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著者 : 宮尾登美子
  • 中央公論新社 (2008年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120039355

錦の感想・レビュー・書評

  • さすが宮尾登美子。どんどん読めました。が、仙が報われなくてかわいそう。幸せな人が少なくて全体に暗い。まあ現実だってそうなんだけど。私にとって読書は娯楽だからどうせなら明るい内容が良い。これからはハッピーエンドのものだけ読むか。

  • 幼い頃 家にはたくさんの縫い子さんが居た そして当時まだ高麗橋にあった三越などから届けられた反物が積み重ねてあり 今は亡い母や叔母達が ある時すごいねぇと言いつつ取り囲んでいた龍村の帯地を今も覚えている。紫を中心に奥深いたくさんの色糸で織られたどっしりとしたものだった あの龍村の帯はこうして生まれたものだったのかと 胸が締め付けられるほどなつかしい 

    後には芸術の域にまで達した錦・綴れの帯やタペストリーを作り上げた吉蔵は 幼い頃に祖父から 大棚の主として恥ずかしくないだけの学問・たしなみを3歳の頃からしつけられたという お供を従えて漢籍や茶華道などのお稽古に通うかわいい姿は地元船場でも有名であったろうと思う 
    吉蔵4・5年生の頃 近くの大店の大きな蔵の虫干しがあり その日は東京から日本一という鑑定家の先生が来ておられた 仙台袴・腰にお扇子といういでたちで祖父のそばに控える吉蔵に好意をもたれたか やさしく茶陶器の説明をしてくださる
    その大家の言葉遣いの一つ一つは今の読者の心もひきつける

    いわく
    「まあ、じっと見てごらん。
    この土の青み、何ともいえないやね。
    そこへもって瀬戸の釉薬がうまいぐあいにかかっている。
    これはちょうど夏珪の墨絵ってとこだな。
    夏珪、は判るね。南宋時代、杭州から出た宮廷画家だよ。
    夏珪の画風は元、明と継承され、そうだな、日本の室町中期以降の水墨画に大きな影響を与えたもんだ。
    よく見な、この垂れ薬。
    まるで雨上がりの滝のようにたあーっと流れ落ちてたっと止まっている。この呼吸は誰にも真似は出来まいよ。
    いい茶入れだねぇ。」と。
    聞きなれない東京弁であったため 一層記憶に残っていたのだろうと思う。
    この言葉は今の自分にもずいぶん勉強になるものでここに記録しておく。
    物語の中心は ひと山越えて満足してもすぐまた次の目標を掲げて苦しみ登り続ける吉蔵の姿であるが 傍らで立場の全く違う3人の女性がツヤをそえており3人とも大変魅力的に描かれている 中で 妻でもなく妾でもなく非常に微妙な立場のままで細やかに吉蔵を支え続け 吉蔵の死とともにふっつりと消えてしまった仙のことが特に心に残る

  • 明治、大正、昭和をただひたむきに錦の技術向上と格闘した男の波乱の生涯を描いた小説。
    とても人間臭くて、生々しく、鬼のように錦織に没頭する姿は、華々しい。
    後年、病や大切な人の死と戦いながら、献上品を作り上げる力強さに感動。

  • お茶を習っているということもあり手に取った『利休にたずねよ』が面白くて(内容以上に利休の手前とか席の誂えとかが素敵でした)じゃぁ着付けもしてるし、今度は着物とか帯ものでも…と思って見つけたのがこの『錦』。モデルは龍村美術織物の初代・平蔵氏。うちに龍村の帯があって母が大切にしていたので名前は知っていたのだが、こんなにもすごいものだとは…こういう職人ものを読むとよく思うのだけれど美って狂気だよなぁ。吉蔵には惹かれないけどそれだけ錦にのめりこむ執念は才能だと思う。仕事に取り憑かれた様や織物の記述、人間模様はいいからもっと突っ込んでほしい!と思う点もありなん、楽しめました。そして今も人々を夢中にさせるって純粋に凄いなぁ。昨年なら横浜で展覧会をしていたようですが…残念。いつか初代の錦をこの目で拝みたいものだ。

  • 西陣織の帯に一生をかけた男の話。

    主人公の菱村吉蔵はもともとは裕福な家に生まれたが祖父の死によって一気に貧乏暮らしに。
    坊ちゃん育ちの吉蔵は呉服商を営む伯父の助言をえて西陣織の帯を売り始める。

    やがて成功した吉蔵は古代の帯の復興を手がけるようになる。
    そんな吉蔵を慕い続けずっと支える仙。
    本妻のむら。
    妾のふく。

    三人の女性が出てくるが、やはり女性を描かれてる部分は面白い。
    宮尾登美子にしては珍しく男性が主人公。
    正直に言うとイマイチ感情移入できなかった。

  • あんまり読まないジャンルの小説だったが、ストーリーの面白さに引き込まれた。
    主人公が商売へ情熱を傾ける姿勢が魅力的だった。負けず嫌いで、強い意志を持ってものごとに取り組む姿勢は素敵だなと感じた。
    様々な逆境をものともせずに、この話のように駆け抜けて生きることができたら…どれほど良いだろう。そう考えた。

    ただ、難しい漢字が羅列された名前や、歴史小説っぽい雰囲気がやはり苦手。話や登場人物に魅力を感じなかったら、読みきれなかったと思う。

  • 中学時代、有吉佐和子さんと宮尾登美子さんに
    ハマりにハマり、
    若い身空で、女の一代記風大河ドラマが大好きに。

    「錦」は実在の男性が主人公ですね。
    筆力があるので読めますが、
    やっぱり宮尾さんのお話は、
    女性を主人公にしてた方が好き。

    ちんたら読んでたら、図書館の返却期限が
    来てしまって、読み途中で手放しました....。

    最後まで、いずれ読みます。

  • 織物の天才と呼ばれた瀧村平蔵の生涯を小説にした。新しい織物を生み出すかと思えば過去の織物を復元するなど、織物を芸術の域にまで高めた人物。その凄まじい情熱を描こうとしたのだろうが、30年かけた割には今一つ。天才にありがちな周りを振り回し、気遣いの無さが表に立ち、関わる3人の女性が哀れ。作り方の説明の描写は細々書かれているのに、せっかく出来上がった豪華で繊細な帯やタペストリーなどの描写がおざなりの感あり。もっと夢のある描き方をして欲しかった。

  • 綿密な取材に基づいた、龍村創業者の話。
    たった一代で、あそこまでやり遂げたとは驚き。読み応えあり。

  • 読むのに長い時間がかかりました。やっぱり宮尾登美子さんの力を感じました。帯にかける吉蔵の思い、その側にずっと仕えた仙。すごい人生だなあと思いました。最後に仙が本当の主役だったのかなあと思わせるラストでした。

  • 宮尾登美子さんの「錦」、読了しました。
    ささやかに着物を楽しんでいる一人として、帯の最高峰とされる「龍村の帯」の創始者、龍村平蔵の生涯を構想30年で連載を始めた著者の心意気をまず感じました。
    宮尾さんも世に知れた着物愛好家なので、苦しみながらも意欲をもって書かれたと思います。(仙)(むら)(ふく)という三人の女性に囲まれ、正倉院の錦の復元に情熱を傾けた平蔵の生涯は興味深いものでした。
    しかし、私が一番心惹かれたのは、十代の頃から平蔵を慕い一生涯、公私ともに平蔵を支え続けた(仙)でした。モデルはいるのか?妻にも愛人になることもなく、献身的に支え続けることが出来るのか?って。
    芥川龍之介も絶賛したとされる龍村の「錦」--ひとつひとつに物語がありますね♪

  • 読了 2009年 1月 (借:大村市民図書館)

  • 天才は狂気的なんだな〜
    仕事で成功することと私生活が充実することの両方を手に入れることは、できない。

  • 龍村美術織物の創業者をモデルにした話。
    着物を着るので、内容は結構面白い。主人公はなんていうかエキセントリックな人で…。
    近くにいたらイヤだな、あんな人。でもまあ、おかしいくらいのめり込む人がすごいことやるんだろうなあ。

  • 菱村吉蔵は古代裂れの復元に文字通り寝食を忘れて打ち込む。
    陰に陽に彼を支える3人の女性を配す。
    ものに憑かれるということの凄みを感じた。

    龍村美術織物の社長平蔵がモデル。

    ☆は4以上。

  • めずらしく男性が主人公。

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