幸せの条件

著者 :
  • 中央公論新社
3.76
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感想 : 175
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044151

作品紹介・あらすじ

日本の未来を救う!?
コメから採れる新燃料を求め、農業知識ゼロの24歳女子が単身農村へ。
果たして新エネルギーは獲得出来るのか?

「ストロベリーナイト」「武士道シックスティーン」の誉田哲也先生、最新作!

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    誉田哲也さんが有名なのは存じていますが、読むのは初めてでした。誉田さんの中でも異質な作品とのことですが、とても読みやすかったです。

    バイオエタノールをつくるための材料を入手するために出張にでた梢恵でしたが、本の中盤までは、まったく進展が感じられず、「どうなるのか?」という不安だけが積もっていく作品でした。

    農業メインのお話でしたが、わたしの奥さんの実家が農家なので、環境が想像できて、物語に入り込んでいくことができました。

    一人一人の登場人物に、そこまで深く入り込んでいくことはありませんでしたが、個性的なキャラが多かったので、それぞれの物語を、連作短編集のようにしたものも面白そうだと思いました。

    「自分に必要なのは何か」というキーワードがでてきますが、この投げかけはよかったです。
    総じて、楽しい作品でした。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    片山製作所は理化学実験ガラス機器の専門メーカーだが、バイオエタノールを作り出す機械を開発する。
    そこに関連して、材料の確保のために梢恵が農家に営業にでていく。
    展開がありえないといえばありえないけど、「何のために生きるべきか」、「何が必要なのか」を考えさせてくれるストーリー。
    登場人物は心温かい人々で、本を読むことで、田舎暮らしをしてみたくなる作品になっています。

     
    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    瀬野梢恵 こずえ、24歳
    智之 ともゆき、彼氏

    【片山製作所】
    理化学実験ガラス機器の専門メーカー
    片山社長

    【農業関連】
    田中文吉 農家、おじいちゃん

    【あぐもぐ】
    安岡茂樹 農家、熊のよう、あぐあぐ社長
    安岡君江 美人、茂樹妻
    安岡朝子 茂樹娘
    北村行人 茂樹の右腕、背が高い、男前
      隼人 行人息子、5歳
    安岡健介 茂樹の甥っ子、29歳
    若月知郎 ともお、37歳、草食系、脱サラして田舎へ
    西田誠
    西田真美
    西田萌絵

    【スナックひろみ】
    ゆみ
    野田夏子 知郎彼女


  • 農業の大変さを垣間見れたと思う。
    後半、文吉と茂樹が会話するシーンがいきなり訪れて泣けた。梢恵の努力が少し報われた瞬間。
    その後、以下社長の言葉もよし。
    「大切なのは誰かに必要とされることじゃない、自分に必要なのは何かを見極めることだ」
    梢恵の成長する姿が素晴らしい。

  • 大切なのは、誰かに必要とされることなんかじゃないんだ。本当の意味で、自分に必要なのは何か…それを、自分自身で見極めることこそが、本当に大事なんだ。

  • 武士道シリーズが大好きだったので
    誉田哲也さんには、お得意の血なまぐさいハードボイルドな世界だけじゃなくて
    そろそろ殺人の起こらない世界のお話も書いてほしいな~と思っていたら

    出ていました!
    警視庁の敏腕刑事でもなく、剣道にひたすら打ち込む少女でもなく、
    なんと、理学部卒とは名ばかりで会社で役立たず呼ばわりされたOLが
    長野の広大な田圃で、農業と格闘する物語。

    毎日が、「あー、会社いきたくなーい」の叫びで始まっていた梢恵が
    社長がはりきって発明したバイオエタノール精製装置実用化のために
    原料となる安いコメを作付けしてもらえる農家を求めて長野に派遣され
    農業法人『あぐもぐ』で農作業を手伝ううち、
    「食」を支える尊さと働くよろこびに目覚めていく姿が描かれます。

    『図解 バイオエタノール最前線』を買ってはみたものの読破することもなく
    基本的な知識さえ持たないまま『あぐもぐ』を訪れた梢恵に、社長の茂樹が
    コロッケと生野菜が載った夕食の皿で説明する食料自給率のカラクリに感心し

    3月11日の震災後、放射能問題の影響で、たった300mの差で
    作付制限を免れられず、丹精こめた田圃を捨てなければならなかった誠に
    原発への怒りと憎しみをストレートに語らせる誉田さんの勇気に心打たれ

    『あぐもぐ』で眼鏡を泥だらけにしながら働き続ける道を選んだ梢恵に
    「悪かったな。せっかく入ってきてくれたのに、この会社は、お前に
    働く楽しみも、生きる喜びも、何一つ教えてやれなかった」と
    泣きながらクビを言い渡す社長の片山の言葉に感極まって

    コメのみならず、籾殻でもワラでも野菜クズでも雑草でも燃料化できる
    社長渾身の全自動バイオエタノール精製装置に投入される雑草並みの逞しさで
    「きっと、それくらいのお役には、立てると思うんです」と田圃に向かう梢恵を
    背筋を伸ばし、全力で応援したくなるのでした。

  • 誉田哲也さんは、「ストロベリーナイト」など警察小説もいいけど、この作品はそれとは違った感動作です。 主人公の梢恵が、最初はだめ人間だと思いこんでいたのがだんだんと成長して行き、いやだった農業にもめざめて行く過程がほんとうに心地よいです。 農業って辛くていやなイメージが、この作品では私にもできる魅力をひきだしています。 いま問題の原発を正面から受け止め明日へのエネルギー、バイオエタノールの将来性を効果的に引き出しています。幸せの条件を見つけ出すためにこの小説を読みましょう。

  • 「大切なのは、誰かに必要とされることなんかじゃないんだ。本当の意味で、自分に必要なのは何か・・・それを、自分自身で見極めることこそが、本当に大切なんだ」
    誰かのために働く事が自身の原動力になっている事も事実だが、自分を殺す必要はないんだと心に響いたワンフレーズ

  • 4.7
    とても素敵な話でした。
    自分が会社や社会で役に立てているのかというのは、私も良く自問自答しています。
    主人公の成長が頼もしく、最初はイラッとするタイプでしたが、どんどん素敵な人に成長していきました。
    農業って、ほんと大変だと思います、休みもろくに無いし、自然との付き合いだから、人知ではどうにもならない事もあるでしょうし、それでも職場や仲間に恵まれてやり甲斐のある仕事を見つけられて良かったなぁと思います、色んな仕事があって合う合わないっていうのは当たり前ですけど、人それぞれで、自分自身もある分野だと、色々アイデアが湧くものの、それ以外だと、情けないくらい何も思いつかなかったりします。
    そこには努力だけでは何ともならない壁も感じます。

    誉田さんのストロベリーナイトに代表されるサスペンス系も大好きですが、武士道ジェネレーションに代表される、何系って言うのか分かりませんが、人間系?
    とても面白いと思います。
    登場人物の発言も面白く、わたしには凄くしっくりきます。
    最後は少し物足りないかな、もっと梢恵の成長を見たかった。

  • ただただ働いていただけの若い女性が、農業と出会うことで生き生きとしてくる様子に元気をもらいました。
    農業のハードさと達成感、採れた作物の美味しさは、少し経験があるので共感できました。

  • わぁ、この主人公、最悪…と思って、読み始めたのに、いつの間にか、農業のノウハウに夢中になってしまった。
    大震災から、原発事故問題など、あえて、加える必要があったのかなぁ、と思ったり、描かれる人物像が軽かったり、気になる部分はあれども、読み終われば、主人公と共に成長した感もあり、なかなか面白かった。

  • タラタラと無気力に働く理系女子OLの梢恵。

    気はいい女の子らしいけど職場が彼女の力を発揮する場となっていないのはよくわかる。
    エコ燃料・バイオエタノール用に米を作れる農家を探すという業務で長野に出張?!




    誉田哲也さん、まさか、
    「都会の空気に疲れた女性が空気と人情のきれいな田舎で本来の人間らしさを取り戻していく話」
    にはしませんよね、と思っていたら、(*^_^*) うん、やっぱり!

    ビジネスとしての農業に焦点をあて、日本古来の農作業が実はいかに効率を考えたワークであったか、また、そこに新しいやり方を投入して発展させていこうとしている農業人たち、などと、
    斜陽産業なんて思ってる場合じゃないんだね!と明るい&驚きのお話が続出。

    なるほどねぇ~~、と田んぼと畑の両方に対して、まるっきり違う角度から考えさせられた物語でした。

    何も知らない梢恵が会社の営業活動の一貫として、農業法人に住み込みで農業を??
    という、かなり無理のある発端から始まった話ですけれど、
    受け入れる人たちの様々な思い、背景、また、本来の会社の社長の人となりなどに助けられ、
    梢恵は日々驚きながらも、案外しっくりと農の生活に馴染んでいく。

    私は農家の親戚が多く、彼らの常識がかなりその他のモノとは違う(悪気はないんだけどね、ホントに違う、ということ)が身にしみているので、正直、こんな上手くはいかないでしょう、という気持ちもあったのだけど、それでも、ふんふん、なるほどね、と面白く読めてしまったのは、たぶん、誉田さんの丹念な取材による土台がしっかりした物語だったからだと思います。

    科学的な観点からの農業の描写、
    農薬をただ忌み嫌うのではなく、あるいは礼賛するのでもなく、という冷静な姿勢、
    日本の農業自給率に関する数字のカラクリ、
    (マスコミって国民を不安にするのが仕事だ!みたいにネガティブなことを言いたがる、
    というか、だから農業は先行き暗いんだ、という情報を実は一般国民が求めている?)

    など、うんうん、そうだったのか、という明るい驚きが嬉しかった。
    登場人物たちは、その中で、ちょいと奥行が狭いかな、という気もしたけれど、
    気持ちよく読ませてもらったので文句は言わないことにします。(*^_^*)

  • 東京日暮里にある理化学実験ガラスの専門メーカーの社長が、エネルギー問題を解決するためのバイオエタノール技術を開発したことから、その技術を応用した機械を活用するために、うだつのあがらない主人公である24歳の若い女性社員瀬野梢恵が、無理矢理信州の農家に再生原料となる米の作付け農家を探しに行かせられ、農家の了承を得られるまでそこの農作業を手伝わされるという、途方もない話で始まるのだが、これがなかなか面白い。
    バイオエタノールから日本の食糧事情、エネルギー問題など、会話に説明口調が多く、物語りに入りにくい印象はあるが、説明も分かりやすく、出てくるキャラクターもそれぞれ魅力的なので、すんなり読め進められる。
    途中、梢恵は3.11の東日本大震災に遭遇することで、農業は日本の根幹を成していることに気付かされ、それまで後ろ向きな考え方でいやいややっていた農業や与えられた仕事に、次第に一生懸命に取り組んでいくようになる。
    それを支える信州の農家の人たちの日常や個性が興味深い。
    日本のエネルギー問題、食糧事情や農家の実態を分かりやすく解説してくれるとともに、最終テーマとして、人間が生きていく上で本当の幸せ、生きがいとは何かを考えさせてくれる。
    何事につけ自信のない主人公のどんくさいキャラも親近感があり、優しさを感じさせる。
    著者の「世界で一番長い写真」を読み終えたときと同様、爽やかな読後感だった。
    是非ご一読を。

    追記:農業関係の本を読むのは、あの本以来だったせいなのか、小学四年生のとき、課題図書で読んだ後藤竜二作「天使で大地はいっぱいだ」を思い出しました。今でも書棚にあります。
    大学入学後、お知り合いになり、引越しのお手伝いもさせていただいた後藤さん、一昨年お亡くなりになったのですね。合掌。

  • *バイオエタノール用の米を育てる農家を探せ。社長命令を受けて、梢恵は長野の農村へ・・・・・・果たして契約農家を獲得できるのか!? *

    無気力な都会育ちの主人公が、農家の善人たちに支えられて人として成長するお話。さらっと楽しく読みましたが、特に心に残るほどではなかったというのが正直な感想。やはりこの方は警察小説が秀逸です。

  • 若者の 初体験農業系って 細かいプロセスが分かって 面白い!!

  • ワンマン社長の命令である日突然、長野に出張を命ぜられたOLの梢恵。
    彼女の任務は長野でバイオエタノールの原料となる稲作を請け負ってくれる農家を探すこと。
    梢恵はそこで数件の農家を訪問し、あえなく撃沈。
    その後、「あぐもぐ」という農業法人の社長と出会い、何故か彼の元で農業を学ぶことになる。
    ・・・というのが大体のストーリー。

    半分くらいは一応ちゃんと読んでいましたが、その後全く内容が頭に入らなくなった。
    個人的にはちっとも面白いと思わないし、心に響くものもない。
    何故って、それは農業や農家の実体とか空気感が全くこの本からは感じ取れなかったから。
    ものすごく農業について、農家について、今の時代に置ける農業の存在についてを勉強していると思う。
    でもそれは頭で展開しているだけのことで、物語には実感が伴ってない。
    まるで都会の人が農業について勉強して表面的に描いたという印象を拭えなかった。
    それにこの頃、他の小説にもよく見られるけど、この話の中でも東北大震災のエピソードが盛り込まれており、それがこの話に本当に必要なのか?と感じた。
    そういった誰もが惹きつけられるものを盛り込まずにもっと農業に切り込んで欲しかった。
    それでないなら、もっと表面的なものに終始してそういう小説なんだ・・・と軽く読ませて欲しかった。

    主人公の梢恵は物語の中では、可愛いがあまり魅力がない、はっきりしない性格として最初登場する。
    そんな彼女に社長はいきなり一人で長野に行けと言う。
    大事なプロジェクトをOL一人に任せる・・・本来ならそんな事はないでしょう。
    そこに社長の意図を感じた。

    この本で唯一好感をもてたのは主人公の性格。
    はっきりしない性格でぐずぐずしながらも素直に「行け」と言われたら行く。「やれ」と言われたらやる。
    とても素直な女性だと思う。
    また、長野に行く前にちっとも農業について勉強してない所など、結構大胆な性格だとも思う。
    東北大震災の寄付の様子は見ていていじらしいし、イイ子だと思う。

    この作者の残酷シーンのない本は初めて読みましたが、私には面白いと思えず描写が浅いと感じました。

  • 主人公を取り巻く人たちがみんないい。
    簡単な事務職しかしたことがなく、なにかと言うと「ひっどーい」と言っていたダメダメな主人公が、過酷な条件な仕事をきっかけに成長していく。
    いきなり、農業への華麗な転身。
    こんなに軽々と気持ちを切り替えられるのかな?とちょっと気になるが、周りの人達がいいから、まあそれもありかな?と。

  • 君江みたいな人が近くにいたら、何でも相談できそう。
    酒税法のくだりは思わず笑ってしまった。

    しかし梢恵と同い年とは。片山の言葉が身に沁みる。

  • 誉田哲也さんはじめて読みました。ストロベリーナイトの雰囲気は全くないですね。読みやすかった!!
    誰でもできる仕事って思いながら働く人たくさんいると思う。
    嫌なことも受け入れていくことで人生の方向が変わるかもしれないなー。
    誰かに必要とされることじゃなくて、自分には何が必要か
    見極めることが一番大切なことっていうところがかなり心に響いた。
    震災のことも書かれていて、みんなの葛藤もわかった。
    “食”を見直すと自分が浄化されるんだろうな。
    ほかほかの新米私も食べたくなりました。
    他の作品も読んでみよう。

  • 「武士道シックスティーン」の作者。
    今回は農業をテーマに仕事と生き方について描いている。

    主人公は実験用ガラスメーカーに勤める若い女性です。
    社長がバイオエタノール精製のための器具を開発し、
    そのための米を作付けしてくれる農家を探しに長野へ長期出張。

    仕事に燃えるタイプではない主人公が
    東日本大震災や農業の体験を通じて
    仕事や農業や生き方について学びます。

    農業を描いているけれど堅苦しいところがなく、
    明るくて楽しいお話しでした。

    仕事を通じて「必要とされている」ということについて、
    片山社長が語るところが勉強になっちゃいました。

    重要なのは、周りから必要とされていることがいいのではないんです。
    それだったら代わりは誰でもできますよね。

    当人がその仕事にやりがいと生き方をはっきりと持てることが
    大切なんです。
    そんなふうに「自分のやるべきこと」が見つかれば、
    「必要とされる」という受け身ではなく、
    本当にやりがいのある働き方ができるんです。

    ホロリだったのは
    主人公梢恵ちゃんと地元のおじいさん文吉さんがメール交換するところ。
    相手の役に立ちたいと思う気持ちって、ちゃんと通じるのですね。

    とても良いお話しでした。

  • 今まで読んだ誉田哲也の作品とはまったく異なる物。こんな作品も書くんだ・・・というちょっとした驚きもあった。
    震災から発生した原発事故。そこからエネルギー問題と農業の関係。
    いろいろ勉強になることも多かった。今ちょうど総選挙前でもあってタイムリーな内容でもあった。
    梢恵は農家での修行を始めて、過去の自分との変心ぶりがけっこう早くてその後の挫折みたいなのもほとんどなかったのが、うまく行きすぎのような気もした。それは『あぐもぐ』の人たちの人柄のおかげってことなのかな・・・

  • 農業ものって初めて読んだと思います。
    農業ってどうしてもおじいちゃんおばあちゃんが腰を曲げながら一生懸命畑を耕してる様なイメージがあるけど、ビジネスとして捉えたそれは全くの別物でした。
    考えてみたら当たり前なのですが、あれだけ広い田んぼや畑ですから効率化や合理化を追求するのは当然ですよね。

    3.11の東日本大震災、放射能問題が上手く取り入れられてて、物語がよりリアルに感じられました。

    何かって言うとすぐ「ひどぉーい」って文句を言っていた主人公の梢恵。
    その被害者面に最初はイラつきましたが、成長して行く姿がとてもよかったです。
    ラストの梢恵と社長の会話にもぐっと来ました。

    自分にとって何が必要か?
    読了後、自問自答せずにはいられません。

  • 東京の会社でなんとなく働く女の子がバイオエタノール用のお米を作る農家を探しに行った長野で農家の手伝いをすることになる…というお仕事小説です。震災、放射能汚染、無農薬、エネルギー問題、日本の食料自給率、田舎暮らしがわかりやすくさらっと語られて、時に心が温まるよい長編小説でした。

  • へたれOLが農業に出会ってハマるまで。
    確かに新境地?でもやっぱ誉田さんは姫川シリーズが一番!!
    誰かに必要とされるんじゃなくて、自分が何を必要とするのか・・・という言葉は心に残った。

  • よい! よい!! よーい!!!
    どんなお話か
    簡単に言うと 農業ってすごい!!ってお話

    誉田哲也氏の作品に登場する人物はとっても個性的でいいですよねー
    この作品の登場人物もものすっごくいい!!

    農業のお話だっていうことを上記に述べましたが
    次世代エネルギーの問題であったり
    日本の食料自給率であったり
    家族の在り方であったり
    人生のやりがいだったり
    そして、このお話は2011年が舞台になっていて
    もちろん『東日本大震災』にも触れています
    それをぜんぶひっくるめて農業って尊い仕事なんだ!!ってことになる訳です

    ユーモアもホロリもあり深刻な問題定義も・・でおいしそうな野菜の数々!!
    http://momokeita.blog.fc2.com/blog-entry-195.htmlより

  • 「大切なのは、誰かに必要とされることじゃなく、自分の必要なのは何か、自分自身で見極めること・・・」 誉田さんって、いろいろ書くんだなぁ。農業とか、バイオエタノールだなんて、びっくり。・・・それにしても、いろんな作家さんが震災のことを書いてるな。忘れちゃいけないのに、忘れかけてて、思いがけない形で思い出させられて、本読みでよかったなって思うけど、今でもブアッと映像や写真で見た光景が押し寄せてきて、一瞬ページをめくる手が止まってしまう。でも、辛くても、泣きながらでも、読む。その先には希望や勇気や救いがあると信じながら。

  • 広告などで『ストロベリーナイトの誉田哲也の新境地!!』とぶち上げられていたが
    いろんな意味で煽り文句に偽りなし、な印象だった。

    先ずは主人公の梢恵ちゃんのキャラ造形。
    ぽーっとしていてヘタレで素直で、今までの誉田作品にはいないタイプ。
    (強いて言うなら武士道シリーズの早苗ちゃんがいちばん近いかな)
    若い男子はなんだかなーってのが多かった。特に彼氏は何だありゃって感じ。
    その代わりっちゃー難だが、30代以上のそこそこ年齢行った人たちが素敵だった。
    特に、片山社長とか、茂樹さんとか、
    オヤジ特有の理不尽(失礼)を突き通しながらも最終的には正論を吐く
    パッと見横暴なオヤジたちがカッコよかったのには吃驚だった。

    バイオエタノールとか、まやかしの食料自給率とか、農業用語の解説とか、
    目から鱗が落ちるテーマが多くてその辺も楽しめた。
    個別で見るとすっごいたくさんテーマが詰め込まれてるんだけど
    それが散漫にならなくて農業という根幹に集約されてくるのがぞくぞくした。
    ラストはオチが着いたんだか着いてないんだかちょっと曖昧でそこがよかった。
    未来を感じることができて。
    梢恵ちゃんにはもう1年コメ作りをしてもらって、その結果をまた読みたいな、と思う。

    それにしてもこの本といい、『空飛ぶ広報室』といい、
    1年経ってそろそろ震災絡みの小説が文芸書として出揃ってきた気がする。
    片山社長が梢恵ちゃんに「お前はもう要らないんだよ」と言ったところと
    梢恵ちゃんが長野から帰ってきて震災に遭遇しちゃったところは
    電車の中で(`・ω・´)←こんな顔になりながら読んでた(笑)。
    …震災関係の話題はまだ胸に刺さるなぁ。

  • バイオエタノールから農家修行、3.11からさらに農業、そして最後にバイオエタノール。

    姫川シリーズとは完全に別路線。武士道シリーズともちょっと作風が違うような… 誉田哲也の新境地か?

    • hs19501112さん
      誉田哲也の新境地?
      ・・・つい先日、書店の店頭で存在を知り、気になるなぁと思っていた一冊。

      文庫化されてから読むか、待ちきれずに単行...
      誉田哲也の新境地?
      ・・・つい先日、書店の店頭で存在を知り、気になるなぁと思っていた一冊。

      文庫化されてから読むか、待ちきれずに単行本で買ってしまうか・・・迷い中です。

      ※自本棚へのフォロー、ありがとうございました。こちらも、フォローさせていただきますのよで、よろしくです。

      誉田さん、大好きです(笑)。
      2012/12/25
  • 警察小説で有名な誉田さんではありますが、
    武士道シリーズなども書かれているだけに、
    主人公のごく普通の若ぃ女性や同僚たちが、
    とても素直で、ステキに描かれていました。
    特に、ト書きに書かれた主人公の胸の内は、
    とてもキュートでしたね。

    ふつぅのお仕事小説も、
    農業やエネルギーといった題材も、
    誉田さんにとっては、恐らくはじめての素材で、
    そぅいった意味では、本作品は、
    チャレンジングな作品だったのでは、と思いますが、
    とてもうまくまとまっていて、よぃ作品でした。

    一般的な経済小説(家)であれば、
    海外の大規模農業やエネルギービジネスを核に、
    エリート商社マンや投資家による魑魅魍魎とした
    ビッグビジネスの世界を描きそぅなところでそぅが、
    本作品は、最近の農業法人(農業の株式会社化)を核に、
    日本国内での課題を、さりげなく浮き彫りにしています。

    農業と震災(放射能問題)、農業とバイオエタノールと、
    課題とされるところは、常に明確ですし、
    けっこう勉強になる情報も出てきますが、
    基本的には、都会に暮らすごく普通の若ぃ女性が、
    社命で農業と出会ぅことから始まる成長ストーリーです。
    なので、軽ぃ気持ちでどぅぞ。楽しく読めると思います。

  • うーーーーん

    誉田さんの作品が好きだから、筋書き見た時どうかなぁと思いつつ購入したけど、やっぱり微妙だった

    主人公の梢恵がとにかく好きになれなかった

    人任せ人のせい何事にも無関心無気力な性格が農業とそれに携わる人たちと関わる事で変化していくってゆうのはわかりやすい話なのだけど、スタート地点の仕事に対する姿勢や人に対する考え方があまりに気に入らなくて腹が立ってしまい、変化していくと言っても現実的な設定にしているのか、基本的に人に委ねている部分がさほど大きく変わってもいないように感じた。
    最後結局あぐもぐに行ったのも居心地が良い場所を選んだだけやん。
    どうせなら片山製作所に戻って自分のすべきことを自分で見つけて欲しかった。

    何も分からないなりにがむしゃらに頑張って走り回るほどのガッツもないし。

    片山社長もあぐもぐの秀樹もかっこよくていい人だった

    そんな人たちに優しくされる梢恵にどんな魅力があるのだろうかよく分からない

  • 序盤からもう読みやすくて、良い意味で軽い文章でのめり込まれた。
    農業の手伝いの経験があるので内容は勿論スッと入って来たし、未経験でもイメージしやすい文章。
    主人公の梢恵の機微どころじゃなく、心がガッツリ変化していく過程がなんとも爽快で尚且つ心温まる。
    農業と震災と食料自給率等のテーマをうまく盛り込みながら生きる根本まで考えさせる良い作品。

  • 誉田哲也はこんな物語も書くんだ

    自分にとっては、日頃の関心事であり日常に近いストーリーなので、読みやすかった。
    片山製作所が実際にあればいいな、でもやっぱり難しいかな、経営が

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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