり読んでたら最後の最後は古事記にまでさかのぼってく怒濤の展開。
    不思議な本だった。一度では消化しきれなかったので、もう一度読みたいです。

  • 文体になれるまでが大変。世界観は他に類をみない出来。

  • 何とも読みづらくて、すぐやめてしまった。平安時代の安徳天皇のしもべみたいな人の語り調で辛かった。

  • 源平の争いの最中、壇ノ浦で入水された安徳天皇。
    齢6歳で崩御された幼帝の魂は鎌倉へ、そして中国の抗州へ。。。

    物語は2部構成でつづられる。

    第一部は三代将軍 実朝時代の鎌倉。
    陰謀蠢く鎌倉で、実朝が海外への夢。実朝はなぜ大船建設をしてまで海外への夢を持つに至ったかを、漂う安徳天皇の魂が巻き起こす騒動とともに描かれる。
    実朝の従者の視点で、語られる。

    第二部は、元朝皇帝フビライ時代の抗州。
    元の侵攻により、滅亡寸前の南宋。
    南宋最後の皇帝祥興の悲劇を、安徳天皇との不思議な符合をモチーフに描かれる。
    当時、元皇帝フビライの側に近侍ていたベネチアの商人マルコポーロの視点で語られる。

    第一部と第二部では、文体が全く違います。

    第一部では歴史書(主に吾妻鏡)を意識しており、硬派な時代小説と行った雰囲気ですが、二部に入った途端にライトなファンタジー小説風の雰囲気に。

    正直、第二部は辛かったです。

    荒唐無稽な話も、第一部のような世界観のディティールにこだわっていれば、世界にのめりこめるのですが、第二部は語り口のせいなのか世界観に深みがないため、安っぽいファンタジーを延々読まされているような感想でした。

    読了後は、第二部の印象が強いため、第一部のいい部分も記憶が薄れてしまう。
    この小説、第一部のみで完結した方がよかったのではないでしょうか?

  •  壇ノ浦の合戦で入水した幼帝安徳天皇は、琥珀色の玉に包まれて海を漂う・・・。
     源実朝が自分の首を捧げることで日本を救う第1部、マルコ・ポーロが黄金の島に辿り着く第2部とも、史実をファンタジーで紡いでいく手法の巧みさに驚かされます。
     そして、要所を和歌でバシッと決めるのも素敵であります。
     また、ストーリー全体が澁澤龍彦「高丘親王航海記」を下地にしているのですが、かの名作とは味わいの異なる美しさに酔いしれそう。特にラストのへんとか。

  • 鎌倉時代の実朝、安徳天皇から、元のクビライ・カーン、マルコ・ポーロまで、どうやって話をつなげるのかと思っていたので意外性にびっくり。
    蛭子など古事記のモチーフまで織り交ぜてわたしごのみのミステリーのはずなのですが、全然引っ掛かりませんでした。文章もながれる筆致で読みやすかったのですが、単純に好みでなかったようです。
    ざんねん。 

  • 鎌倉時代が好きなので、面白かった。この作者の他の本はちょっと苦手なのもあったけど、この作品は文句なく感動した。

  • 入水した安徳天皇は真床追衾と言う神器に守られて一人眠り続け、瀬戸内から江島、更には大陸の海へ、そして大陸の南の孤島へ辿り着き安らぎを得る。
    澁澤龍彦氏の『高丘親王航海記』的な貴種流離譚だと思って読んだので大分方向の違う話に面食らった。
    安徳天皇は受動的な立場。彼の周りで起こる彼の引き起こした出来事を源実朝の側近とマルコ・ポーロが語る進め方だった。

  • 第19回 山本周五郎賞

    壇ノ浦合戦の折り、二位の尼に抱かれて入水した幼帝・安徳天皇。史実ではそこで安徳帝の生命は絶たれたことになっているが、果たして本当にそうなのだろうか。
    歴史ファンタジーを得意とする作者の手にかかれば、実は大きな琥珀の玉に封じられて、夢を通じて源実朝や南宋皇帝、マルコ・ポーロ、クビライ・カーンなどと関わっていく、という壮大で美しい物語へと変貌する。
    第一部は、右大臣にまで昇りつめ、気鋭の歌人でありながら名ばかりの将軍として苦悩の日々を過ごした源実朝の近衛兵であったという人物の口から、実朝と安徳天皇との出会いから旅立ちまでが語られ、第二部では、安徳天皇と南宋皇帝の出会いから別れなどについてが第三者によって語られ、マルコ・ポーロやクビライ・カーンなども登場する。
    ファンタジー小説によくありがちな、有り得ない設定のオンパレードに辟易する。といった現象は、この小説においては相当軽減されるだとうと思う。なぜなら、時代や場所を超えて幾多の歴史上の人物をつなぎ、実在する詩などを要所で紹介することによって現実味のあるストーリーを作り上げているからだ。
    これまでも歴史ファンタジーの名作を書き上げてきた作者だが、その博学博識に支えられた想像力、そして何よりその筆力には脱帽せざるを得ない。

    2006年2月/中央公論新社/単行本

  • 圧倒的な世界観!

  • 「浪の下にも都のさぶらふぞ。」壇ノ浦の戦いで入水した幼帝。僅か8歳の子供を政争の犠牲にしなくとも…、と此処までは誰しも思う事だが、ここまで圧倒的な世界を創り上げるとは!
    神話と史実と虚構が混然一体となった壮大な叙事詩は、無味乾燥な教科書的史実を明らかに凌駕している。
    特に第二部の息が詰まる様な叙情的な幻想世界は凄い。酸欠になるかと思った(笑)
    そして、日本・中国・欧州、異なる世界・時代の事象と伝説が、蜜色の光を浴びてシンクロしていく様が幻惑的で美しい。
    作中で或る有名人が語る台詞を引用し締め括りたい。「かかる妖しき話は、無用なる故にそそられる-。」

  • それは、ジパングの若き王の物語。稀代の覇王の息子でありながら、もはや騎士ではなくなってしまった、生まれながらの詩人である若き王の物語.
    宰相たる叔父と冷徹なる母が、粗暴すぎる武人であった兄を王位から追放し惨殺させrたことが、すべての始まりだったという。
    父王の兵が滅ぼしたはずの皇帝、天国でもない地獄でもない煉獄につなぎとめられているかのようなこの少年を守り続ける魔術師の一団、うごめくもう一人の皇帝と貴族たち、古代の神々の宝物、予言する星々、光を失った太陽に月、嫉妬と憎悪に狂う甥、反乱と鎮圧、亡命と挫折、波を渡る夢と雪に散る血、暗殺、それも血縁の手による…
    (本文より)

  •  天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ:草薙剣)・八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)――――。謂わずと知れた「三種の神器」である。代々の天皇(すめらみこと)の身を護り、皇位の象徴であるとされる三つの呪物(じゅぶつ)…。しかし、この三つの神器のほかに、実はまだ密かに受け継がれる神器が在った………!? 歴史の表舞台には決して現れることのない、その秘された神器をめぐって流転する物語が、この『安徳天皇漂海記』である。そしてその神器の名は「真床追衾(まとこおうふすま)」と呼ばれる。

     鎌倉幕府の第三代征夷大将軍・源実朝(みなもとのさねとも)は武門の棟梁ではあったが、都の風流(ふりゅう)を愛し、敷島の道(歌道)に打ち込んだ、繊弱とも思えるほどの温厚にして心優しい将軍であった。その将軍家・実朝のもとへ、ある時、鴨長明(かものちょうめい)入道が訪れる。長明入道は琵琶をかき鳴らし、平曲を語り、壇ノ浦の合戦における最大の悲劇を物語る。すなわち、安徳帝入水…。時の天皇とはいえ、まだ八つにしかならぬ幼な子が祖母である二位の尼に抱かれて、壇ノ浦の渦巻く潮流に呑み込まれていったあの悲劇を、長明入道は、あろうことか実朝に向かって語り聞かせるのであった。

     三代将軍・実朝にとってみれば、安徳帝の悲しく孤独な最期は、父・源頼朝や叔父・源義経らが平氏一門を壇ノ浦へと追い詰め、掃討したゆえの結果であり、都や内裏を敬愛する実朝にとっては、自分が連なる源家が安徳帝を亡き者にしたとの想いに胸のふさがる心地がする。そして鴨長明が、あえて彼に平曲を語って聞かせたのには、一つの理由があったのである。

     それは、安徳帝と共に海中へと消えた神剣・草薙剣(くさなぎのつるぎ)の行方。安徳帝が都落ちして後は、後鳥羽天皇が皇統を継いでいたが、この後鳥羽院は草薙剣が手元にないまま、帝位にのぼらねばならなかったという極めて特殊な事情を持っている。それゆえに、後鳥羽院の草薙剣に対する執着には並々ならぬものがあったのだ。ちょうどこの頃、天竺丸(てんじくまる)と名乗る正体不明の男が、平氏の残党であることを匂わせて都を騒がせており、後鳥羽院の密命を帯びていた鴨長明は、その天竺丸の足取りを追っていた。その男が草薙剣についても何かしらの情報を握っていると思われたからである。鴨長明は、後鳥羽院とも懇意の源実朝に、天竺丸が接触してくる可能性があるとして、もしも神剣と天竺丸の行方が知れたなら内裏に報告するようにと釘を刺しに来たのであった。

     だが天竺丸は、鴨長明という内裏の隠密の眼を易々とかいくぐって実朝との接触を果たす。そして、彼に「あるもの」を引き合わせるのである。江ノ島の洞穴の奥深くに安置されたそれは、神変不可思議な、この世のものとも思えぬ存在であった。蜜色の、琥珀の如き、楕円のようでもあり瓜形のようでもある、てらりとした黄金色の光を四方に放つ玉の内部に、美しい黒髪と天子のみが着用を許される山鳩色の衣を揺らめかせながら眠る童子がいる。安徳帝・言仁(ときひと)その人である。見れば、小さな胸はかすかに上下し、蜜色の玉の中で帝は確かに生きているようである。そしてその可憐な御手にしっかと握られているのは、まごうかたなき草薙剣。安徳帝は壇ノ浦の合戦から二十数年を経た今でも、童形(どうぎょう)のまま神剣を有し、自らを包んで死と老いから遠ざけている四番目の神器とも共に在ったのであった。その神器こそ「真床追衾(まとこおうふすま)」である。

     「真床追衾」――。
    それは神代の昔、天孫降臨に際して天照大神が孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を地上に降ろす時に彼を包んだとされる衾(衣・かいまき・寝具のようなもの)だという。とくに本作品では、物語のずっと後半で明かされることになるが、「真床追衾」は... 続きを読む

  •  日本史上最年少で崩御した天皇、安徳天皇が生きていて、日本に大きな災いをもたらすというようなお話。安徳天皇と源実朝、さらには文永の役までもを結びつける第一章は、オカルトだけれど歴史のミステリーを解いているようで結構面白い。歴史の教科書では、暗殺されたという事実と金槐和歌集の名前だけで消える実朝が、思慮深く優しい人物として魅力的に描かれている。
     第二章は若きマルコ・ポーロが、第一章の話の真偽を確かめる話となっている。ここでさらに本筋は古事記にまでつながっていくのだけど、そちらはもうなんだか話が大きすぎてちょっとトンデモ本な感じに(笑)ただ、南宋滅亡のシーンは、まさに壇ノ浦の平家滅亡を彷彿とさせるいいシーンだ。

  • だいぶ昔に読んだ本。

    まさかの超自然ファンタジー。歴史ものだと思って手に取ったのでショックだった。

  • 前半は実朝に仕える人物の視点から、孤独な将軍実朝の苦悩と、壇ノ浦に沈んだはずの安徳天皇の不思議な運命が描かれます。
    雰囲気たっぷりの古典ファンタジー。
    澁澤龍彦の「高丘親王航海記」と似ていると思ったら、実朝が高丘親王に惹かれていたということがあったのですね。
    後半は南宋の少年皇帝との時空を超えた交流にマルコ・ポーロが絡むというさらに意外な展開!

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安徳天皇漂海記の作品紹介

悲劇の壇ノ浦から陰謀渦巻く鎌倉、世界帝国元、滅びゆく南宋の地へ。海を越え、時を越えて紡がれる幻想の一大叙事詩。

安徳天皇漂海記のKindle版

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