- Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120042904
作品紹介・あらすじ
あの『結婚物語』から25年。銀婚式を迎えた陽子さんが回想する、長くともに暮らした猫のこと、やってきた新しい猫たち、二人で建てた家のこと、去っていった人たち、そして得られなかった子どものこと…。なにはともあれ…結婚は愉しい。
感想・レビュー・書評
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参った!降参です。何にかというと、新井素子さんの本好きとしての突き抜け方に。
もうすごいよ。地震とかきたらあふれかえる本に押しつぶされて死んじゃう!という恐怖に突き動かされて、作家は(文中では「陽子さん」となっているけど、これは明らかに新井さん自身のこと)「本棚を建てよう」と思う。本棚が林立する書庫を建てれば、柱の多い家と一緒で頑丈だろう。ついでに(!)自分と夫の住む部屋もつくろう、と。この最初の発想からして普通じゃないよなあ。(実際に家が建ったのは大震災の前のことで、震災時ほとんど被害はなかったそうだ)
高校生でデビューした新井さん、結婚までに実家には一万冊を超える蔵書があり、結婚後は本を買うのを控えていたそうだが、それでも家(新井さん的には「本棚」)を建てようとするときには、住んでいたマンションに一万冊。さらに老人ホームに入っているお父さんの本が一万冊以上あって、これも引き取るつもり。これだけの本を収めようと、さらに移動させようというのだから、その顛末が面白くないわけがない。
実は私は、新井素子さんの文体があまり好きではなくて、そんなに読んでない(それでも、SFも結構あるせいか、マイ本棚を見たら、まとまった冊数があって少し驚いた)。また、「元祖不思議ちゃん」的雰囲気ももう一つぴったりこない。そんなこんなで、本書も最初の方は斜め読みしてたんだけど、家を(しつこいが「本棚」を)建てようとする話あたりから俄然面白くなって、一気に読んでしまった。
新井さんって、執筆量も半端ではないけれど、読む量はもっとすごいのだ。小学生の頃から、本を読むことを仕事にしたいと思っていたそうだ。集中すると、周りの音なんか一切聞こえなくなると言う。そういうエピソードを知ると、なーんか他人と思えなくなるなあ。
お父さんが亡くなり、蔵書を引き取るときは、自分の本とダブっているのがたくさんあったそうだ。「五千冊くらい」とサラッと書いてある。これをどうするか? ここで新井さんが下す決断が潔い。自分は「本が好き」なのか、「本を読むのが好き」なのか、と考えれば、明らかに後者だ。だから、「読めるものを残す」。古本的価値は度外視して、新しくて読める方を残すことにするのだ。一つの見識だろう。
本の他にもう一つ、新井さんが大量に持っている物があって…、これがなんと、ぬいぐるみ。もともと好きだった(デビュー時高校生だものね)ところへもって、出版社の接待やら(確かに高校生は銀座のバーには行けない)ファンからのプレゼントやらで、その数四千! うーん、四千だよ、四千のぬいぐるみ。しかも大きいのばっかり。最大のヤツは…、もうこれは自分で読んで驚いてください。これもぜーんぶ、新居に並べる場所を作っちゃうのである。いやはや。
この他にも、結婚すればできるものだと思っていた子供がずーっとできなくて、結局諦めるまでの話とか、お父さんお母さんが老人施設に入ることになり、それがどんなふうだったかとか、興味深いエピソードがいろいろある。決して深刻にならず、どっちかというと(客観的には)お気楽に語られるその雰囲気は、好き嫌いがはっきりしそうだが、私は面白く読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラノベのはしりなのか、こういう感じ…は
30年くらい前によみやすかったけど、
今はいかがなものか?逆に読みづらい。
理屈が多くて、辟易してしまう感じだった。 -
バブル期に沢口靖子と陣内孝則でドラマ化された「結婚物語」「新婚物語」の25年後の物語。450ページと分厚い本だけど、数時間で読めた。少女っぽい文体、話があちこち飛ぶ感じ、あの頃は大好きだったんだよね。今は違う印象。他人の家庭の大変だったこと、悲しかったこと、運が良かったこと、本当に日常の思い出が、物語形式ではあるけど、たぶん素に近い形で語られていて、でも、それだけなんだわ。本当にファンの人以外には、割とどーでもいいことなのかも。と思った。自分も銀婚式を迎えるくらいの人が読んだら、また違う感想かもしれません。
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陽子さんが結婚後の25年間を振り返るお話。いろいろなことがあって、ちょっとしんみりしたが、普通の家庭では起こらないことも多数。さすがは、新井素子…と勝手に実話にしてみるが、どこまで本当のことなんだろう。第十二章「おでかけ前のあれこれ」で、エンゲージ・リングを探す陽子さんが開けた宝石箱の中に入っていたのは、「…SF仲間が作ってくれた〝のた魚〟(吾妻ひでおさんのキャラクター)のブローチや、〝ホシヅル〟(星新一さんのキャラクター)の装身具や、かものはし(某雑誌のキャラクター)のブローチ。」だったというところ(389ページ)を読んで、つい笑ってしまった。「某雑誌」は、「ファンロード」かな。
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自分自身とご主人をモデルにした小説とのことです。エッセイと言われても、そうかと思いそう。そして新井さんの文章は相変わらずという感じですね。
銀婚式を機に25年の結婚生活を振り返る訳ですが、波乱万丈という訳ではなく、淡々とした思い出が綴られていきます。
猫のお話と、土地と家を買うお話に力が入っていたかなぁ。持てなかった子供のお話とか、家族の介護や看取りのお話は、きっともっと色々な思いがあっただろうし、書き込めばもっとドラマティックになったのかもしれませんが、それをしないのが新井さんなのかもしれませんね。
最後、記念ディナーで25年を思い返し、しみじみとお互い相手がパートナーで良かったと思うところは、ちょっとじんときました。金婚式物語も書いて欲しいものです。 -
20年前は「結婚物語」を楽しく読めていたけど、物にこだわるやり取りが、今読むとつらい。年月の経過を感じた。
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銀婚式について調べてたら、新井素子がこれを書いていると知り、手に取りました。思えば、まさしく25年ほど前に『結婚物語』を読んで以来かと。
一応、小説なんですけど、これはまさしく新井さんの実体験をまとめたエッセーなのでしょう。
新井さんの結婚生活25年は(ご本人も冒頭で認めておられるように)特に大きな事件もなく、まぁいろいろあっても、基本的に家族や友人に恵まれた平和な毎日がたんたんと続くわけです。
その中で特に目立つのが、改行や読点、句点を多用した文体。それから、新井さんご本人の突出した性格的行動的な偏向ぶりです。
そこで思うのですが、これって、ブログでみなさんがやってることと同じではないでしょうか?????
例えば、わたし。子どもの頃から「仏像好きな変わった子」でした。それが、SNSが発達し、Twitterやブログで同じ趣味をもつ人たちと繋がれるようになり、それまで「偏向」だったものが「普通」や単なる「常識」になり。。。 それで、ますますのめり込んでいく。。。っていうことが起こりうる時代になっているわけです。少なくともわたしには起こっています。
わたしのブログはお粗末なものですが、同じ趣味をお持ちの方々は専門家も知らないお寺まで出かけていく行動力をもち、なんとも素敵な文章と写真をブログに発表なさっています。
こんな時代、新井素子のこの本を出版することに何の意味があるのかなぁあと思ってしまいます。 -
むかし読んだ「結婚物語」の続編が出ているのを知って、手に取った。
ちょっと変わった夫婦のなんてことのない日常を、作者独特の表現でつらつらと綴ってある。この軽いノリ、昔はよかったけど今読むと結構ツラいなぁ~(笑)
でも、こうして久しぶりに時々作品を手に取りたくなる魅力的な作家です。
2015/02 -
結婚物語、新婚物語の20数年後(かな?)何処からがフィクションでどこまでが真実なのかは神(作者)のみぞ知る。まぁ、私は新井素子自伝だと思って読んでるのですが。
三浦しをんも是非結婚顛末記と旦那の正体書いてくれんかな。 -
どうしたんでしょう?いがいにも楽しめた自分にびっくりしつつ。笑
こういう結婚生活ってあるんでしょうね~。そして、今の私は陽子さんのように小説家ではないものの家にてどんどん読書をしている・・・笑
日々の日常ってたわいもないけれどもその積み重ねが大事なんだろうなって読み終わってちょっと思いました。こういう人生もいいのかもって読みおわって思っている自分にもびっくり笑 -
新井素子さんの本を読むのは、新書版「チグリスとユーフラテス」以来かもしれません。特にファンでもないのですが、10年以上のインターバルを経て読了。
フィクションの形を取っていますが、ほぼ新井さん本人の実録結婚(結婚25年目という中堅夫婦の)ストーリーだと思います。
他の方も書かれているのですが、なんだろう、新井さん自身の人柄や文体など全く変わっていないのに驚きました。
と、同時にそれについていくには若干しんどくなっているワタシ自身が…(笑)
あの若干周りくどい話し言葉をそのまま文体にしたスタイルが、以前の自分だったら面白く読めていたのですが、今では
「もっと簡潔に書いてくれればいいのに」
と思ってしまうのです。
たぶんコレはワタシ自身が結婚して現在、読書において時間的なことや文章を読み解く労力を惜しむようになってきてしまっているからなのでしょうね。
でもそんな自分を否定するつもりもありません(笑) 人は変化する生き物なのですから、と開き直ってもいます(笑)
でも、これだけ文章やキャラクターが変化しない、というのもスゴイ人だと思います。
軸が全くブレることなく生きている、というのは新井さん自身が本が好き、お話を書くのが好き、という自分自身の核となるものを見つけられて、人生を謳歌されてるな、というのを感じました。正直うらやましい生き方です。
うーん、短篇集も去年ぐらいに発行されているので、今度はそちらを読んでみようかな、フィクションだったら読後感もまた変わってくるかもしれません。
個人的にはまた新作で長編のSF作品を読んでみたいなとは思うのですが。 -
ああ、私はもうこの人の本は読めないんだ、ということを確認するために読んだ。
中学高校時代は著者が紡ぎ出す物語に首までつかり、
生み出される世界がそのまま自分の世界でもあったのだけれど。
30年変わらない作者と、30年で変わっていった私と。
惜別の一作。 -
銀婚式を迎えた筆者自身をモデルにした私小説。
比較的エッセーで自身のことをよく書く人でもあり、小説でもあとがきで「こんなことをやっててこのシーンを思いつきました」と書く人でもある。そのため「どこかで読んだことがあるな~」というシーンがちょいちょいあるのは確か。でもそれらをそれなりに整理された形で振り返れるのはこの本ならではだと思う。
「私小説」というジャンルは多くの作家さんが書かれますが、どこか教訓じみていたり、あるいは書いたときの目線で妙に整理してしまったりするものが多い。
でもこの”銀婚式物語”はそういう仕上がりではない。作者らしい等身大を感じさせる文体で、今のことも昔のことも同じ感じで語られる。「自分のことなのにどこか客観的」ってあたりに、この作家さんはあくまで”SF作家”なんだな~、と感じさせられた。
「新井素子さん(の作品)と共に年を重ねた読者」には楽しめる作品かな、と思います。 -
むか~~~し読んだ、新井素子さんの「結婚物語」の続編。
あれから25年たった、作家の陽子さんと、旦那様の正彦さんの結婚生活のお話。
そりゃまぁ25年も結婚生活してたら、いろんなことがあっただろうねぇ~~。
私もひさしびりに新井素子さんの文章を読んで
あぁ、子供のころこの文体が好きだったんだよなぁ・・・と
懐かしく思いました。
「結婚物語」ででていた猫のファージーの最期が悲しくて外で読んでたのに泣きそうになった・・・ぐらいかな(笑 -
再読です。
今、面白い。 -
タイトルに惹かれて。
自分の銀婚式記念。
この作家さんの本読んだことあったかな。 -
この文体を楽しめた自分が興味深い。
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「新婚物語」を楽しんで読んだのも約25年前になる。「銀婚式物語」を読み始めたばかりで感じたことをひとつ。新井素子さんの文体はいつも等身大の女性調で砕けて書かれてあるけれど本当の文章をしっかり叩きこんでいる人が表現したものだ。文章の咀嚼力が違う。あの頃の中学生だったわたしがすぐ飛びついた魅力あるものに仕上げた力はとてつもなく巨大だったんだなあ。
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「結婚物語」から25年後、
銀婚式を迎えた陽子さんと正彦さんの物語。
今作はドタバタもあまりなく、
正にエッセイと言ってもいいほどのんびりしている。
(おそらく、ほとんど素子さんの体験談だと思います) -
新婚ものがたり、結婚物語とは風味もちがって重しお買った。
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結婚物語~新婚物語を小さい頃に読んでいたので、懐かしい~。
なんでかな、少し読むのに時間がかかった。
陽子さん正彦さんいつまでもお幸せに!!
金婚式物語の発売を待ってます。 -
中央公論新社さん、文庫化はまだですか?
『結婚物語』や『新婚物語』とサイズを合わせて本棚に並べたいんで、よろしくお願いします。 -
お猫様ファージが亡くなるシーンで号泣。
あとはまあ、ゆるゆると回想録。
時間経過でいえば、昼から夜にかけて起こって、回想した話だからな。
所々、おっ?と興味引く話もあるけれど、全体的にゆるゆる。
なんたって、波瀾万丈一切ない結婚生活25年の話だ。
いや、当事者にしたら、ほんっとに大変だったんだから!な事は多々あるんだろうけど、はたからみたらまあまあ順調ですね、な25年。
でも、一気読み出来るのはやっぱり新井素子文体が心地よいからなんだろうな。
久しぶりに本読んで、ほっこりした!
んで、我が家のおニャンずの追いかけっこも、暖かく見守りたい…と思うよww -
新井素子さんの「結婚物語」→「新婚物語」の続編!!
もう、懐かしくて懐かしくて・・・。素子節も相変わらずで・・・。
非常に懐かしく思いながら一気読みしました。
25年って、長~い月日ですよね。いろいろあって、それでも
「この人と結婚して幸せ!」って思える結婚生活で良かったね~、と
しみじみ思いました。
「金婚式物語」を楽しみに待ちたいと思います。 -
これはもう、青春の一ページというか、かつて新井素子を読んだことのある読者としては、読まずにはいられない本ですね。当時からちょっとは思っていたけど、くどくど書きすぎなんだこの半分の量で書けるだろうと思いつつも、あっという間に読んでしまいました。最後まで。長いのろけ話でした。