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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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「彼らは本を朗読しているのではない。自分について、語っているのだ」
自己紹介のようなものですか、と私が質問すると、言下に否定した。
「いや、もっと深遠な物語だ」
― 228ページ -
各々、自らの体には明らかに余るものを掲げながら、苦心する素振りは微塵も見せず、むしろ、いえ平気です、どうぞご心配なく、とでもいうように進んでゆく。余所見をしたり、自慢げにしたり、誰かを出し抜いたりしようとするものはいない。これが当然の役目であると、皆がよく知っている。木々に閉ざされた森の奥を、緑の小川は物音も立てず、ひと時も休まず流れてゆく。自分が背負うべき供物を、定められた一点へと運ぶ。
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「ハキリアリはラッキーだね」と、私は言った。「おじさんたちに観察してもらえて。もしおじさんたちがいなかったら、誰もハキリアリの賢さを褒めてあげられないもの」
― 241ページ
みんなの感想・レビュー・書評
「杖」「やまびこビスケット」「B談話室」「冬眠中のヤマネ」「コンソメスープ名人 」「槍投げの青年」「死んだおばあさん」「花束」「ハキリアリ」
単なる短編集と大きく隔たっていて、
そのことを高く評価したいと思いました。
人質という特殊な状況のなかで生み出される物語、
最後にそっと記される語り手の仕事と年齢、
そしてその語り手達が全員爆死したという事実。
語り手が死亡しているということが冒頭で描かれているので、
読み進めるうちに、それぞれの生涯の深さがどんどん染み込んでくる。
すばらしい作品でした。
「B談話室」「コンソメスープ名人」が個人的に一番好きだった。
「死んだおばあさん」は、私も知らない他人に間違われ、
よく声をかけられるので少し共感してしまった。
テロでとらわれた人質たちが、自分にとって大切な逸話を順々に語っていくというお話。
それぞれが小編として成立していて、一つ一つがしっかりとしている。
面白い。
最後の兵士の逸話はなぜここに入れたのか良くわからない・・・ので★一つ引き
本屋大賞入賞作品。異国の地で人質となった人々の語り。個々人のエピソードに生きていた人生の尊さが表現されている。
外国でゲリラの襲撃に巻き込まれた日本人8名。
彼らは誘拐された、結局誰も戻ってこなかった。
盗聴器で録音され残っていた彼らの朗読会がラジオで流れる。
その思い出の朗読8編+特殊部隊の青年の朗読1編。
独特の雰囲気でおもしろいのですが、なんとなく読みにくい。
小川さんの本はこれが初めてです。
ゲリラに拉致され殺害された人質が行ってたという朗読会。
最初ミステリー要素があるのかと思って「なんだろう?なんだろう?」と警戒しながら読み進めていたけど、多分私が予想していた展開は・・・ない。
淡々と自分の思い出を朗読していくさまが不思議ながらも身近に感じた。
もし自分がその場にいたらどんな話をするんだろうか・・・と考えずにはいられない。
ミーハーですので(笑)本屋大賞の候補ということで 図書館にリクエスト。
さらりと読める内容ですが、タイトルも始まりも衝撃的ではあります。
遠い異国のテロリストに捕まった日本人7人、残念ながら救出失敗により 全員死亡から始まる。
盗聴された生前の肉声(朗読)が ラジオで流れた、その内容として描かれている。
それぞれが昔話を語っている。
とても 不思議な でも 多分誰もが内容こと違えど なにかしら心の中にひっかかっているような
そんな不思議な話。
これまで何冊か小川洋子さんの著作を拝読してきた。その中にはいくつかの共通点がある。名前などの固有名詞が出てこないこと、ありとあらゆる手段を使った比喩の表現、淡々と物語がつづられていくこと、等々。
その中でも一番感じるのが、独特の空気感、だ。上手く説明できないけれど、清浄な空気の中の淡いパステル画のような。ソフトフォーカスされて、輪郭はもやっとしているのだけれど、極限まで研ぎ澄まされた宝石のような言葉。
本作も「海外で人質となった日本人達が毎夜繰り広げる朗読会」という極めて特殊な舞台の上で、小川さんの紡ぐ言葉の美しさを堪能できると思う。
変わらない過去とどう向き合うか?
決して自慢したり美化することのない、
日常にあるかけがえのない過去。
この本を読んでもっと味わってもいいのかなと思えた。
1 杖 2 やまびこビスケット 3 B談話室 4 冬眠中のヤマネ 5 コンソメスープ名人
6 槍投げの青年 7 死んだおばあさん 8 花束 9 ハキリアリ
朗読会といってもたぶん読んでいるんじゃなく 緊張感の中で遺したい言葉をマイクの向こう側に必死に伝えているんだと思う
最後の(主婦・45歳・夫の赴任先からの帰途)・・・など 簡単だけどこの最後の添え書きをみると 改めて言葉の重みがズシンと胸にくる
短編集のようなかわった話だった。もういない人の話とわかって読んでいくからなんか深いなぁと。
やまびこビスケットと冬眠中のヤマネがよかった。
彼らの朗読は、閉ざされた廃屋での、その場限りの単なる時間潰しなどではない。彼らの想像を超えた遠いどこかにいる、言葉さえ通じない誰かのもとに声を運ぶ、祈りにも似た行為であった。
(P.231)
これぞ小川洋子先生の作品!という内容。
朗読者たちの職業や料理の描写、夢の中にいるようなわけのわからない人物や状況を、さらりと美しい文体で本の中におさめる、小川洋子先生の得意技たっぷりの物語だった。
私が気に入ったのは、おそらく「冬眠中のヤマネ」。
おそらく、と書いたのには理由があって、自分では気に入ったつもりはないのに、感想を書こうとしたとき、内容を振り返ると、なぜか「冬眠中のヤマネ」ばかり思い出されたからだ。
厳かでしんとした感じ。単なる短編集として読むのと、もうこの世にはいない人たちが語った物語として読むのとでは、印象が違ってくるのだろうと思われて、そのことが興味深い。
「B談話室」「死んだおばあさん」「花束」が好き。
地球の裏側でゲリラ集団の人質になった日本人たちが、順番に自らの物語を朗読する。
死を前にして、自分のこれまでの人生を振り返った時に思い浮かぶ情景とは…
静かに心に染み込むような小説でした。

ひさびさの小川洋子さんの作品。
この人の残酷な優しさがすきです。
今作も異国の地で偶然事件に巻き込まれ人質となった人たちが、身を寄せ合いながら順繰りに各々に降りかかった「あるときの出来事」を語...





