数えずの井戸

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 209
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  • Amazon.co.jp ・本 (771ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040900

感想・レビュー・書評

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  • 発売後すぐに買った本なのに。
    なんでこんなに読むの伸ばしたんだろう。ほぼ4年前だよ!
    でも読み始めたら一気読みだった。
    こんなに厚い本なのに、すごく読みやすいんだよなぁー。
    京極さんマジック。

    いつも何かが欠けている気がする青山家当主、青山播磨。
    自他共に莫迦と思っている空を見るのが好きな娘、お菊。
    褒められたい一心の青山家側用人、十太夫。
    部屋住みの遠山主膳と青山家の中間、權六。
    お菊の幼なじみ、米搗きの三平。
    手に入る欲しい物は必ず手に入れる播磨の嫁候補、吉羅。

    6章ごとにこの順で主観が入れ替わり、話が進行していく。

    番町皿屋敷。
    面白かった!けど、お菊がいい子で最後がちょっと切なかった。

  • 少し期待しすぎたかな。覗き小平次や嗤う伊右衛門の方が好き

  • シリーズの他ニ作がとても良かったので、
    かなり期待していたのですが、イマイチだったように思います。
    まず頁数がかなり多いですが、
    数えるとか数えないとか、足りるとか足りないとか、同じような内容の繰り返しが多く、混乱しました。

    登場人物は、主人公であれ悪役であれ、どこか自分とかぶるような部分があり、親しみが持てました。

  • 番町皿屋敷をモチーフにした話で、巷説百物語の登場人物も出て来ました。
    嗤う伊衛門と同じ世界観の話です。
    番町皿屋敷ってオーソドックスな怪談なのだけど、見方一つでこんなにも変わるのかと驚きました。
    嗤う伊衛門で感じた事がそのまま蘇ってきます。

  •  数えるから、足りなくなる。それは、はかなくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。人口に膾炙し怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す人気シリーズ第三作。

     かなり分厚く、片手で持つには重いほどの厚さの本です。「嗤う伊右衛門」、「覘き小平次」に続く怪談を題材にした作品の第三弾になります。

     怪談・番町皿屋敷を下敷として、「数えず」あるいは「数え」をキーワードに、各登場人物の視点で、各人の内心が描かれつつ各章が進んでゆき、京極流の番町皿屋敷が完成してゆく。

     人は何を数え、何を数えないのか、生きるうえで数えるとは何か、全きとは、足りないとは・・・等々、読み進みながら考え込んで、重くなってしまいます。が、読み進めることができなくなった頃にひとつの章が終わります。というわけで重さを引きずりつつもどうにか1週間弱で読了しました。

     「嗤う伊右衛門」では、悲しいほどに潔い生きざまを通した伊右衛門と芯の強い岩という二人の男女の純愛、悲恋に涙しました。
     唐沢と小雪主演の同名の映画も感慨深いものがありました。

     この「数えずの井戸」では、人間の内心にあるどろどろに接し、喘ぎつつ読み進みながらも、たしかにこの気持ち分かる!という場面も数多くありました。
     菊の潔さが好感です。

  • とっても分厚い本なのですが、わりとすぐに読めてしまいました。

    菊のようにまっすぐでありたいけれど、こういう人は、昔も今も、きっと生きづらい思いをしているんだろうなあと思います。

    本のデザインもおもしろいですね。

  • 「嗤う伊衛門」「のぞき小平次」と同じ江戸怪談シリーズの一冊なのだが、他のは少しは爽快感や仕掛けがあったのに、今回のはただ物哀しく、すっきりもしなくて一番面白くない。京極作品だから期待値が高すぎたのか。再読はしないと思う。

  •  「番長皿屋敷」がこの希代の語り部の手にかかるとこうなるか。しかし、ちょっと不満がないでもない。なので減点。並みの作家なら高望みというものだろうけれど。
     なんとも虚無的な前半。「人は何をどうしようと、何も、何一つ思い通りにすることは出来ぬ。どれだけ天を睨んでも、雨一粒降らせることは叶わぬのだ。」
     目録を見たときはどういう構成になっているのかわからなかったが、この悲しい物語りにそれぞれかかわりをもつ6人、播磨、菊、十太夫、主膳、三平、吉羅の挿話が順に繰り返されてゆく。と、意外なところに又市登場。懐かしさが胸にあふれてくる。ああもう大丈夫だ。又市がからんでくるのならもう安心だとホッとする。でも、出てくるのは又市と徳次郎だけだ。これで仕掛けがきくのか。
     後半に仙という腰元が意味ありげに登場する。これが仲間か。山猫まわしの。「いや、違う」。違うのか…。結局、何の仕掛けもなく物語りは悲しい結末を迎える。
     又市よ、なんとかしろよ。もう遅いよ。
     悲しいものはたしかに美しい。だけど、こんなに悲しい物語なんて読みたくない。
     「もう。
      数えることはないのだよ。」

  • あの有名な怪談の京極版リメイク。
    読んでいるうちになんとなく「鉄鼠の檻」を思い出した。

    出てくる登場人物それぞれが理屈っぽい。莫迦も莫迦なりに理屈っぽい。
    少し読んでてしんどくなったけど、お馴染みの又さんや徳次郎にちょっと救われた。
    読了後なんだかすっきりしない感じになったけど、
    他の人のレビューにあった、この物語の「欠け」の存在に思わず膝を打った。

  • 番長皿屋敷の話。あまりの厚さに手に取るまで時間がかかったが、読み出したらあっという間でした。出てくるのは病的で何処か欠けている人達。ひとりひとりのエピソードが、ひとつひとつ進み積み重なり絡まり爆発する。じめっとして暗いけど、とても美しい小説でした。本当はどうだったんだろ?と思いを馳せる時間がとても贅沢な気分。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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