われ敗れたり: コンピュータ棋戦のすべてを語る

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043567

感想・レビュー・書評

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  • 米長永世棋聖によるボンクラーズとの対局記であり、将棋界への遺書。面白かった。
    続く第2回電脳戦はプロ棋士の1勝3敗1分で終わり、今年も第3回が開催されるとのこと。

  • 引退騎士ではあったが、初めてプロ棋士がコンピュータに将棋で負けた。その自戦記。
    二手目、6二玉にかける思いを強く感じた。素直にコンピュータの強さを認め、勝とうとした手。
    名人になるために、今までの米長将棋を捨て、若手棋士に徹底的に序盤や現代将棋を教わり悲願の名人になったことを思い出す。
    柔軟な思考法と思う。それでも勝てなかったのは大変残念だったろう。ただ、歴史は作った。

    妻の、あなたはいま、若い愛人がいないはずです。それでは勝負に勝てません、
    とはいい言葉。覇気がなくなる、雄として。

  • 一瞬の気の緩み

  • 2012年1月に行われた元名人vsコンピュータ将棋「ボンクラーズ」との勝負後の想いを綴った本。
    この米長さんの将棋にかけるひたむきな思いとコンピュータ将棋との対戦に掛ける思いとが交錯する様子が実直に書かれている。私も米長ファンになってしまいました。
    こんなユーモアセンスと機転に優れるお方がもうこの世にいないなんて・・・

    今年あった5番勝負の結果ももう出揃っているので,それぞれの棋士の想いも聞いてみたい。

  • 泥沼流で50歳で名人を取った時はすごいと思った。
    そのときの反射神経と今回の戦法があれば勝てた気がするので惜しかったな~、と思う。
    しかし、そういう好条件がそろわないと勝てないくらいになってきているんだね。
    フーリエ変換でアナログデータを必要充分にデジタルデータに変換できるけど、思考力とか推論力とかそもそも神経経路の中ではデジタル処理みたいだから、丸ごとエミュレーションするような環境がそのうち作られるのかもね。
    そういうことが可能になったら、自分なら何をするだろうか。
    仮面ライダーXの主人公の父親みたいなものを作るんだろうか。

  • ちきりんさんがブログで面白いと勧めていた。確かに記者会見での当意即妙のやりとりや、文章に垣間見える抜群のユーモアセンスには、うならされてしまった。僕は将棋のことはよく知っているのだけど、将棋のことをよく知らない人にも読み応えのある本だと思う。

    コンピュータと人間の将棋対戦を通して、色々なことを考えさせられた。ドラゴンボールの人造人間編を読んだ時のような既視感にかられたが、現代のコンピュータ将棋の進歩には驚かされることばかりだった。

    あとがきで米長さんが、「この本は、私の将棋界への遺言書になるかもしれません。」と書かれていた箇所は、読んでいて思わず背筋が伸びてしまった。人間として、経営者として、勝負師としても、これほど素晴らしい方がもうこの世にいらっしゃらないとは、寂しい限りである。

  • 将棋ソフトと対戦するために、100 日かけて準備し、対策を立て、敗れた経緯のまとめ。

    対戦したソフトの特性をよく把握し、序盤優勢に進められたところ、すごいと思う。アルゴリズムと人間の得意不得意が拮抗しているのが、現在の状態なのだろう。
    それを崩すのが、昼休みに登場したパパラッチ、いやパパラッツァ。それがどのくらいの損害なのかはご本人にしかわからないことだろうけれど、その憎い相手を、「可哀想だから」と社名も明かさない懐の深さ。

    ニコニコ動画で見ていた人への筆者の感謝と思い、何を言っても聞く耳を持たずに思い込んだことだけを書く旧式メディアとの対比も描き出されていて、面白かった。

  • コンピュータ将棋ソフトと対戦し、敗れた米長元名人による、経緯などなどを綴った本。文章はさらっと読みやすいですが、プロの文章ではないです。何度か繰り返されていることもあり、丁寧すぎて冗長に感じたところもなくはないですが、基本的にはスムーズに読めます。途中棋譜を解説するところは、(私が将棋を一切やらないので)かなり苦労しましたが…。普段将棋になじみのない方も対象とされている割には、徹底的には近づききれていないかなぁ、とも。

    全体的には、米長氏が初手に選んだ6二玉という手は悪いものではなかった、というのをとにかく主張したかった、という印象が強く。会見以外では接触・撮影禁止としたルールを破り、昼休憩の際に写真を撮った新聞社の女性記者の話も、いくら「関係ない」と書かれたところで、読者からしたら、それも一因だよねと読めてしまう。「負けたのは弱かったからです」と言い切るのは、すがすがしいものの、どこか言い訳感が残る気もしてしまったのも事実。

    コンピュータ将棋ソフトは、プロ棋士から見たらどんな存在なのか。人間相手の作戦とは全く異なるというのは、興味深いものでした。それにしても、どんなに長時間かけても、ミスをしないコンピュータって手ごわい相手ですよね。これから(将棋に限らず)コンピュータはどう発展していくのかも気になります。

  • 吉川英治 宮本武蔵

    波騒は世の常である
    波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る
    けれど、誰か知ろう、
    百尺下の水の心を。水のふかさを

  • 日本将棋連盟会長,永世棋聖の著者が,元プロとして初めてコンピュータに敗けた第一回電王戦を語る。同じ年に前立腺癌で他界されているが,最後まで世の中にインパクトを与え続けたのはすごい。序盤に弱く終盤に強いコンピュータを相手にする将棋はだいぶ戦法も違うようで,現役プロ棋士がやるのは研究などの面で負担が大きそうだが,今年第二回電王戦が行われて人間側が次々惨敗したのは記憶に新しい。

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著者プロフィール

昭和18年6月10日、山梨県増穂町の生まれ。 31年、6級で(故)佐瀬勇次名誉九段門。 38年4月四段。54年4月九段。平成10年5月永世棋聖に就位。15年12月引退。 15年、紫綬褒章受章。17年から日本将棋連盟会長を務める。24年12月18日、現役会長のまま死去。享年69歳。25年、旭日小綬章を受章。 タイトル戦登場は48回、獲得は名人1、十段2、王位1、棋王5、王将3、棋聖7の合計19期。 生涯成績は1103勝800敗1持将棋。

「2015年 『ネット将棋で勝つ米長の奇襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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