幕末銃姫伝: 京の風会津の花

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041259

感想・レビュー・書評

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  • 山本八重の、戊辰戦争までを描いたお話。
    女であることの、悔しさ、生きづらさ、もどかしさ、強さ、丹念に書かれてます。女子なら誰でも抱いたことのあるであろう気持ちに、時代は違えどつい共感。
    覚馬、大蔵、尚之助、それぞれの生きざまにおなかいっぱい。読みごたえがありました。

    維新編も読むぞー!

  • 今年の大河ドラマの新島八重の話です。

    テレビの原作とは違いますが、元々好きな作家さんなので読みました。

    女性が自由に生きれない中で、八重は、必死に生き方を探して生きます。力も強いけど、心も強いです

  • 藤本ひとみっていうと、ライトノベル思い出す方も多いでしょうが、ラノベから足洗われてからは歴史小説を和洋問わず書かれています。新選組モノも書いてらっしゃるよ。
    来年の大河ドラマが綾瀬はるかちゃんの新島八重子が主人公ってことで、さくっと読んでみました。とっても読みやすい。

    明治になってからの晩年の八重さんまでを書くかと思いきや、
    「幕末銃姫伝」→幕末~会津戦争終焉まで。
    「維新銃姫伝」→会津開城~明治初年(佐賀の乱、西南戦争から紀尾井坂の変で終わり)まで。
    幕末と明治10年までの動乱期を描いています。とっても私、好きな時代ね。
    如何な明治つっても西南戦争終わるまでは幕末だと私は思ってる。

    主軸は、
    主人公八重さんの会津武家の女という枠からはみ出た、新しい女の価値観とか、
    会津武士の忠義だとか、気概だとか、
    会津藩の正義だとか、
    幕末という激動の時代の流れとか、いろいろあるけれど、
    私的主軸は、会津武士の気概の中にちらりちらりと挟みこまれる八重さんと大蔵様(山川大蔵)の淡い恋物語でした。
    その意味では、幕末、煮え湯を飲まされた会津の武家の男と女が運命に翻弄されながらも純粋に互いを思い合う、せつない恋愛小説という色合いも強いかも。
    魂で結ばれてた二人、なんて思いながら読みました。
    結局、まあ史実が語る通り、二人の運命は交わらず、最後は結ばれないんですけど。どきどき、もだもだしました(笑)

    男は詰めがあまい、男には負けない、何で女に生まれたんだろう――そんな風に思いながらも、自らの道を切り開くために銃を手に取り、そして、会津戦争の籠城戦で一兵士として会津を守るために闘った女主人公、八重さんもカッコいいけど、会津武士の男性陣がホントかっこよくて惚れなおします。

    生き残った会津武士たちの、それぞれの場所でのそれぞれのやり方での、明治の闘い。胸を衝かれるものがありました。
    不平士族の反乱、そして西南戦争は、日本が前時代の「武士」を葬るための武士たちによる最後の闘いだったんじゃないかなぁと思います。

    私は山川大蔵が好きだって再三にわたり書いてるわけですが、銃姫伝の大蔵様はマジかっこよいです。
    ホントに、大蔵様ファンには勧めずにいられない。
    恋してる八重さん視点で語られるから(笑)、必然的にカッコいい表現が多いんだけど、それを抜きにしても、生真面目で頭が切れて、罪つくりで、しゃれた男です。
    大蔵様ファンの私には願ってもない一冊でした。ホントに……! 「獅子の棲む国」(山川大蔵と斎藤一主人公の小説/秋山香乃著)以来に滾りましたよね。

    一貫して、梶原平馬もありえないくらいかっこいいし、
    「維新銃姫伝」では、武士として敵だった会津でも認め、手を差し伸べた前原一誠や谷干城だってかっこいい。江藤新平だってかっこいい。
    「幕末銃姫伝」の方で亡くなったけど、佐久間象山もすごく象徴的にかっこよく書かれています。
    このあたりは藤本先生が、象山先生と同郷ってのもあるかも。ちなみに私も同郷だったりする。

    ただ、薩摩は徹底的に悪く書かれてます(笑)大久保利通とかひどいよ。完璧悪役だった。ほとんど出てこないけど……。
    でも分かる。この銃姫伝読むと、会津の立場が辛い、本当に辛い。正義とは何か。そう思ってしまう。
    薩摩が憎くなります。わたし、半分、血は薩摩の人なのに。ホント、薩摩がすみません……て気持ちで読んだ。
    歴史の見方は、勿論、ひとつじゃないけど。でもそれくらい、感情移入できる物語でした。

    大河ドラマが間違いなく、楽しみになる1冊!
    私は藤本先生の文体も好きなので、するする読めました。

  • 気になってはいたものの、後回しになってしまい、ようやく手にした本。
    「幕末」と書かれたとおり、幕末の会津戦争のお話。
    銃「姫」で察しのいい方はわかるとおり、新島八重(当時山本八重)の物語で、
    なかなか面白いストーリー立てで、特に最後は一気に読了。
    大河とはまたひと味違う印象で予習したい方にもよいのでは。

  • 八重の少女時代から会津戦争まで。
    男勝りで時勢に興味はあるが所詮は会津の狭い世間しか知らない八重たちの生活と、京や江戸の混乱の真っ只中にいる兄・覚馬の目線で進む。旧時代的な考え方にこだわる人々と、時勢が読めている人々との隔たりがもどかしい。

  • 来年の大河ドラマ、八重の桜に先駆けて読みました。山川大蔵との恋がとても素敵でしたが、ストーリーが会津戦争まででしか描かれていないのが残念です。

  • 八重さんの話ですが、大蔵とのロマンス。
    尚之助と三角関係とか、珍しく恋のエピソードがたくさんある本です。
    八重の桜だと第一部にあたる会津落城までの話。
    女らしくない自分に悩んだり、自分の方向性を見失って自信がない八重さんの姿が描かれてます。
    ふっ切った八重さんはどこまでも男前ですが!
    銃を持って西軍を退けた話や、容保公に砲弾の解説をした有名なエピソードが入っています。
    会津の話は重い話が多いので、こういうロマンスがあって読みやすい話はいいと思います。

  • 2013年の大河ドラマ「八重の桜」の主人公 新島八重の前半生を描いた作品。大河ドラマの原作ではありません。

    話の半分以上は、幕末の情勢と、それに翻弄される会津藩、会津藩軍制の様式化を志す八重の兄 山本覚馬の苦悩。。幕末モノが好きな方はそれなりに楽しめるかもしれません。
    八重殿が活躍されるのは後半も後半、鶴ヶ城篭城以降の部分。「什の誓ひ」に代表される、良くも悪くも昔ながらの古い価値観を大事にするお国柄のなかで、女らしく振舞えないことに悩み、銃砲というおよそ女性らしからぬところに生きがいを見出していく八重殿。滑稽なほどに武士道的秩序にに拘る会津藩の家老達。古い秩序のなかでの狭い枠のなかでしか生き方を見出さない女性達。。
    女性の社会進出が進むなか、未だに男社会の論理でしか考えられないオジサン達、女の敵は女とばかりに、女性の自由な才能の発揮を阻む年上の御姉さま方。。何だか今にも通じるところがあるかなぁ


    「幕末のジャンヌダルク」の活躍を読みたい方には物足りないか・・ もう少し活躍して頂いても良いかと思います。

  • @nami_nm

  • 幕末の会津藩の砲指南役の家に生れ、幕末のジャンヌ・ダルクとも呼ばれる男勝りの女性山本八重(のち新島八重)の前半生。
    京都守護職を命じられた会津藩容保公に随伴した兄覚馬をはじめとする会津藩の若者たちの生き様や苦悩とともに、会津落城まで描いている。
    女性らしいほのかな恋心の描写もある。
    お城に籠城して政府軍と戦ったさいの活躍が格好良い。その言動と共に幕末のジャンヌ・ダルクと綽名されるのも納得。(本書にはそのような記載は無いが)。
    ぜひとも筆者には明治維新後、京都にて女性教育に情熱を傾けた後半生を描く続編を著してほしい。

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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