恋衣―とはずがたり

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著者 : 奥山景布子
  • 中央公論新社 (2009年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040153

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恋衣―とはずがたりの感想・レビュー・書評

  • 「とはずがたり」を全く知らずに読んでいたのですが、
    作者が「乱倫」と書いてある通りの衝撃的な内容でした。
    「なんていう……」と思わずつぶやくほど。

    娘の露子目線でお話は綴られていくのですが、
    露子がまた自らの母に対して容赦ない感情をさらけだしていく。
    これは露子本人というよりも、作者の考えを代弁している感じがします。
    そういう点で「作者」の意識が強すぎて、
    どなたかもおっしゃっていたのですが、
    「小説」ではなく「小説版の論文」という感じがします。

    それでも読みやすく、面白く、揺れ動く心を持った”人間”が描かれています。
    おすすめです。

  • 『とはずがたり』を読んだのはもう10年ほど前になるので、懐かしかった。内容はなかなか過激なうえ、二条の生き方に対しても好き嫌いが分かれるだろうから、誰にでもお勧めできるわけではないが、改めて読むとやはりいつの間にかのめりこんでしまう物語だなと思った。浮雲のように風に吹かれて揺らめきながら、ちぎれて消えることなく広い空をしかとめぐっていく……そんな二条の生き様には、たとえ共感はできなくても不思議と心ひかれるものがある。それを語る娘の目線にも同調でき、個人的に好みの作品だった。

  • 「母が綴り、娘が読んだ誰にも言えない女の秘密」

    帯に煽られて手にとりましたが、読みにくく、歴史の教科書の様だった。

    赤裸々にスキャンダラスな恋を書きしるした日記形式の「とはずがたり」を現代版に書き起こしたもの。
    それを母の恋人である父親から、母の日記として手渡された娘の目線で描かれているという工夫はなされているが、それほど読みやすさはなく、「院の寵愛を受けながら恋人を持つ」ということがそれほどスキャンダルにも感じられない現代の私が読んでも、単に尻軽なだけの女性の日記というだけで中身にも興味がわきにくいので、正直、つまらなかった。
    まあ、当時としては、西行にあこがれて、かつては宮廷に仕えて歩くことなどほとんどない生活を送っていた美女が尼となり、独り行脚を続けるっていうことは画期的であったろうと想像もし、それほどの意思を発揮したのは、前半の流されるがままの自分を後悔したのかと推測すると、少し感慨はある。

    元々これを手に取った理由のもうひとつは、この本と並んでいた同じ作者の帯の「美しい物語」と言うような文言に惹かれて、谷崎潤一郎の様な世界が広がるのを期待したのだけれど、そんなこともなくてがっかりした。

  • とはずがたりの現代語訳だけでなく、それを読む娘を登場させ、解釈や感想を織り混ぜながら物語が進んでいくので、読みやすい。腑に落ちないところや二条に共感できないところも、読み手の娘が憤ってくれるから、娘に共感できていい。

  • 「時代小説読みたいなぁ」と思って手にしたが、まさかの古典。私が無知が故に「とはずがたり」を知らず、普通の小説として読んでおりました。
    言葉がその時代のものなので、やたらと敬語敬語…苦手です。でも、お話としては面白かったです。
    二条と彼女にかかわる男たちの身勝手さ。そして優雅さ。もととなる『とはずがたり』が少し気になりました。

  • 古典「とはずがたり」を作者の娘の視点を介して解釈するという読み応え抜群の一冊です。
    平安王朝の物語といえば上流貴族たちの道ならぬ恋なんかが往々に見られますが、中でも「とはずがたり」は群を抜いてスキャンダラスなんだと思いました。
    しかしこの奥山さん解釈のとはずがたりはただの暴露本としては終わりません。面白いです。
    一般的にとはずがたりがどう解釈されているのかと比べてみても面白そうです。

  • 古典「とはずがたり」の物語つき現代語仕立て。続きが気になり最後まで読んだ。鎌倉時代の御所にて、天皇と彼を取り巻く人々が描かれる。源氏物語が教養と言われるような、そんな時代があったんだ。価値観なんて時代が変わればころっと忘れられるものなのだと不思議に感じた。

  •  鎌倉期に成立したとされる後深草院二条の自伝を、作中作として織り込みながら第三者の目線で紐解く、虚実交錯する歴史小説。
     「とはずがたり」にも記述のある“雪の曙”こと西園寺実兼との間に生まれ、生き別れた娘の視点から、母としての二条、女としての二条の姿が空想され、主人公の境遇と重ねて描かれる。
     二条と娘、二人の女の心理変遷が、丁寧かつ繊細な筆致で綴られる辺りは、さすがに女性作家らしい心配り。
     尤も、二条に対する娘の洞察は、身内として同時代人としてというよりは、寧ろ、二条を研究する現代人特有の解釈に近い気配が感じられる。
     主人公の台詞を用いて、作者自身が語っているというような。
     「とはずがたり」が宮内庁書陵部(当時の図書寮)で発見され、1940年に紹介されるまで存在も知られていなかった『天下の孤本』たる由来を、ここでは一つの作為として創作しているが、それを人為的なものと見なす認識さえ、現代の思索の枠内から逃れていないようにも思える。
     ともあれ、物語そのものは誠実で堅実な安定感があり、まとまりも落としどころも納得のいく作品である。

  • 養父母、橘久永のもとで育った露子の実父は後西園寺入道・藤原実兼であった。
    実父のことは裳着のさいに教えられたが、実母のことは誰も教えてはくれなかった。
    が、養母の手前聞くことは憚られそのままに。
    そして露子が37の時に実兼から頼みごとを受ける。
    近々勅撰の儀が行われるため、実母の残した日記から歌を選んでほしいという。
    家から出たことのない露子はその日記の内容に戸惑い反発しつつも、読むことをやめられず・・・。

    というわけで早速2作目です。
    こちらは「とはずがたり」。・・・題名しか知りませんでした。
    それをこんなに美しい文章の小説で面白く読めるなんて。
    ラッキーです。

    それにしてもこの時代のものを読むたびに女子の扱われようにはため息がでます。
    なにひとつ自ら選ぶことができないのですよね。。。
    そりゃ生霊にでもなるしかないっての。

    奥山さんは文学博士で「とはずがたり」も研究対象とのこと。
    だからこれほどの内容の作品が描けたのですね。
    ラストと作者記がとても効いていました。
    露子に「よかったね」と言ってあげたい気持ちです。

    さあ、次回作の題材は何かな?楽しみにしています。

  • 古典の趣を残した、美しい文体が良いです。

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恋衣―とはずがたりの作品紹介

十四の歳から寵愛を受け続けた後深草院、結ばれぬ初恋の人・実兼、禁忌を犯した高僧・有明の阿闍梨…男たちとの愛欲に溺れる華やかな宮廷生活から、晩年は尼となり自らの脚で諸国を遍歴した、美しく、気高く、そして奔放な一人の女がいた。己の出生を知らぬまま平凡に暮らしてきた露子はある日、亡き母・二条が遺した手記とめぐり合う-。鎌倉末期の、もつれ合う愛が現代に蘇る長篇小説。

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