人生教習所

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042775

感想・レビュー・書評

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  • 意外に面白い(失礼でスミマセン)
    人生と言うものを学びなおす、再生のお話で重いと思わせながらも気軽に読めてしまう。
    ホンワカしながらも真面目な部分もある人生再生セミナーでの話。
    よく考えますね~
    登場人物は、4人がメインなんですけど
    特に元ヤクザの言い回しや心の声にプププっといった笑いがこみ上げてしまいました。

    全般的には、ライトにいけ
    かつ
    小笠原島民について、小笠原についての歴史も
    真面目に知ることが出来るバランスの良さが光る


    「覚悟」というフレーズに
    あ~そうなんだなぁと
    意味と気持ち、何か大切さを感じる

    この「覚悟」って難しいけれでも
    なんだか熱くなりますね

  • 後半にいくにつれて少しペースダウン。でもいい本だった。

  • 様々な理由から、人生の転機を図ろうとする人たちが集まったセミナー。舞台である小笠原を強調し過ぎたため、小笠原の詳しいガイドブックに人間ドラマを盛り込んだ、という曖昧な仕上がりに。
    やはり、アウトローたちを描いた暴力的なハードボイルドのほうが(好みは別として)、作者らしい。

  • 題名のインパクトのわりに物語が普通。
    四人のキャラクター設定もまあまあありがち。
    セミナーもまっとうすぎるくらいまじめ。
    でも小笠原ってすてきだなと思った~\(^o^)/

  • 小笠原諸島の父島・母島で実施される
    人生の落ちこぼれ組の『人間再生セミナー』
    これに応募した4人の落ちこぼれ組が主役である。
    すでに何人かのブクレポのお仲間が
    優れたレポを書かれているので、ほんの少しだけ感想を書こうと思う。

    ひきこもりで休学中の東大生浅川太郎。
    組のボスを殺害し南米へ逃走していたが帰国し、
    再起をはかる元ヤクザの柏木真一。
    何をやってもダメで人間恐怖症に陥っている
    太りすぎのライター女性森川由香。
    定年後の余生を楽しむのか、ひとり謎に満ちた竹崎貞徳。

    それぞれが抱える半生のできごとや人生への渇望を、
    描きながら、10日間の島でのセミナーへとお話はすすむ。
    父島での一次セミナーで中間試験があり、
    その合格者は母島での二次セミナーへ行けるのだ。
    この中間試験がよく考えられていて面白かった。
    社会人としての人を見る目を試される、興味深い内容だった。

    この試験で約半数が落第となった。
    主役級の4人は見事に合格。
    東大生も元ヤクザも、だ。
    学力だけでなくどこに観点をおいて選出しているのかがよくわかる。
    母島でのセミナー後は、父島での最終講義、
    小笠原諸島の戦争体験をした歴史を
    島の住民が語るというものだった。

    ここでの講義内容、
    小笠原の自然や歴史、特に日本への返還前後のお話は、
    作者が実際に多くの人に聞いた話を元に執筆したものだそうだ。
    そのせいか、一番リアリティがあった。
    戦争によって日本人やアメリカ人という国籍を
    剥奪されるという哀しい出来事を、
    生き証人が切実に語るので、
    本土の人間としては身につまされる想いがする。

    わずか10日での離島の人間再生セミナー。費用は全日程で50万円。
    これは安いか高いか。
    少なくとも主役級の4人には、安い費用だったのではないだろうか。
    それぞれがじっくりと自分と周りの世界とを考える時間がとれ、
    団体において、自分でも驚くような行動をとれるようになったのだから。
    個人的に気になっていたのは、
    こたろうさん同様、元ヤクザの柏木だった。
    この人、どう更生するのかな~と、思っていたら、
    セミナー側の紹介で再就職した先は、
    大手にあたる出版会社。裏世界の状況を探るライターであった。
    なるほどなあ。
    こういうところから、社会復帰もできるのかと思った。

    小笠原諸島は、2011年に世界自然遺産に認定された。
    これによって、
    1968年に日本に返還されて以来、観光ブームが起こっている。
    発行年と同じなので、
    作者が意図的に狙ったのかもしれないが、注目度は高いと思う。
    島の美しい自然描写は作品の中でもたびたび出てくるが、
    観光に行って自然を満喫しても、
    その裏に隠された、哀しい島民の歴史を忘れてはならないだろう。

    「人生再生セミナー」の受講生同様、島民の歴史を学んでこそ、
    今の幸せをかみしめられるような気がする。
    そして自分だけは別だという優越感を捨てなさいと
    諭してくれるような作品だった。

  • 人生について考えさせられた。全ては自分の自由、覚悟次第とは痛かった。
    おっさんだからって遠慮したらいけないな。

  • 一度社会的にはみ出したり落ちこぼれてしまうと、なかなか元に戻ることは難しいと思ってしまいがちですが、そこに絶望しない限り、心持ちによって、いずれその経験は思いもよらぬところで活かされることもあるということでしょうか。

    何事にも早すぎることも遅すぎることもなく、何かをはじめたときはその時が人生で最もベストな時なのだと感じさせる小説でした。

    小笠原諸島で行われる自己啓発セミナーを通して、ある種社会的に脱落した様々な年齢や経歴の人々がもう一度自分を見つめ直し、それぞれ自分の輝ける場所を探し出すという内容でした。

    単に人間関係のストーリーに終わらず、セミナーの内容も絡ませて練ってあり、意外と深い自己啓発本としても楽しめました。

  • 人生教習所で、研修を受ける人々を描いてあるが、並行して自分も研修を受けているような気持ちになった。
    それぞれ、いい経験ができてよかったねと思う。
    人は、変われないようで、変われるし、幾つになっても生きなおすことができる。
    そのチャンスを自分が理解できるかどうかが問題なのだと思う。

  • じあたま
    地頭
    の良い人に成りたいですね。
    僕にはスマートさが足りない気がします。

  • タイトルから想像できる通り、色々な人生を生きた人間の頑張る姿を見れたが、さほど心に残るものがなかった。タイトルはいいと思うが期待しすぎたか。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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