幸せの条件

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044151

感想・レビュー・書評

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  • 農業法人を営む家族のところに、バイオエタノールを得るための米作りを仕掛けるよう命じられ、転がり込むOL。何のために会社にいるのかわかっていない梢恵ちゃんの、ひたすら農業に飛び込んでいくお話。恋愛もそんなに深入りせず、震災も、農家の問題も、農業の姿も、みんな盛り込んである。最後が読めてしまう作りだけど、それでも最後が気になって読みました。

  • ミステリ作家のイメージがある著者だが、この本は違う。主人公のOLはぬるい会社生活を送っていたが、突然バイオエタノールの作付け農家を契約すべく長野に行くことになる。更には研修として農業法人で米作り等、一から身につけることとなる。そんな中、大震災から福島原発事故が発生。日本の農業について真剣に考えることとなる。軽快なテンポで進む話は読んでいて気持ちがいい。現在日本の食糧自給率は40%程度。しかしこれはカロリーベースなので、低カロリーの野菜はいくら自給しても自給率は上がらない。国内で育てている家畜も餌を輸入していたら全て自給ではない。こんな値を基に議論していて意味はあるのだろうか、という気もするが、近い将来食糧危機は必ず発生するだろう。それまでにきちんと対策をしておく必要がある。福島の農業を壊滅状態に追い込んだ原発。その再稼動を進めんとする勢力の電気料金大幅値上げ等の姑息だが強力な圧力。卒原発派(この日「日本未来の党」発足)の人々は踏ん張れるか、選挙はもうすぐだ。

  • 面白い!

    働くことに給料以上の意味を見出せず、会社の事業や他人の仕事に興味無く、彼氏に依存しながら日常をただ無気力に暮らしている女子が主人公。
    笑ってしまう。。

    勤めている会社から、唐突に長野へ行ってバイオエタノールの材料となる稲の作付を農家へお願いして来い、との使命。

    失敗しながらもある専業農家が救いの手を。

    食問題(自給自足について)、農業、震災、エネルギー問題などをわかりやすく説明してくれて勉強にもなります!

    まぁ主人公の可愛らしい?女の子が人間として成長していくハッピーなお話で、ふわっ~とですが健康的でワクワクしました。リアルさは、あんまりないですけど。

    幸せって、いいですね!

  • 農家が抱える現実を紹介しながらの、24歳女子の自分探し。著者の作品ではかなり甘い部類に入るものだが「本当に必要とされる人間なんていない。大事なのは自分に必要なものは何かを見極めること」。これは響くなぁ。

  • 2014.12.4読了
    本当にダメダメなOLだったけど、彼女の成長に私も考えさせられるものがあった。やっぱり人との出会いって何にも変えがたいな、と痛感。最終的に梢恵を送り出す社長の言葉にもググッときた。(図書館)

  • #読了。片山製作所で経理/伝票業務を担当していた梢恵は、突然バイオエタノール用のコメを探せしてこいとの社長命令を受け、長野の農家へ。日本の農業・農家の問題点を学びつつ農家の手伝いをしていた際、東日本大震災が起き・・・エネルギー問題がテーマではあるが、固い感じはなく、ヒューマンドラマ。

  • 非常に綿密な事実の取材に基づくフィクションなのだろうな.
    元々農業というものの知識も興味も無かったのだが,食というものへの関心が強くなった.(本来のテーマは食じゃなくてバイオ燃料だったが)
    純粋に感動した.
    何ごとにも一生懸命であることや仕事,夢といったことの重要性を思い出させてくれたというか.
    すごく大きな示唆が脈々と流れている,そんな感じを受けた.

  • これも誉田哲也の読み逃し分。
    仕事に情熱を感じず、流されるままに生きる典型的な
    腰掛けOLが、会社の無茶過ぎる指示により、単身長野
    の山奥で農業に従事する事態に。しかし、そこでは・・・。
    というお話。

    農業云々の前に、人間がやる気になり、メキメキ成長
    して行く様が清涼感たっぷりに描かれているのが見事。
    おそらく全ての人が一度は経験する感覚であり、自分
    のその時がいろいろな場面でオーバーラップしてくる。
    この年になってから読むと、かなり来る。
    そういう種類の作品なんだと思う。

    ただ・・・。
    扱っているのはエネルギー問題であり、米(コメ)から
    バイオエタノールを生成し、石油に変わる燃料を得る夢
    の機械の試作に成功した下町工場の社長から話は始まる。

    ・・・この話、なんか四国あたりで聞いたアレと妙にシンクロ
    してしまい、どうも胡散臭さが拭えない(^^;)。もちろん作者
    や実際に成功例のあるバイオエタノール生成装置開発者の
    皆さんには何の責任も無い。あのワケの解らない親父の所為で、
    素直に楽しめなかったのかと思うともう・・・。

    ・・・まぁ、個人的にはともかく(^^;)、凄く良いお話であること
    に変わりは無いです。オススメ!

  • 瀬野梢恵、24才、農業経験ゼロ。中小企業・片山製作所の事務をしているのだが、ワンマン社長の思いつきで、新燃料・バイオエタノール用にコメを作ってくれる農家を探すように、長野へ長期出張を言い渡される。
    彼氏にも会社にも見放され、傷心のまま、長野でほぼ当てもなく営業するも、「コメは食うために作るもんだ。燃やすために作れるか」と、話さえ聞いてもらえない。
    エネルギーも自給自足、の言葉に、ちょっと脈あり、と思われる農業法人「あぐもぐ」社長・安岡に、「まずは体で一から農業を知れ」と言われ、住み込みで農業の手伝いをすることとなる。
    地道で過酷な農家の仕事・・・しかし、安岡の妻の君江や娘の朝子、あぐもぐで働く仲間たちのあたたかさに触れ、梢恵は変わってゆく。
    そんなおり起こった、東日本大震災。

    農業、震災、そしてエネルギー問題に挑む感動の物語、と帯にありあますが、本当にそのとおり。
    特に、「あぐもぐ」社長の食料自給率の話は目からウロコでした。
    大人だけでなく、学生にも読んで欲しい。

  • なんとなく生きているOLさんが、ひょんなことから信州穂高で農業に携わるうちに成長していく・・・といった内容で、ありがちな話ではあるけれど、面白かった。
    予想外に東日本大震災にも触れていて緊張したが、福島農家の話など考えさせられ、良かった。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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