- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120039171
感想・レビュー・書評
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異性が何を考えているかを分かる人は少ない、いやいないだろう。絶対的に異なる世界を持つならばなおさら。
それでも惹かれ合い、そしてすれ違い、想いは高まり胸は締め付けられる。
明確な答えは出てないが、考えさせられるラスト。私はそこに光を見た。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
同時に二つのことが可能な人間と、両手でも一つしか抱えられない人間がいるのを感じました。球場に広がる渦巻く観衆を、観たことない景色を光を、鼓動の高まりを、君にどう伝えればいい。声に出せるのに話せない、言葉に出来るのに伝えられない。恵まれた自分で在りながら、私達は人と人で言葉と言葉でぶつかり合い傷付け合っている。本当の想いは、書いては消して書いては直して、そんな綺麗なものではない。書き殴ってもみっともなくても心底から送信された想い、それは見える聞こえる形ではなくても、大事な人に受信されるものなのだと思います。
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バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。
他の著作にもれず、今回も読みやすかった。
そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。
文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間に読み終わったのは事実だが)、余分なことを書かないというか、読み手に委ねる部分が多いというか、そういうこと。
だから、言葉は少ないのに、いろいろな思いが胸中に膨らんでくる。
やはり、うまい作家なのだと思う。
本作はあまり物語の起伏は多くなく、作中度々語られる、怖いような「静けさ」は妙に伝わってくる。
そのあたりもあってのことだとは思うが、最後、彼女に起きたことについて具体的には全く触れられていないのが、ちょっと消化不良気味かな…。 -
はなさない
ってことは
よけないことが伝わらないってこと -
しゃべる言葉と書く言葉(読む言葉)は、別物だと思う。まとまらないあれこれ、微妙な気持ちの揺れとかを書くと「寂しい」と集約されてしまうけれど。
一言ですまされてしまうことと、言葉が届かない不安が同時に存在している。 -
最後スッキリしない
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途中までは耳の聞こえない女性との距離感であったり情景描写が程良い感じであったのに
だんだんとつまらなく
さて一展開あるのかと思う前にフェイドアウト。失速感が半端なくヵっかりだったなぁ。残念。 -
テレビ局に勤め報道番組の制作に携わっている俊平と、小学生のときに聴力を失った響子との恋愛を描いた小説。主に筆談やメールでコミュニケーションを取りながら関係を深めていくんだけど、やっぱりというか、気持ちが上手く伝わらなくて二人の間はぎくしゃくしていくわけで……
「『あなたは耳が聴こえるけど、それは気にしない』って言われたことある?」「私たち、いつもそう言われるのよ。『あなたは耳が不自由だけど、私はそれを気にしません』って」という響子の言葉、胸に刺さったなぁ。