ヘルたん

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 167
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043314

作品紹介・あらすじ

元引きこもりの神原淳は、浅草に住む成瀬老人宅の居候となる。そこで出会ったヘルパーは、淳が高校時代に恋していた不良先輩・中本葉月。成瀬は実は伝説の名探偵で、淳はヘルパー講習の傍ら、探偵見習いも務めるはめに…。推理と介護のフュージョン。新機軸の青春本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • ヘルパー兼探偵略して
    「ヘルたん」

    フィクションとはいえ、
    介護ヘルパーさんの
    厳しい実態を垣間見る。

    モノローグで語られる
    老探偵の独白は他人事
    ではない。

    記憶力が衰えて
    メモ書きに頼る生活は
    明日は我が身。

    社会に出たての
    初々しい主人公と、

    最期を見据えた
    老人たちの交流は、

    あふれるエネルギーと
    人生のベテランの交流
    でもあり。

    片や元気を与えて
    片や人生経験を伝えて、

    そう、
    世の中持ちつ持たれつ
    かくあるべし。

  • 変則ながらも本格ミステリであり、かつ
    介護現場とその環境を綴った一見、ほのぼの系の
    作品。しかし...その内容は結構、重たいもので
    悲しくも辛いストーリー。主人公の「淳」の
    いい意味でふわふわした主体性のないキャラが
    その重たさを軽くしてくれています。

    両親の借金の都合で仙台から一人で上京する事に
    なった「淳」。ある経緯から元名探偵と名高い
    老人宅に居候をする事になる。学生時代に苛めに
    あっていた淳が唯一恋心を抱いていた先輩
    「葉月」と再会し、流れで淳は介護ヘルパーとして
    社会人として再生を試みる。

    というストーリーの中に淡い恋愛パート、
    日常の蘊蓄、そして介護という仕事。
    さらには元名探偵による安楽椅子推理に
    よる事件の解決...etc 無理なく詰め込まれていて
    そのどれもが押し付けがましくなく読める。
    ラストの章では、登場人物が上手く絡みあい
    重たく悲劇に向かっていくなか、その
    落としどころも絶妙で清々しい。
    いい作品です。

    タイトル(ヘルパー探偵で「ヘルたん」)と
    表紙のイラスト装丁で軽いキャラ小説だと思って
    手にとった方でも...楽しめる筈の秀作。

    書き下ろしとの事なので時間はかかる
    かもしれませんが、続編...熱望です。

  • ヘルパー探偵、略して「ヘルたん」(笑)。というゆるーいタイトルではありますし、非常に読みやすいのですが。ミステリとしてはあまりゆるくありません。むしろ痛々しい現実も垣間見えちゃって。介護の世界の世知辛い現実もしっかり分かってしまいます。
    要介護者の元探偵と、それを介護する主人公。さて、厳密にどちらが探偵といえるのかは分からないのだけれど。このコンビは……今後も活躍できそうな雰囲気があるかも。過去の未解決事件も気になるなあ。

  • 社会派的な物語ながらミステリーというドラマを作っている。
    さすが愛川さん。

  • 図書館

  • 登場人物の設定は面白いと思いました。

  • +++
    元引きこもりの20歳、神原淳は、浅草で一人暮らしをする成瀬老人の居候となる。
    そこで出会ったヘルパーは、淳が高校時代に憧れていた不良先輩・中本葉月。
    成瀬は実は伝説の名探偵で、現在でも依頼人がやってくる。淳はへルパー講習の
    傍ら、探偵見習いも務めることに……。
    「高齢者介護」と「本格推理」の絶妙なるフュージョン。新機軸の青春ミステリー。
    +++

    珍しい取り合わせの探偵小説である。なんと、元引き篭もりの新米ヘルパー・神原淳が、伝説の名探偵・成瀬の家に居候し、探偵見習を始めようというのである。高校時代の憧れの葉月先輩の影響が大きく、彼女がらみの出来事もなんとか解決してしまったり、成瀬の言葉に明示を受け、偶然も手伝って、厄介事を解き明かす淳には、探偵の素質があるのかもしれない。本作ではまだ本格始動とは言えないので、成瀬との関わり方も含め、次作が愉しみな一冊である。

  • 元引きこもりの神原淳は、浅草に住む成瀬老人宅の居候となる。
    そこで出会ったヘルパーは、淳が高校時代に恋していた不良先輩・中本葉月。
    成瀬は実は伝説の名探偵で、淳はヘルパー講習の傍ら、探偵見習いも務めるはめに…。
    推理と介護のフュージョン。
    (アマゾンより引用)

    なかなか面白かったなぁ(*´∀`*)

    ヘルたんってのは
    ヘルパーの探偵ってことらしい(゜Д゜;)
    介護のヘルパーさんのことね

    表紙みたとき軽い感じのお話かと思ったけど、そんなことなかった(゜Д゜;)

    認知症のことやホームヘルパーの実態など結構詳しく描かれていて、そうなんだ~って感じ

    物語自体は最後に「そういうことか~」ってすべてが繋がって、スッキリ

    スラスラ読めたお話でした(*´∀`*)

  • ヘルたん=ヘルパー探偵。

    元名探偵の老人からヒントを得ながら、主人公のヘルパー男子が事件を解決する(?)ストーリー。元名探偵の老人がアルツハイマー症に罹っており、何とか病気を繕いながら事件の解決に導かせているところが、ただの安楽椅子探偵ものとはまた違ってユニークだった。ヘルパーの仕事内容も詳しく描かれており、その点も興味深く読むことが出来る。
    ただ、主人公と彼の周りの人間とのやり取りが妙に軽い。にもかかわらず、急にシリアス展開へ突っ込んでいったり、一体、どっちの方向に行かせたいのか、ただただ困惑。緩急つけるというより、逆にバランスの悪さを感じてしまった。
    アルツハイマー症に罹った元名探偵の推理ぶりは面白かったので、続編には期待したい。

  • 何だかお仕事物なのか推理物なのか全体的にどっち付かずなのに、所々でいきなり重い設定だけボトボト出されてその後はほったらかしで終わったなーという印象でした。ヒロインの片割れ?のその後すら投げっぱなしで終わるとは。シリーズ化前提だった?

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著者プロフィール

愛川晶
一九五七年福島市生まれ。九四年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリーを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリー、人情ミステリーと幅広く活躍。主な作品に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『再雇用されたら一カ月で地獄に堕とされました』。落語ミステリーでは、『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』など「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズ、『神楽坂謎ばなし』など「神楽坂倶楽部」シリーズ、『高座のホームズ』など「昭和稲荷町らくご探偵」シリーズがある。『太神楽 寄席とともに歩む日本の芸能の原点』(鏡味仙三郎著)では編者を務めた。

「2023年 『落語刑事サダキチ 泥棒と所帯をもった女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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