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この作品からのみんなの引用
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「いや、そうじゃなくてさ、子供って、誰かに伝えたいと思って、木に登るわけじゃないんだよ。木に登ったらどんな景色が見えるのか、ただ、それが知りたくて登るだけなんだよ。でもさ、年取ってくると、木に登らなくなる。万が一、登ったとしても、それを誰かに伝えたいって気持ちが先に立つ」
― 147ページ -
単なる順序の違いなのだが、耳の聞こえない恋人として響子を紹介するのではなく、響子という恋人の耳が不自由なのだと伝えたかった。
― 112ページ -
以前なら、先に口から飛び出していた言葉を、まず頭の中で文章にして、それをメモ帳に書く。とても単純なことなのだが、この経緯が、人を、というか、人間の感情を収めてしまうこともあるのだ。
― 49ページ
みんなの感想・レビュー・書評
神宮周辺で映像が浮かびやすかった。よくまとまった小品。男の理想の女を描いた感じがしなくもない。映画として綺麗につくれそう。仕事部分は難しそうだけど。
2006年にかかれた小説、だけれども、2011年3月からこれまでのことをふりかえりつつ読むと、ものすごく、身につまされる。 私たちは知っていた。知っていたのに、関心をもたなかっただけなのだ。そう、知っていたのに。<略>心のどこかで、いや、そんなはずはない、そんなことが起こるわけがないとたかをくくっていたのだ。<略>楽観的な気持ちのほうを信じて、声を上げなかったのは誰か。大丈夫だと思う気持ちは... 続きを読む »
自分の語彙ではうまく感想を表現できないのがもどかしいですが、静かな大人の作品です。ラストをはっきりさせないところが不完全燃焼ともいえますが、逆にストレートなハッピーエンドにしてしまうと陳腐になるかも。
私の好きな吉田氏の作風で、ヒットした「悪人」よりこちらの方がずっといいと思う。
なんで響子が音信不通になったのか分からないからすっきりしない。何でも理由がほしいタイプなので(笑)。
恋愛小説とかあんま好きではないけど、かなり素晴らしい
自分とは違う世界の人に対して、理解を深めようと思いを巡らせるけど、それは不可能だと悟る主人公の悩ましさとか、日常にのみこまれて大切なことに対しても少しの思案もしなくなる人の怠惰さとか、自分の中では当たり前のことが他人にとってどうなのか考えたことがない傲慢さ、などなど誰しも一度は似たような経験のあるような思索の様が描かれてます
伝えることと伝わること 【内容】 テレビ局の番組制作者である主人公と、耳の聞こえない女性との恋愛が中心になって進む物語 【感想】 伝えることが仕事のテレビマン。 彼女は伝わることが難しい耳の不自由な女性。 世の中には音や会話があふれており、僕らは全て伝わっている気でいる。 だが、本当に知っているのだろうか?伝わっているのだろうか? 物語で出てくる、主人公の過去の女た... 続きを読む »
レビューが書きにくいです。耳の聴こえない女性を愛した男の日常生活、っていうだけですでにボクにはリアリティがない。でも、それなりに共感できるのはなんでだろう。こうした関係に、どこかで、あこがれているのかもしれない。
耳の不自由な方に「私はあなたの耳が不自由なことなんて、何も気にしませんから」ってわざわざいうことは、耳の聴こえる人に「私はあなたの耳が聴こえることなことなんて、何も気にしませんから」っていうくらい可笑しなことだって(文章は不正確です)いうところに、はっとさせられた。
バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。
他の著作にもれず、今回も読みやすかった。
そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。
文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間に読み終わったのは事実だが)、余分なことを書かないというか、読み手に委ねる部分が多いというか、そういうこと。
だから、言葉は少ないのに、いろいろな思いが胸中に膨らんでくる。
やはり、うまい作家なのだと思う。
本作はあまり物語の起伏は多くなく、作中度々語られる、怖いような「静けさ」は妙に伝わってくる。
そのあたりもあってのことだとは思うが、最後、彼女に起きたことについて具体的には全く触れられていないのが、ちょっと消化不良気味かな…。
耳が聞こえない女性と付き合う男性の話。 テレビ局勤務の男性が主人公で、今は報道を外されて腐っているのだけど、タリバンの大仏破壊のスクープ情報を得て情報を追うことで自分のやりたい仕事に集中していく。一方で、耳が聞こえない女性と出会い、付き合うようになり、彼女を守ろうとするのだけれども、番組製作で忙しくなると、「守る」ことができなくなる。 耳が聞こえない女性響子の静かなあり方が魅力的... 続きを読む »
吉田修一さんのよく描くタイプの男性と
耳の聞こえない女性との恋愛小説(?)
“自分が勝者だと分かっているくせに、敗者に負けを認めさせたがる声も”
という言葉がどうしても気になってしまう
確信があれば確認の必要はないはずだなと…
そんなことはわかっていて、相手を無理に上げて
自分と切り離そうとしているように思えるから
そのことにちょっと情けない気持ちになる…
耳の不自由な人とのお話。物語全体静寂に包まれていて読んでいるこっちもその世界に浸ってしまう。主人公・俊平の人間的成長と響子への接し方が印象的。言葉にするとは違って文字に自分の感情を乗せて伝えるというのは難しいこと。最後の言葉選びが非常に印象的であった。
何かを起こすとき、何かをするとき、何かが起こるとき、それぞれになんらかの理由や事象や事情があることをすっかり忘れていたことに気づかせてくれた小説でした。
テレビ局に勤める早川俊平は、ある日公園で耳の不自由な女性と出会う。 取材で人の声を集める俊平と、音のない世界で暮らす彼女。 彼女には声が届かない。だから、 P49「以前なら、先に口から飛び出していた言葉を、まず頭の中で文章にして、それをメモ帳に書く。」 このコミュニケーションの差異が、そこに流れる静寂な雰囲気が印象的だった。 余計なものは削ぎ落とされ、大切なものも削られる。 仕事に振り... 続きを読む »
耳が聞こえない女の人と、恋愛するジャーナリストのお話。
とても吉田修一さんらしい作品だと思います。
この二人の行く末が幸せなものでありますように。
TV番組制作スタッフの早川と耳の不自由な響子のお話。
響子と過ごすことで音のない静かな世界を知る。
言葉があれば、もっと楽なのに。そう思わずにいられなかったり
言葉がなくても通じ合えるんだ…とも思う。
読んでいて、昔のドラマ「愛してると言ってくれ」が頭をよぎった。

耳の聞こえない彼女と報道ドキュメントを作る彼。
音を出すことはできても、それが意識に染み込むには、聴力とは違う力がいる。コミュニケーション、訴追力について考えた。
最後の神宮球場の例えがわかりづら...





