八日目の蝉

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 1031
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038167

作品紹介・あらすじ

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるのだろうか。理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。角田光代が全力で挑む長篇サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で見かけてどうしてもまた読みたくなって借りてきた。
    基本的に一度読めば満足するのに。
    八日目の蝉は他の蝉が見られなかった景色が見られる。
    見られたかな。希和子も。薫も。
    どうしても希和子と薫がまた再会できる未来を祈ってしまうけど、絶対にそれは叶わない。
    だからせめて幸せでいますようにと願いながら本を閉じた。

    • ちゃたさん
      翠さん、こんにちは。
      ブクログアワード受賞おめでとうございます( ^-^)∠※。.:*:・'°☆
      読書量がすごくてびっくりです。
      八日目の蝉...
      翠さん、こんにちは。
      ブクログアワード受賞おめでとうございます( ^-^)∠※。.:*:・'°☆
      読書量がすごくてびっくりです。
      八日目の蝉、再読したい作品ですね。希和子のしたことはいけないのに、逃避行を応援してしまいました。映画版もよかったです。
      2024/02/10
    • 翠さん
      ちゃたさん、こんにちは(^^)
      ありがとうございます(๑>◡<๑)
      みなさんのおかげです♡

      私芸能関係?疎くて映画化していたことも知りませ...
      ちゃたさん、こんにちは(^^)
      ありがとうございます(๑>◡<๑)
      みなさんのおかげです♡

      私芸能関係?疎くて映画化していたことも知りませんでした。。
      そうなんです、ついつい希和子を応援してしまって。
      ラストはお互い気付け!と思わず念じてしまいました。
      映画版も今度観てみたいなぁ♪
      2024/02/10
  • 愛人に自分の子をおろさせられた女が、愛人の子と逃げに逃げる、その先は
    八日目の蟬
    2011.01㈱大活字発行。字の大きさは…大活字本。2022.02.09~28音読で読了。★★★☆☆

    第1章
    1985年2月3日。野々宮希和子29才は、愛人・秋山丈博(たけひろ)の生後6ヶ月の女の子を攫い行く当てもなく逃げていく。所持金は、父の残してくれた四千万円ほど。女の子に「薫」と名前を付ける。警察は、希和子を誘拐犯人として指名手配する。新聞に写真入りで希和子の記事が載る。居る所のなくなった希和子は、お金をむしり取ると噂されるエンゼルホームへ逃げ込む。
    1987年8月13日。薫を連れてエンゼルホームに逃げ込んで約2年半、エンゼルホームに警察の立ち入り調査が入りそうになり所持金など10万円ほどをもって、薫と一緒に小豆島へ逃げてくる。ホームに入る時にもっていた全財産は、ホームに差し出しています。
    小豆島に来たのは、ホームで知り合った久美さんからお母さんに「無事だ」と一言託された伝言を伝えるためです。そして久美さんの実家の素麺店で薫と二人で楽しく生活している。そんなさなか花火大会の折に撮られた写真が新聞に載ったことで…警察に捕まり薫は、生みの親である秋山夫婦のもとに戻される。不倫相手の子供を誘拐して、3年半の逃亡生活に終止符がうたれます。

    第2章
    それから18年。2005年。薫こと秋山恵里菜は、「誘拐犯に育てられた子」という目で見られ。そんな中で大学に進学し、親元を離れひとり暮らしをし、家庭を持った岸田と肉体関係を続けている。アルバイト先にエンゼルホームで一緒だった、当時11才か12才のマロンこと安藤千草が、エンゼルホームでの薫の事を本にして出版しょうと近づいてくる。
    恵里菜は、岸田の子供を妊娠していることに驚き、子供をおろそうとするが医師に「緑の頃に生まれる」と言われると。ふと岸田と別れて、ひとりで生むことを決意する。千草の勧めで、希和子と生活していたエンゼルホームや、小豆島へ行ってみことにする。
    恵里菜は、小豆島に渡る岡山港まで来たときに、今まで覚えていなかった小豆島での楽しい思い出が次々に思い出されて行く。そして後ろから「薫」と呼ぶ声に振り返るが、そのままフェリーに乗って行く。そこには、8年の刑期を終えて世間から逃げ続けてきた希和子が、小豆島へ渡れずに時間があればフェリー乗り場で小豆島へ立つフェリーに乗る薫がいないかと見続けていた。

    【読後】
    ラストが刑務所から出て、世間から逃げ続けて来て、薫との一番楽しかった思い出の小豆島へ渡れないでフェリー乗り場で薫を見続ける希和子。希和子との思い出を封印してきた恵里菜が、私は希和子と違う、この子を生むと決めて小豆島での楽しい思い出を同行の千草に語る恵里菜、このまますれ違っていくのか。こんなラストでいいのか。これからもうひと話あってもいいのではないか、と思えて仕方がありません。

    【音読】
    2022年2月9日から28日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、2007年3月発行の中央公論新社から発行された「八日目の蟬」です。本の登録は、中央公論新社で行います。株式会社大活字発行の大活字本は、第1巻~第3巻までの3冊からなっています。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【令和4年(2022年)2月に読んだ本】

    2月に読んだ本は、22冊です。
    今月読んだ中で特に印象に残った本は、角田光代さんの「対岸の彼女」です。
    読んでいる時に、なにか自分の知らない世界がそこに有る。そして、そこに生き生きと、力強く生きて行く人たちがいるのを感じました。
    そして感想を書こうと考えると、ふと思いがまとまらず、もう一度見直していたら。強く心が揺れ、不安定になっていくのにビックリします。よほど影響されています。そして自分の高校生時代を振り返り考えているのに驚きます。
    皆様の応援で2月も楽しく読書が出来ました。
    ありがとうございます(⌒-⌒)ニコニコ...

    今月のベスト本は、下記の2冊です。
    ★★★★★は、今月はありません。
    ★★★★☆は、下記の2冊です。
    対岸の彼女 ―――――――――――――――――――――― 著者/角田光代
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4163235108#
    精霊探偵 ――――――――――――――――――――――― 著者/梶尾真治
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4104402028#
    ※令和2年(2020年)1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト本をのせています。

  • う〜ん難しい(*_*)
    一つの作品として読ませるものはあった…

    母性って何でしょね?
    母性本能とか女にあるって誰が決めたのかな?

    わたし子供2人産んで育てましたけど、母性ってだけで育てたと思ってないですよ。

    そもそも不倫相手の男がクソですね。
    不倫はわたくし全面的に否定はしませんけど。

    誘拐と母性を一緒にしたらいかんでしょ!
    円満な夫婦が2人が悲劇をお互い支え合って
    一年後に子供をつくるならまだわかる。
    この夫婦違うでしょ(*´-`)
    って考えたら小説になりませんね笑

    人生を狂わされた子供が可哀想です。


    • みんみんさん
      みんな普通に面白いやつ☆3にしてるんだね!
      あっ…わたし通知表ほとんど3だった(°▽°)
      みんな普通に面白いやつ☆3にしてるんだね!
      あっ…わたし通知表ほとんど3だった(°▽°)
      2022/10/14
    • ひまわりめろんさん
      わたしは通知表ほとんど5でした(ー_ー)
      わたしは通知表ほとんど5でした(ー_ー)
      2022/10/14
    • みんみんさん
      やればデキる子…と言われ続け笑
      やる気スイッチ発見できず╰(*´︶`*)╯♡
      やればデキる子…と言われ続け笑
      やる気スイッチ発見できず╰(*´︶`*)╯♡
      2022/10/14
  • 社用で警察署に行って来ました(悪いことしたわけでもされたわけでもありません)
    指名手配犯や行方不明者の写真が所狭しと貼ってあり、探しても見つからない人見つけられない人がこんなにいるんだなぁと妙に感心してしまいました

    タイムリー(なのか?)に『八日目の蝉』です

    角田光代さん初読なんですよね
    初読でこれは失敗したな〜って思いました
    これ、感動とかしないですよね
    角田光代さんも感動させようと思ってないでしょうけど
    特に1章はどこを切り取ってもプラスの感情は感じませんでした
    希和子が薫に向ける無償の愛も嫌悪感の対象でしかなかったです
    なにそれ?なにも共感できないしなにも肯定できない
    2章を読んでも自分勝手な大人たちに人生を壊された二人の物語としか思いません
    はたして『八日目の蝉』は幸せだったのか?
    もし二人が『八日目の蝉』なのだとしたら「幸せ」としてはいけないような気がするのです
    もちろんこれからは幸せになってほしいと思います
    幸せな九日目十日目を生きてほしいと思います
    思いますが八日目をわずかでも良しとすることは自分には受け入れられないのです

  • なんとなく想像していたのとは全く印象の違う物語だった。
    角田さんはやっぱりすごいなと思う。
    何も言えなくなってしまうのだ。登場人物がしでかしたことに。
    あらすじを聞いただけの時は、ひどいとか、こわいとか、言うことが出来た。
    この物語の中の人達は本当にひどいことをしている。今だってそう思う。
    でも、角田さんの文章を読むと、私には何も言うことが出来ないなと思ってしまう。
    その人の不安、恐怖、葛藤、優しさ、弱さ、そういった自分ではどうにもコントロール出来ないものの波にのまれてしまう。
    私も一緒に流されて、もがいてしまう。
    どうにか逃げ出そうとするけど、呼吸をするので精一杯なんだ。
    どうしたらいいのか分からないんだ。
    そういうことが分かってしまうから。

    「どうしてふつうにできないの」と責められるシーンがある。
    その言葉は泣きながら発せられる。
    「ふつう」なんてないことをきっとその人だって知っている。
    自分が「ふつう」なんだと、きっとその人は思っていない。
    でも「ふつう」になりたい。あなたには「ふつう」でいてほしい。そう願っていたのに…。
    そんな想いが込められた言葉だと思った。

    角田さんの小説は「ふつう」という概念をいつもひっくり返してくれる。
    『八日目の蝉』を読み終えた今、「ふつう」じゃない人なんていないような気がしている。
    人間て弱くてもろくて、流されちゃうのが「ふつう」なんじゃないだろうか。

  • 『遠ざかれば遠ざかるほど、色鮮やかになる。人の記憶とは、なんと残酷なんだろう。』

    希和子と薫を見ていると、何が「真の親子」なのだろうか?と考えさせられました。

    希和子といると、住民票も戸籍もない状態なので、社会的身分が存在しないため、学校に通えないのは明らか、家族の元へ返されるのは合理的だと思います(そもそも誘拐ですし笑)。
    ただ、その後の薫の苦悩から、本当にそれで良かったのかな?という思いもあります。
    誘拐されなければ普通の家族で幸せになれたのでは?と思いたいですが、不実の父親とヒステリックな母親を見るに本当にそうなれたのか?という疑問も浮かび、(タラレバを言えばキリがありませんが)いろんな世界線の薫を想像してしまいます。

    タイトルにもなっている「八日目の蝉」の解釈が、登場人物の前を向いていく姿を示していて印象的でした。
    「…七日で死ぬって決まってるのに死ななかった蝉がいたとしたら、仲間はみんな死んじゃったのに自分だけ生き残っちゃったとしたら…そのほうがかなしいよね」

    「…八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ」

    最後に、物語の舞台となった小豆島の描写が気に入ったので記録しておきます。
    『(あの島で生まれる)子どもはきっと、凪いだ海を、浮かぶような島々を、風にはためくオリーブの葉を、高く澄んだ空を、目を開いてすぐに見るだろう、島に漂っていたお醤油のにおいを思いきり吸い込むだろう、そして安心するのだ、暗い場所から出てきた先が、自分を祝福するように美しいことを知って。』

    一見して終始暗い話の中に、一筋の光をもたらす自然の力は素晴らしいなと感じました。

  • 泣けました。愛憎の定義とは何なんだろうか?
     
    希和子の言葉に涙が止まらなかった。
    「愚かな私が与えてしまった苦しみからどうか抜け出していますように。どうかあなたの日々がいつも光で満ちあふれてますように。薫。」
    薫の朝ご飯を心配する希和子の姿。もう母親でしかない。

    八日目の蝉の意味は薫と希和子の小豆島で愛に溢れた二人の生活と捉えました。

    0章の茶化すみたいに、認めるみたいに、なぐさめるみたいに、許すみたいに。出会い。
    そして、2章で二人の愛は正にそれと意味し祝福するかの様に瀬戸内海の海面が光かる。

    小豆島の写真館で撮った同行二人の姿を思い浮かび涙が机に光かった。



  • 「ねえ恵理菜。あんたは母親になれるよ。ナントカさんて人と、いっときでも恋愛したんでしょ。自分が好かれてる、必要とされているってわかったんでしょ。だったら母親になれる」(P.319)
    遠ざかれば遠ざかるほど、色鮮やかになる。人の記憶とは、なんと残酷なんだろう。(P.344)

  • 面白くて一晩で読んでしまいました
    まだ頭の中をいろんなことがぐるぐる回っています。

    と言っても、やっぱりこれは現実にはないと思います。
    『日野OL不倫放火殺人事件』を元にしていますよね。
    この加害者の気持ちはわかります。

    でも不倫相手の子供を誘拐して、自分の子どもとして
    愛して育てるっていうのは、ありえないと思います。
    憎くて、嫌がらせで誘拐するっていうならわかります。

    実際この被害者家族の心を酷く傷つけました。
    「子供は3歳(5歳)までに親孝行の大部分をする」っていう説があるくらい、その頃の子供は可愛くて、その大事な時期をとりあげてしまったというのは大きいと思います。
    でも希和子はそういうことを狙ったわけではありません。

    赤ちゃんを自分のおなかで育て、胎動を感じ
    その時期の大量なホルモンの影響で
    母親らしい、子供を愛する気持ちが湧き出てくるのだと思います。

    ですから、なかなか子供のできない女性とか
    母親になる準備が充分できたのに死産になってしまったとか
    そういう女性がどうしても赤ちゃんがほしいという気持ちはわかります。

    中絶の延長線上に「この子の母になりたい」というのは
    やっぱり不自然だと思います。感情移入できません。


    でも、私にはそもそも不倫だって考えられないし
    上の件を否定してしまったら物語は進まないわけだから
    単に一意見として書きました。

    小豆島に行ってみたいです。

  • どうしても誘拐犯を贔屓目に見てしまうのは何故だろう。被害者やその家族も一生辛い思いをしなければいけないのだろうが。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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