アンダスタンド・メイビー 上

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041679

感想・レビュー・書評

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  • 良い意味でも悪い意味でも鋭い文章で、久し振りに島本さんの本読んだけれど、島本さんの精神状態が心配になってしまう。

    中高時代の愚かさや純粋さ、大人の男性からの気持ち悪い目線、行動など全部思い出して生きるのが嫌になるくらいだよ。

    黒江が言ってた、「普段はクラスメイトとして接してるのにそんな目で見られるのが気持ち悪い」という主旨の台詞、クソほどわかる。

  • 黒江と羽場先輩は
    家族からの愛情に飢えていてその寂しさを持っている。
    賢治くんは何があってかはわからないけれど
    何かしらの虚無感を持ち合わせている。
    その寂しさ・虚無感を
    黒江は無意識に媚びることで
    羽場先輩は壊れたままに生きている狂気で
    賢治くんは何者に対しても平等な冷たさで埋めているように感じた。
    黒江が求める神様とは無条件の愛情だと思う。

    何やかんやで
    最低最悪だけど
    賢治くんの雰囲気が好きだった。

  • 一ページ目をめくったときから、
    止められなくなる予感がしたけど、
    大当たり。
    一気読みしてしまいました。
    どんどん道がそれていく黒江にどきどきしながら。

    これから下巻読みます。
    今夜は眠れないかも…

  • 母の転勤で小3の時引っ越してきて以来、茨城県つくば市で母とふたり暮らしの中3の黒江。
    以前は両親と祖母との4人暮らしだったが、祖母が亡くなり、両親が離婚。
    母との関係がうまくいかない黒江ではあるが、
    女友達との関係で女の子特有のわだかまりを持ちながらも、そこそこ楽しい生活を送っている。
    不思議な能力を持つ転校生の彌生(やよい)と付き合い始め、
    自分の神様になってほしいと思う。
    高校生になり、新しい出会い・恋愛・性体験をくり返しながら、そこで見る犯罪・暴力。
    加担しながらもカメラという別の楽しみを見つけるが・・
    ある事件ですべてを捨て、逃げるように故郷を捨て、上京。
    中学の頃からファンで文通していたカメラマンの元に転がり込む。
    助手をしながら、プロを目指していく。
    世間を騒がせる新興宗教、恋愛、残してきた過去、ふと湧き上がる暗い記憶・・・
    自分を守ってくれる神が両親ではなかったから、早い時期から異性にそれを求めた黒江。
    さまざまなものが交じり合って、最後に見つける神様。

    暴力・恋愛と性・虐待・宗教というテーマを
    ひとりの少女が大人に成長する姿と合わせて描いている。
    上巻の主人公の少女の行いに共感できないのに、どんどん読めていくおもしろさ。
    そして下巻に出てくるある世界をまったく理解できないけど、
    最後にはこの題名と表紙の絵が心に沁みてきて、わああとなってしまった。
    内容的に好き嫌いははっきりしそうだけど、読む価値ありと思う。
    少女の頃から付きまとう女特有の女の世界も細かい描写でかかれているし、
    成長過程の心の危うさもうまく表現されていて、
    これを読んで心が救われる女性、多いんじゃないかな。
    「女の人というのは、たぶん僕らが思っているよりもずっと多くのものから
    傷つけられて、生きている。」とあった。
    こんな風にわかってくれる男性っているんだろうか・・・

  • 始めの10ページくらいで、なんとなくマズイな、と思った。寝られなくなるような、止まらない本の気がした。
    そのとおりで、物語の中で溺れた。

    島本理生がどこへいくのか、ずっと気になっていたけれど、やっぱりすごくてリアリティと言葉がやっぱりすごいのはたしか。
    彌生くんがいたら、私は、やっぱり黒江と同じような気持ちになる気がする。
    全部言いたいけれど、言えなくて、わかってよという気持ちばかりが膨らむ。

  • 繊細さと不安定さ空っぽの痛み
    知るには早すぎる成熟さと、未熟なアンバランスさを同居させるのってホント凄いなぁ
    いつも通りというか年上の男の子が幼く、年齢関係無しに一本持ってる男の子はかっこいい。

  • 本当に大切な人はよ〜くみないとわからない。

    クロエの中学生〜高校時代の話が上巻。憂鬱でけだるい感じの学生時代は、読み手を一気にその瞬間まで引き戻す。

    あの頃って誰に何を言われようと経験しなくちゃ実感できない。リアルな痛みがこれでもかと押し寄せてくる。

    映像化したらリリイ・シュシュのような雰囲気になるのかな…。頭の中に情景が浮かぶ数少ない作品。

    若いから、本当の優しさにはまだ気づかない主人公のクロエにヤキモキするけど。優しい言葉は大事だけど、時には言葉を超える本当の優しさがあるのに。

    ナラタージュは超えなかったけど、すごくいい作品だと思う。
    下巻も楽しみだな。でも、大人になっちゃうのかぁ…

  • 上巻を一気に読み終え、胸の高まりを隠し切れない。すごく不器用な生き方をする主人公が抱える愛情の飢えを生々しく感じた。島本作品の中では今までにない展開。

  • テーマは重いし、始終主人公にイライラしたけれど、読み手の胸ぐらを掴んで離さない感じがした。我々は何があっても生きて行かなくてはならない。

  • 羽賀先輩が素敵。


    固くて深い文章が好きって人にはあまり向いてないかもしれないです。

著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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