川の光

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 437
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038501

感想・レビュー・書評

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  •  読売新聞に連載されていた小説を単行本化したもの。
     連載中は大人気だったらしい。

     物語の主人公はクマネズミの親子だ。
     自然に恵まれた川辺で暮らしていた親子が、開発によって棲家を終われ
     新天地を求めて旅にでるのだが、途中でさまざまな危険にあい、命も
     危うくなる・・しかし、危機一髪で助けが現れ、ついに新天地にたどり着く
     というファンタジー。
     
     ネズミが主人公という話に馴染めなくて、なかなか読み進めなかった。
     冒険に次ぐ冒険、危機一髪の連続なんだけど、そのたびに助けが現れ
     ・・・というのが子供だったら素直に「良かった~♪」と思えるのだけど、
     私にはなんだか「嘘っぽく」感じられてしまった。
     ファンタジーなんだから「嘘」でもいいんだけど、あまりにご都合主義な
     感じがして素直に読めなかったのだ。ていうか、私がもう子供の心をなく
     しているのかもしれないけど・・。

  • ハラハラドキドキで最後は綺麗に終わるザ・物語!という感じです。私はこういうオーソドックスな展開も好きです。動物が好きな人なら楽しめるんじゃないかしら。あと、優越感を幸福と勘違いしちゃいけないとか、友達ってなんだろう?とか、読み進めるうちに意外と深いこともいつの間にか考えさせられてる、そんなお話でした。私はタミーになりたい。

  • 子供向けかと思ったら
    なんだかんだで深い事言ってる

  • p21「『(前略)なあタータ、ぼくらほど幸福なネズミはいないんだよ。』口数のすくないお父さんがいっぺんにそんなに喋るのは珍しいことだったので、その言葉はタータの心に深く刻みこまれた。」


    ネズミの親子が、住んでいた川を追い出され新しい住処を探しに行くまでの冒険の話。
    子ども向けかと思いきや、なかなか残酷な箇所もあり…温かいほのぼのなおとぎ話ではありません。自然界の美しさはもとより、残酷さの描写もあり、それが何より引き立っています。素敵です。


    子どもの読書感想文に向いてるような気がしなくもないです。
    ラストの語り手の話す箇所が印象的でした。盛り上がりもすごかった。
    そしてちゃんとそれぞれの後日談というかも回収してくれる所に愛を感じました。
    僕っ娘タミー超かわいい。



    p94「そして、図書館なんていう、こんな巨大なものまで、どうして人間たちは作ったのかな」とタータがさらにつぶやく。
    「さあ」グレンはしばらく黙って、やがて「怖いから、じゃないのかな」とぽつりとつぶやいた。
    「怖いって……何が怖いの?」
    「死ぬのが、怖いんじゃないのかな」

    グレンのいる図書館のシーンはとても好きでした。
    図書館のシーンがとても好きでした。

  • 王様のブランチの優香が絶賛していたので読んでみたが、ネズミ親子三匹の大移動冒険物語だが、百田直樹の「風の中のマリア」のような生態学をある程度ベースにおいたような話ではなく、動物を擬人化したディズニー的童話であった。

  • ネズミが主人公の、ほのぼのとした子供向け小説・・・かと思ったら、想像以上に過酷な運命が彼らを襲います。

    人間にとっては何でもない距離でも、ネズミにとっては生死を賭けた大冒険になるんですね。

    はらはらドキドキ。タータたちを一刻も早く安心できる場所に行かせてあげたくて、なかなか本を閉じることができませんでした。

  • 秋から始まった新聞小説『川の光2 タミーを救え』を
    楽しみに読んでいるのですが、2ということは1がある?と
    思って調べてみたらありました。知らなかった。
    そういえば同じタイトルでNHKでアニメをやっていたなぁ。
    私は動物が好きなので、次から次へと辛いことが起きるたびに
    早く最後のページになれと思ってしまう。このお話もそう。
    この主人公の3匹の親子ネズミも何度死を覚悟したか…。

    「三匹のネズミが死にかけている。
    銀河系の辺境の、とある恒星の周りを公転する、地球という
    ちっぽけな惑星の上での出来事だ。」

    ここから始まる第二部28を読んで胸が苦しくなりました。
    どうしても原発で立ち入り禁止区域となった土地をさまよう
    牛や豚や犬や猫たちの姿が目に浮かんできてたまらなく
    なりました。
    仲良く飼われていた猫たちが共食いの果てに命を落とし、
    野犬となった元飼い犬たちは殺処分される。
    神様は自分の姿に似せて人間を創ったそうですが、
    その意味は、他の生き物たちが地球で生きていくあらゆる
    手助けがしやすいからではないのかと思うのですが、
    神様の意思に反したことばかり繰り返している人間。
    この本はただのネズミ親子の冒険物語ではないです。

  • チッチとタータ癒されるー
    ゴールデンレトリーバーが阿呆キャラなのが可愛らしく、実際のこの種の犬のイメージと合致した、賛成!

  • 泣きました!笑いました!
    ネズミの家族の引越物語。一言でいえばそーゆーお話なんだけど
    なんかもう、すごくいい!
    次から次へと襲い来る困難。
    どーやらこれは新聞小説だったようなので、
    これは毎日読むの楽しかっただろうなあ。読売新聞とっときゃよかった。
    ちいさな、ちいさな生き物が本当に懸命に生きる姿は
    健気で、力強い。
    私は人間なので田中先生とか圭一くんとか、
    優しい人間もでてくるとこがめっちゃぐっときた。
    そして動物病院でお父さんとタータが棒になってたのに爆笑した。
    いや、必死なのだろうけど、ごめん、なんかかわいすぎる。
    奥さんがいい人でよかった~!
    あーそれから溌剌元気いっぱいなタミーサイコ~!
    友達だからって・・・・。うう私もタータにもらい泣きしちゃったよ~。
    でもってよーやく家族三人新天地へと思いきや、最後の最後で雪!
    ほんっと、どーなることかと。うう、助かってよかった!

    次なる大冒険ってなんなのしら?メッチャきになる、読みたい~~!
    あーそれからグレン達の冒険も、是非是非一冊にしてほしいです!!

  • ネズミの親子の手に汗を握る大冒険。

    子供に読み聞かせのに良いのでは?
    臨場感たっぷりの冒険っぷりには、大人でもハラハラ。

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著者プロフィール

1954年生れ。詩人、作家、評論家。
1988年に詩集『冬の本』で高見順賞、95年に評論『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、2000年に小説『花腐し』で芥川賞、05年に小説『半島』で読売文学賞を受賞するなど、縦横の活躍を続けている。
2012年3月まで、東京大学大学院総合文化研究科教授を務めた。

「2013年 『波打ち際に生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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