あんじゅう: 三島屋変調百物語事続

著者 :
  • 中央公論新社
4.12
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本棚登録 : 2820
感想 : 461
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  • Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041372

作品紹介・あらすじ

さあ、おはなしを続けましょう。三島屋の行儀見習い、おちかのもとにやってくるお客さまは、みんな胸の内に「不思議」をしまっているのです。ほっこり温かく、ちょっと奇妙で、ぞおっと怖い、百物語のはじまり、はじまり。

感想・レビュー・書評

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  • 三島屋の変わり百物語の第二弾。
    前作に比べて、ゾォッとする話だけでなく、怖さとともに、暖かい気持ちになる話もあり、広がった感じがある。突然、ハッとさせる怖さも健在だが、少なくなったのは、少し寂しい感じもする。
    2話目の「藪から千本」は、まさにそんな感じであるが、おちかさんの内面も見えてくるのもあり、おもしろい。
    3話目の「あんじゅう」は、サクッと怖いところを見せるが、全体としては、ものがなしさを感じさせる話で、話として良くできている感じがする。
    1話目の「逃げ水」は、結構好きな話で、出てくる子供達の関係性や取り付いたものとのやり取りなど、小さい頃独特の感覚があるのといつかそれも変わっていくと言うことも感じさせてくれて、さわやかな感じがした。
    キャラも増え、おちかさん自体も変わっているように見えるが…と言うあたりも、続きを読みたくさせてくれる。

    • やまさん
      cowbell01さん
      こんばんは。
      やま
      cowbell01さん
      こんばんは。
      やま
      2019/11/09
  • 三島屋変調百物語の続編です。
    ずいぶん昔に読んだのですが、もう一度読みたくなって古本屋にて購入しました。
    宮部みゆきワールド全開です。
    この作者さんの時代物は面白いものが多いです。
    「あかんべえ」も良かったな~。

    4本の連作短編が楽しめます。

    「逃げ水」
    お旱(ひでり)さんという女の子の姿の神様と、男の子の楽しい話です。

    「藪から千本」
    人の執念というものは……。
    百物語の聞き手である主人公のおちか。彼女の魔除け役として仕えていくことになるお勝の登場です。

    「暗獣」
    表題作にふさわしいお話でした。
    愛らしく不思議な生き物のくろすけ。
    せつないです。

    「吼える仏」
    鬼と化して里を滅ぼした富一。
    怖い話ですが、どこかで富一を応援してしまう自分もいます。

  • <三島屋変調百物語>シリーズ第二作。
    久しぶりの再読だが、やはり表題作の「暗獣」は切なくて泣ける。
    世の理から外れてしまった生き物と、その生き物と共に生きようと願う人々。共生しようとする思い自体は世の理に倣っているはずなのに、共生することは世の理から外れてしまう。何とも矛盾する話で、結局はそういう結末しかないよね…と分かっていながらもやはりなんとかならないものかと思ってしまう。
    しかしこういう矛盾は世の中にいくらでもあるだろうし、結局はどちらかが消えてなくなるしかないというのなら、ここはやはり強い者が身を引くのが筋なのだろうと思う。とは言え、その逆が圧倒的に多いのが世の中だけど。

    その他には「逃げ水」が何ともほっこりする話で、こちらも一歩間違えれば世の理から外れてしまって酷い結末になってしまいそうなところ、上手く収まる方法が見つかって良かったと思う。
    そう言えば、この話から少年三人組+小僧の新太を加えた少年たちが登場したのだった。そして彼らの師匠である青野も登場だった。
    このころのおちかは周囲に青野の存在のことを冷やかされ、読み手のこちらも何となく将来はそういうことになるのかなと思っていたのだった。結局は青野はおしまの言う通り『青びょうたん』だったということか。
    またお勝が登場するのもこの作品からだった。最新作では最初からいるような雰囲気だったのですっかり忘れていた。

    「藪から千本」「吼える仏」は何ともゾッとする話。

    第一作ではおちかの心の内が空恐ろしいと書いてしまった私だが、第二作では子どもたち、青野、元偽坊主の登場もあってか、語られる話は別として全体的にはホノボノする雰囲気になっていた。
    またおちかが少しでも変わりたいと望んでいる風にも見えて、その点でも少しホッとした。

  • 紫陽花屋敷の話が、優しくて、でも切なくてという感じでよかった。

  • 表紙と中身に挿絵がこまかく入っているのが
    とても可愛くて読み始めたけれど、
    まさかのシリーズ2作目だったとは。笑
    1作目を急いで買いにいきます。
    宮部みゆきの時代物だいすき。

    怪異譚なので怖い話かと思いきや
    どちらかというとしんみりと、
    人の怖さと人情のおはなしでした。
    あんじゅうには泣かされた。
    可愛くて可愛くて、だからこそせつない。

    これはシリーズ読んじゃうなあ。
    2019締めに相応しい作品でした。

  • 三島屋百物語の2作目
    あんじゅうがかわいい…。
    もうペット以上というか老夫婦にとったら子供のような存在の黒いやつ。
    不思議な話だけどほっこりしたな。

  • 毎ページに物語にそった挿絵がついていてなんともかわいい。
    新聞連載だったからなんだろうけど、すごいよねぇ。
    グッドデザイン賞とかあげたい。

    一つの話で1冊出来そうな長さのなのでなかなか疲れましたが
    この挿絵のおかげで楽しく読めましたよ。

    お話はどれも怪談といっても人情もので、しんみりしつつもほのぼのしてます。
    暗獣が好きかな。かわいいけどなんか切ない。

    あとは、おちかちゃんの幸せを祈りつつ。

  • くろすけ(TへT)
    読んでからこの表紙絵を見たら、もう。
    もののけの愛しさ。

    もちろん優しい話ばかりではなく
    業の深さを思い知らされる
    ため息の出るような話もあるのですが。


    おちかの心がほどけていくうちに
    身近に寄り添ってくれる人も増えてゆく。
    魔除けのお勝さんがキリッとかっこいいな。

  • お旱様という神様を宿す平太が行く先々で水が逃げるというお話。
    家を分けると嫌がられ、別々に暮らすことになった双子の姉妹のお話。お勝さん登場。
    屋敷に潜む奇妙な黒い生き物くろすけと一緒に暮らすことになった夫婦のお話。若先生登場。表題作のこの話が一番好きです。
    たまたま行き着いて山里で体験した不思議な話を行然坊が語るお話。
    3冊目で触れられていた三島屋の危機を黒子の親分が救ってくれた短編。
    はじめに借りたのが3冊目だったので、これでやっとつながった感じです。

  • 江戸・神田の三島屋という袋物や小物を商う商家の店主伊兵衛が世の中の変わった話を集めることを思い立ち、姪っ子「おちか」をその話の聞き手とさせ展開していく4話。話を集めるに際しての決まり事は「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」だそうだ。困り事の上手い解決策を求めるものでは決してない。であるなら、話を聞く事,語る事に何の意味があるだろうか?...しかし、悩み事、困り事を語ることによって自分の気持ちの落し処を見つけていく過程を読むにつれ、こうして割り切ってしまえば、案外聞き手も語り手も素直になれるものかもしれないと感じた。

     私たちは時に、自分の感情から生み出される得体の知れないものに雁字搦めになり、もがき苦しむ時がある。心の奥底に澱む思いや悩みは吐き出す事で楽になる事も経験から知っているだろう。この吐き出し処の情景が実に上手く描かれている。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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