幸せの条件

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著者 : 誉田哲也
  • 中央公論新社 (2012年8月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044151

幸せの条件の感想・レビュー・書評

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  • 武士道シリーズが大好きだったので
    誉田哲也さんには、お得意の血なまぐさいハードボイルドな世界だけじゃなくて
    そろそろ殺人の起こらない世界のお話も書いてほしいな~と思っていたら

    出ていました!
    警視庁の敏腕刑事でもなく、剣道にひたすら打ち込む少女でもなく、
    なんと、理学部卒とは名ばかりで会社で役立たず呼ばわりされたOLが
    長野の広大な田圃で、農業と格闘する物語。

    毎日が、「あー、会社いきたくなーい」の叫びで始まっていた梢恵が
    社長がはりきって発明したバイオエタノール精製装置実用化のために
    原料となる安いコメを作付けしてもらえる農家を求めて長野に派遣され
    農業法人『あぐもぐ』で農作業を手伝ううち、
    「食」を支える尊さと働くよろこびに目覚めていく姿が描かれます。

    『図解 バイオエタノール最前線』を買ってはみたものの読破することもなく
    基本的な知識さえ持たないまま『あぐもぐ』を訪れた梢恵に、社長の茂樹が
    コロッケと生野菜が載った夕食の皿で説明する食料自給率のカラクリに感心し

    3月11日の震災後、放射能問題の影響で、たった300mの差で
    作付制限を免れられず、丹精こめた田圃を捨てなければならなかった誠に
    原発への怒りと憎しみをストレートに語らせる誉田さんの勇気に心打たれ

    『あぐもぐ』で眼鏡を泥だらけにしながら働き続ける道を選んだ梢恵に
    「悪かったな。せっかく入ってきてくれたのに、この会社は、お前に
    働く楽しみも、生きる喜びも、何一つ教えてやれなかった」と
    泣きながらクビを言い渡す社長の片山の言葉に感極まって

    コメのみならず、籾殻でもワラでも野菜クズでも雑草でも燃料化できる
    社長渾身の全自動バイオエタノール精製装置に投入される雑草並みの逞しさで
    「きっと、それくらいのお役には、立てると思うんです」と田圃に向かう梢恵を
    背筋を伸ばし、全力で応援したくなるのでした。

  • タラタラと無気力に働く理系女子OLの梢恵。

    気はいい女の子らしいけど職場が彼女の力を発揮する場となっていないのはよくわかる。
    エコ燃料・バイオエタノール用に米を作れる農家を探すという業務で長野に出張?!




    誉田哲也さん、まさか、
    「都会の空気に疲れた女性が空気と人情のきれいな田舎で本来の人間らしさを取り戻していく話」
    にはしませんよね、と思っていたら、(*^_^*) うん、やっぱり!

    ビジネスとしての農業に焦点をあて、日本古来の農作業が実はいかに効率を考えたワークであったか、また、そこに新しいやり方を投入して発展させていこうとしている農業人たち、などと、
    斜陽産業なんて思ってる場合じゃないんだね!と明るい&驚きのお話が続出。

    なるほどねぇ~~、と田んぼと畑の両方に対して、まるっきり違う角度から考えさせられた物語でした。

    何も知らない梢恵が会社の営業活動の一貫として、農業法人に住み込みで農業を??
    という、かなり無理のある発端から始まった話ですけれど、
    受け入れる人たちの様々な思い、背景、また、本来の会社の社長の人となりなどに助けられ、
    梢恵は日々驚きながらも、案外しっくりと農の生活に馴染んでいく。

    私は農家の親戚が多く、彼らの常識がかなりその他のモノとは違う(悪気はないんだけどね、ホントに違う、ということ)が身にしみているので、正直、こんな上手くはいかないでしょう、という気持ちもあったのだけど、それでも、ふんふん、なるほどね、と面白く読めてしまったのは、たぶん、誉田さんの丹念な取材による土台がしっかりした物語だったからだと思います。

    科学的な観点からの農業の描写、
    農薬をただ忌み嫌うのではなく、あるいは礼賛するのでもなく、という冷静な姿勢、
    日本の農業自給率に関する数字のカラクリ、
    (マスコミって国民を不安にするのが仕事だ!みたいにネガティブなことを言いたがる、
    というか、だから農業は先行き暗いんだ、という情報を実は一般国民が求めている?)

    など、うんうん、そうだったのか、という明るい驚きが嬉しかった。
    登場人物たちは、その中で、ちょいと奥行が狭いかな、という気もしたけれど、
    気持ちよく読ませてもらったので文句は言わないことにします。(*^_^*)

  • ワンマン社長の命令である日突然、長野に出張を命ぜられたOLの梢恵。
    彼女の任務は長野でバイオエタノールの原料となる稲作を請け負ってくれる農家を探すこと。
    梢恵はそこで数件の農家を訪問し、あえなく撃沈。
    その後、「あぐもぐ」という農業法人の社長と出会い、何故か彼の元で農業を学ぶことになる。
    ・・・というのが大体のストーリー。

    半分くらいは一応ちゃんと読んでいましたが、その後全く内容が頭に入らなくなった。
    個人的にはちっとも面白いと思わないし、心に響くものもない。
    何故って、それは農業や農家の実体とか空気感が全くこの本からは感じ取れなかったから。
    ものすごく農業について、農家について、今の時代に置ける農業の存在についてを勉強していると思う。
    でもそれは頭で展開しているだけのことで、物語には実感が伴ってない。
    まるで都会の人が農業について勉強して表面的に描いたという印象を拭えなかった。
    それにこの頃、他の小説にもよく見られるけど、この話の中でも東北大震災のエピソードが盛り込まれており、それがこの話に本当に必要なのか?と感じた。
    そういった誰もが惹きつけられるものを盛り込まずにもっと農業に切り込んで欲しかった。
    それでないなら、もっと表面的なものに終始してそういう小説なんだ・・・と軽く読ませて欲しかった。

    主人公の梢恵は物語の中では、可愛いがあまり魅力がない、はっきりしない性格として最初登場する。
    そんな彼女に社長はいきなり一人で長野に行けと言う。
    大事なプロジェクトをOL一人に任せる・・・本来ならそんな事はないでしょう。
    そこに社長の意図を感じた。

    この本で唯一好感をもてたのは主人公の性格。
    はっきりしない性格でぐずぐずしながらも素直に「行け」と言われたら行く。「やれ」と言われたらやる。
    とても素直な女性だと思う。
    また、長野に行く前にちっとも農業について勉強してない所など、結構大胆な性格だとも思う。
    東北大震災の寄付の様子は見ていていじらしいし、イイ子だと思う。

    この作者の残酷シーンのない本は初めて読みましたが、私には面白いと思えず描写が浅いと感じました。

  • 主人公を取り巻く人たちがみんないい。
    簡単な事務職しかしたことがなく、なにかと言うと「ひっどーい」と言っていたダメダメな主人公が、過酷な条件な仕事をきっかけに成長していく。
    いきなり、農業への華麗な転身。
    こんなに軽々と気持ちを切り替えられるのかな?とちょっと気になるが、周りの人達がいいから、まあそれもありかな?と。

  • 誉田哲也さんはじめて読みました。ストロベリーナイトの雰囲気は全くないですね。読みやすかった!!
    誰でもできる仕事って思いながら働く人たくさんいると思う。
    嫌なことも受け入れていくことで人生の方向が変わるかもしれないなー。
    誰かに必要とされることじゃなくて、自分には何が必要か
    見極めることが一番大切なことっていうところがかなり心に響いた。
    震災のことも書かれていて、みんなの葛藤もわかった。
    “食”を見直すと自分が浄化されるんだろうな。
    ほかほかの新米私も食べたくなりました。
    他の作品も読んでみよう。

  • 「武士道シックスティーン」の作者。
    今回は農業をテーマに仕事と生き方について描いている。

    主人公は実験用ガラスメーカーに勤める若い女性です。
    社長がバイオエタノール精製のための器具を開発し、
    そのための米を作付けしてくれる農家を探しに長野へ長期出張。

    仕事に燃えるタイプではない主人公が
    東日本大震災や農業の体験を通じて
    仕事や農業や生き方について学びます。

    農業を描いているけれど堅苦しいところがなく、
    明るくて楽しいお話しでした。

    仕事を通じて「必要とされている」ということについて、
    片山社長が語るところが勉強になっちゃいました。

    重要なのは、周りから必要とされていることがいいのではないんです。
    それだったら代わりは誰でもできますよね。

    当人がその仕事にやりがいと生き方をはっきりと持てることが
    大切なんです。
    そんなふうに「自分のやるべきこと」が見つかれば、
    「必要とされる」という受け身ではなく、
    本当にやりがいのある働き方ができるんです。

    ホロリだったのは
    主人公梢恵ちゃんと地元のおじいさん文吉さんがメール交換するところ。
    相手の役に立ちたいと思う気持ちって、ちゃんと通じるのですね。

    とても良いお話しでした。

  • 今まで読んだ誉田哲也の作品とはまったく異なる物。こんな作品も書くんだ・・・というちょっとした驚きもあった。
    震災から発生した原発事故。そこからエネルギー問題と農業の関係。
    いろいろ勉強になることも多かった。今ちょうど総選挙前でもあってタイムリーな内容でもあった。
    梢恵は農家での修行を始めて、過去の自分との変心ぶりがけっこう早くてその後の挫折みたいなのもほとんどなかったのが、うまく行きすぎのような気もした。それは『あぐもぐ』の人たちの人柄のおかげってことなのかな・・・

  • 農業ものって初めて読んだと思います。
    農業ってどうしてもおじいちゃんおばあちゃんが腰を曲げながら一生懸命畑を耕してる様なイメージがあるけど、ビジネスとして捉えたそれは全くの別物でした。
    考えてみたら当たり前なのですが、あれだけ広い田んぼや畑ですから効率化や合理化を追求するのは当然ですよね。

    3.11の東日本大震災、放射能問題が上手く取り入れられてて、物語がよりリアルに感じられました。

    何かって言うとすぐ「ひどぉーい」って文句を言っていた主人公の梢恵。
    その被害者面に最初はイラつきましたが、成長して行く姿がとてもよかったです。
    ラストの梢恵と社長の会話にもぐっと来ました。

    自分にとって何が必要か?
    読了後、自問自答せずにはいられません。

  • 東京の会社でなんとなく働く女の子がバイオエタノール用のお米を作る農家を探しに行った長野で農家の手伝いをすることになる…というお仕事小説です。震災、放射能汚染、無農薬、エネルギー問題、日本の食料自給率、田舎暮らしがわかりやすくさらっと語られて、時に心が温まるよい長編小説でした。

  • へたれOLが農業に出会ってハマるまで。
    確かに新境地?でもやっぱ誉田さんは姫川シリーズが一番!!
    誰かに必要とされるんじゃなくて、自分が何を必要とするのか・・・という言葉は心に残った。

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幸せの条件の作品紹介

日本の未来を救う!?
コメから採れる新燃料を求め、農業知識ゼロの24歳女子が単身農村へ。
果たして新エネルギーは獲得出来るのか?

「ストロベリーナイト」「武士道シックスティーン」の誉田哲也先生、最新作!

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