人生教習所

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042775

感想・レビュー・書評

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  • 小笠原諸島が舞台。そこで開かれる「人生再生セミナー」で知り合う様々な人たちの心の葛藤を描く。小説なんだけど、ちょっとした自己啓発本でもあるように感じた。
    セミナーの内容とは、前半は講義、そして後半は小笠原の住民達による、島の実情の話。セミナーに合格した11人達は食事や観光を共にし、自然に触れながら、成長していく。
    主人公はセミナー講習生の4人。ひきこもりの休学中東大生の太郎、
    何をやってもダメな女性フリーライター由香、元ヤクザの無職者、定年退職して悠々自適生活を送る竹崎。(正確にいえば、竹崎がストーリーテラーになることはない。)

    何と言っても、この本は知的好奇心をくすぐる。
    講師達が過去の自分の経験談をふまえつつ、「確率」、「目的と手段」等について講義し、それに対して彼らにどう感じたか、レポートを書かせる。太郎たちが自分なりに考え、紡ぎ出す解答が鮮やか。仕事をする上で、そして普段生活する中でも普遍的に考えなければいけないことがいくつも書かれている。
    今の立場を手に入れることが手段だとしたら、その次は、その仕事に自分なりに意味を見いだせるか、楽しく出来るか、というのが最終的な生き方の目的になる、ということだ。

    こういうセミナー、ありそうだけどない気がする。自己啓発セミナーはいくらでもある。南の島で観光、食事を共にして身も心も解放して。。というのは。面白い。自分は行かないと思うが。。
    そして、このセミナーを立ち上げた鷲尾がまた魅力的。

    垣根さんにしてはバイオレンスも無いし、異色の作品と言える。
    ヤクザの柏木が、「ヒートアイランド」シリーズの登場人物だったり、少しずつ作品同士が繋がっているのも小説マニアとしては見逃せないとこ。伊坂幸太郎みたい。
    地味ながら、読後感の良い作品でした。

  • 山陰中央新報で読む。新聞連載のタイトルは『めだかの学校』だった。大半がセミナーでの講演記録のようなもので、もう少し彼らの顛末を丁寧に描写してくれないと、訴えが響いてこない。もっとも、彼ら4人の中には自分を投影できるキャラクターがいなかったことが、惹かれなかった最大の理由なのだろう。

  • 読みやすかった。

  • 題名がいけてないのでどうかと思ったが、垣根涼介に限って間違いはないだろうと読んでみた。
    よくある人生再生物ではあるが、非常に興味深いないようであった。ステロタイプな人物造型ではあるけれど、それはそれでリアリティがあって面白い。
    なにより、へたな自己啓発本よりためになると思う。生き方や考え方の本質について考えさせられる内容あと思う。後半やや失速そるのが残念。

  • 設定とかは面白いし、作中に出てくる問題は自分を見つめなおすのに効果的で面白かった。ただ、舞台が小笠原諸島である必要性はなかったような気がする。小笠原の歴史についてつらつらと語られるシーンとセミナーがなんとなくかみ合ってない気がしたもので。柏木が森川に取った行動の意味が不明すぎるし、なんか嫌。前半は面白かったのに後半失速したかなぁ。2012/239

  • 面白かった!

    小笠原で開講された人間再生セミナーに、元ヤクザ、引きこもりの東大生、暗いデブ女、定年退職した女好きのジジイ等が参加する話。

    セミナーの内容や小笠原の歴史がとても面白くて、読者もセミナーに参加しているように感じられる。

    ちょっとワイルドソウルっぽかった。

    登場人物それぞれのダメなところ、良いところが分かりやすくて感情移入しやすかったし、好感が持てた。

    ただ、非常に細かくどうでもいい部分だが、登記上の人口が云々とあったのが謎。登記じゃ人口は分からない。
    その後では住民登録上の人数って出てきたけど。

    柏木が昔の女の住所を役所で調べてたのも謎。平成19年なら他人でも住民票取れたのかな…?
    ヤクザだから委任状でも偽造したのか…?
    話の上ではどうでもいいんだけども、気になってしまいました。

  • 小笠原諸島で人生のセミナーを開催し、それに参加する人々の話。小笠原諸島が返還された時の話など、自分も知らないことが多々ありましたので、自分がセミナーに参加してるような錯覚を覚えながら楽しく読むことが出来ました。

  • ☆☆☆☆

  • 「人間再生セミナー小笠原塾」!!

    『ギャングスターレッスン』で最後ブラジルに逃亡したヤクザの柏木。
    日本に戻ったものの、元ヤクザの身で真っ当に生きるすべもなく・・・(笑)。

    セミナーに最後まで参加できれば就職斡旋という文句に惹かれ応募。
    集まった面々は、休学中の東大生、暗い女性ライター、謎の竹崎・・・。

    竹崎は『ゆりかごでねむれ』の登場人物!?
    ここでもいい味出してますね(笑)

    人間再生というとなんだかおこがましいセミナーに思えますが、
    その人の心持ち次第で人生何とでもなる!!っていう前向きなお話でした。

    最後の〆はそれぞれの人生への覚悟。
    元ヤクザの柏木が踏み出した道は・・・(笑)

  • 読んでよかった

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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