静かな爆弾

著者 :
  • 中央公論新社
3.38
  • (38)
  • (108)
  • (206)
  • (35)
  • (1)
本棚登録 : 740
感想 : 143
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120039171

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大好きな作家さんの作品。
    耳が聞こえない、という恋人の設定はただのきっかけ、設定にすぎず。相手と向き合うってことはどういうことなのか。


  • 喋れるって。便利だし、ラク。
    好きって思ったら、すぐに好きって伝えられる。
    素敵だと思ったら、すぐに素敵だって伝えられる。
    けれど、それと同じように、ムカつくと思ったら、すぐにムカつくって伝えられてしまう。


    ワタシは大変恵まれてることに言葉を発することができる。
    これを利用するのではなく、活用して生きれる人間になる。

  • そんな終わり方。

  • しゃべる言葉と書く言葉(読む言葉)は、別物だと思う。まとまらないあれこれ、微妙な気持ちの揺れとかを書くと「寂しい」と集約されてしまうけれど。
    一言ですまされてしまうことと、言葉が届かない不安が同時に存在している。

  • 響子さん話すことはできるんじゃないかしら。

  • これはホントに好きだなぁ。
    まずこの感覚から抜けるまで、ゆっくり頭を整理させよう。

    始まり、響子の身体的特徴について言葉にしたタイミングが全てなような気がする。それは猫と偽善の話とリンクしている?
    自分と目の前にあるものだけの関係。傍から見たことから始まる現象。

  • 吉田さん、やっぱり上手い。よく練られているんだろうけどそうと感じさせないくらい、わかりやすく何気ない言葉で物事の芯を捉える。だから、さらっと読み飛ばしそうになりながら、ふと頁をめくる手を止めて、言葉を自分に引き寄せては反芻してしまう。
    さりげないエピソードがいちいち応える。自分では気が付かないでやり過ごしていたこと、なんとなくわかったつもりでいたこと、そんな日常のあれこれ。

    この作品、前半は無音の世界が広がる。テレビ局に勤める「俺」が耳の不自由な響子と出会い、魅かれていく過程がサイレントムービーを見ているかのように静かに目の前を流れていく。
    耳が聴こえない響子と付き合うことで、彼は、音声として発せられる言葉と文字として現れる言葉の圧倒的な違いを知る。
    それにより、言葉を伝えること、思いを伝えること、誰に、何を、どう伝えたいのかをジャーナリストとしての彼が自問していく物語。
    ただの恋愛小説のようでいてそれだけじゃない、なかなか読み応えのある作品でした。

  • 読了日2012/07
    主人公の俊平は、ある日偶然耳の不自由な響子と出会う。
    毎日、仕事に忙殺されている俊平は、静かな世界を生きる響子に惹かれる。
    俊平は自分勝手ですごく嫌な男だけど、もし自分が男だったら。。。こんな感じだったかも・・
    なんとなく、俊平の肩を持ちたくなるのは、そう思うからかな。
    題名通り、静かな恋愛小説。

  • やっぱり吉田修一さんは上手い作家さんですね。
    主人公と知り合ったばかりの聴覚障碍者の彼女の恋を描いた作品。彼女を愛しながらも、思わぬ感覚の違いに戸惑う主人公が綿密に描かれます。
    一方で、特に後半は芸能系ジャーナリストである主人公が畑違いのドキュメンタリー制作にのめり込んでいく姿に分量が割かれます。ただ、恋か仕事かという選択ではなく、あくまで二人の仲の一時的冷却のための背景だと思います。
    逆に主人公や彼女の心理的な流れは余白を残したような書き方で、解釈を読者に委ねているようです。
    その結果、両者(仕事と恋)の構成比率に多少違和感を感じてしまいます。恋については一方的に主人公側から描かれていますが、聴覚障碍者の彼女は魅力的です。もう少し彼女側からの視点で描いていただければ良かったかなと。。。

  • 最後スッキリしない

全143件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

吉田修一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×