仇討ちの客 - 高瀬川女船歌

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著者 : 澤田ふじ子
  • 中央公論新社 (2011年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042683

仇討ちの客 - 高瀬川女船歌の感想・レビュー・書評

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  • 高瀬川沿いの旅籠「柏屋」や、元尾張藩の武士・宗因が営む居酒屋「尾張屋」に集う人たちが織りなす、人情味豊かな中にも生きる辛さが同時に語られる物語。


    表題に「仇討ちの客」とあるように、お話を動かすのは、柏屋にやってきた武家の母子とその従者・安五郎。父親の敵を討つために故郷を出てから二年も旅をしてきて、その疲れ果てた様子に哀れがそそられます。
    柏屋の若女将・お鶴は宗因の娘で、その縁から宗因もその敵討ちに手助けを・・となるのですが、
    安五郎の献身的な働きぶりと、敵討ちの非情さ、虚しさ、また、背景に随時聞こえている高瀬川に浮かぶ舟を引く掛け声が相まって、江戸の匂いの中にすっかり引き込まれてしまいました。

    敵討ちの子である大炊助がまっすぐな男の子であるがゆえに、真剣勝負の練習の際、つい相手の目を見てしまい、指南役から叱られるという逸話は新鮮で面白かったです。目を見てはいけない、力を入れて刀を振るってはいけない、とは、つまり、勝負を真っ向からしてはいけない、勝ち抜けるためには逃げることも含めて考えないとならない、という教えにつながり、武士の誇りとは真逆の描写に、なるほどねぇ~~と思えたわけです。




    ネタばれです。


    敵討ちのために身も心もボロボロになる、というのはこれまでにもよく取り上げられてきた題材ですが、すっぱり、敵討ちをあきらめる、という道もあるんですね。
    大炊助が、自らの武術の未熟さゆえ、だけではなく、敵討ちそのものに対する虚しさ、また、人を殺すのは嫌だ、という考えてみれば当然の気持ちをはっきり言葉に出せたのは、当時の武家社会としては異例のことなんでしょうが、うんうん、わかるよ!と言いたい気持ちでした。

    ただ、安五郎の丁半の目を読める特殊な才能は、もっと活かしてもよかったんじゃないかな。

     

  • 時々 無性に読みたくなる作家のおひとりです
    再読するときには いつも
    「あとがき」から 読むことにしています
    書かれたときの その時々のニュースを
    澤田さんの視点で鋭く切り取られておられる様子…
    この作品が書かれた2011年は東北の震災の年でした

    人はどうやって生きているのだろう
    人はどうやって寄り添ってきたのだろう
    人はどこから来て
    人はどこにむかっていくのだろうか

    人が生きていくことの原点に
    思いをはせさせてもらうことができます

    澤田ふじ子さんという
    類まれな書き手と同時代に
    生きていることを
    うれしく思います

  • 関連している6話の短編。

    父の仇を探す少年は、母と下僕との3人で京都に到着するが
    路銀は残りわずか、、、とよくある話だが意外な展開に、、。

    金策のあてもない彼らの中で、下僕の安五郎が封印したはずの
    奥の手を使ってしまう、、。

    彼らを陰で応援する居酒屋の主は、元武士でものすごい使い手。
    どうなることやら、、、。

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仇討ちの客 - 高瀬川女船歌の作品紹介

父の敵を探して二年-母、下僕とともに十二歳で旅立った大炊助だが、路銀に窮した一行は旅篭「柏屋」に逗留することに。宗因は彼らに手を貸そうとするが下僕の安五郎が博打で一儲けして…。仇討ちの果てにあるものとは?シリーズ第六作。

仇討ちの客 - 高瀬川女船歌はこんな本です

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