スカル・ブレーカ - The Skull Breaker

著者 :
  • 中央公論新社
4.14
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044939

作品紹介・あらすじ

誰より強くあっても、すべてを知っていても、死ねば消えてしまう。それなのに、何故求めるのか。そう…。立ち向かおう。いつも、命を懸けて、ただ剣を振れば良い。生きているから、恐くなる。しかし、剣を持てば、もはや生きた心地は消える。だから、恐くない。

感想・レビュー・書評

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  • ある城下町で侍のけんかに不本意ながら巻き込まれ、城に幽閉されてしまうゼン。そこで初めて侍を束ねる主君の存在を認識する。侍とは主君に忠誠を尽くすのが仕事。初めてゼンは侍の本質と向き合うことになる。

    そしてゼンの出生の秘密が分かるのが本書。まさか本当に将軍家の血筋だったとは。1巻でちょっと良いとこのご子息だということは少しほのめかされたが、実際に現将軍の母親が実の母親とはね。ゼンが本当の母親と会うことができたということでゼンの生き様は変わっていくのだろうか。

    毎巻でヒロインが変わっていくのが『ヴォイド・シェイパ』シリーズ。ヒロインとゼンとの絡みをにやにやしながら読むのが『ヴォイド・シェイパ』シリーズの愉しみ方の一つなんだけど、本作では、誰がヒロインになるのかと思っていたら、一巻から毎回登場している三味線弾きのノギさんがランクアップしましたね(笑)。ノギさん、ゼンよりもかなり年上っぽいけど良いんじゃないでしょうか。
    最後のシーンでノギさんにさりげなく独楽をプレゼントしてあげるゼンのかっこよさ。これは年上の女性の心理からしたらたまらないでしょうね。まあ、ゼンは異性のことなんかなんと思っていないんでしょうけど、こういった彼の心理も人と触れあうことで変わっていくのかな。

    『ヴォイド・シェイパ』シリーズ。さくさく読めるし、文章はきれいだし、話は面白いし、キャラ達もすばらしい。残り2作品を読んでしまうのがもったいない気がするね。

  • 「鉄砲とやり合うときは、どうするんだ?」
    「逃げます」
    「え?」

    シュールで笑える。
    剣の道は、人それぞれらしい。
    装丁が綺麗すぎて感動した。

  • 誰より強くあっても、すべてを知っていても、死ねば消えてしまう。それなのに、何故求めるのか。そう…。立ち向かおう。いつも、命を懸けて、ただ剣を振れば良い。生きているから、恐くなる。しかし、剣を持てば、もはや生きた心地は消える。だから、恐くない。
    「BOOKデータベース」より

    ゼンという主人公にはどこか惹かれるところがある.強くなりたいと思いひたむきにそれを求めるところ、自分の認めるところの人には素直に教えを請うことができるところ、先入観をもたないように心がけているところ.どれも、自分も以前はもっていたように思うものだけれど、今は自信をもってもっているとは言えないものばかり.
    お侍の剣の話なので、他のシリーズより多くの人が亡くなるけれど、どのシリーズよりも人間の芯の柔らかいところを扱っている話である気がする.

  • 剣豪シリーズの3作目。
    展開というか、ゼンの正体というか出生の秘密は、何度も示唆されていたことではあるけれど、思っていた通りで、やはりな! と。
    しかしそこに至る過程や登場人物が魅力的だし、削ぎ落とされた文章もこの作品世界にはぴったり。
    今作では、ヤナギとの邂逅、旅館での不幸な出来事とその際の対処の仕方と気持のやり場、子供への対応や真摯な説明など、ゼンが成長していく様が描かれているのだろうが、旅館での出来事は読んでいる方もスッキリしないモヤモヤを抱えることに。
    それがゼンと読者の思いをリンクさせることにもなっているのかな?

    「ヴォイド・シェイパ」から始まる森博嗣の剣豪シリーズはてっきり3部作だと思い込んでいたけど、どうやらまだ続きそう。
    作品世界をまだ楽しめるのはとても贅沢な時間だ。

    物語最後のノギとのやりとり。
    自分を想ってくれる人、生きていて欲しいと願ってくれる人、そんな人がいて、そしてその人が側にいてくれる。
    きっとそれはとても素敵なことで、どうしようもない奇跡なのだろう。

  • 相変わらず装丁が美しい小説です。惚れ惚れ。
    山を降りたばかりのゼンと今のゼンを比べると、ゼンがいい意味で人間くさくなっていて、ゼンという人間が少しずつ形作られているようで面白かったです。
    そして、ゼンの何も知らないからこそ生まれる少しズレた感覚や会話は相変わらず微笑ましかったです(にこにこ)。

  • 森さんの新刊を読めるという喜び!待てるという喜び!

    たぶん、この手のテーマは失敗するとすごくくどくなってしまうと思うのだけど、森さんの文章だとフラットな気持ちで読める。

    このシリーズは、とても真摯に知的好奇心の原点が表現されているように感じる。

    それにしても、カバーが本当に美しい。

  • 主人公ゼンがこれぞ天然、無垢な剣豪でとても魅力的。 シリーズ3作目。
    孤独があたりまえの山での生活から人里にでてきて考えながら順応していく。考えて実践するゼン。思考と実践。評価と再試。経験の蓄積。コミュ障改善の手引き書として読めるぐらいに、ゼンの気持ちと思考を語ってくれている。剣術の道を極める物語に素性の謎と旅での出会いがからまる。ところどころにくすっと笑えるゼンの言動もある。全編に流れる緊張感と静けさはゼンの視点だからか。戦いの場面でもどこかに静があるような。ただものじゃないチャンバラストーリー。大好き

  • 2013/5/3読了。

    主人公の生い立ちに関する秘密の一部が明らかになるが、このシリーズの中では、本作の位置付けはつなぎの一冊であると感じられた。持って生まれた才と、努力に関する考察が印象深い。

  • シリーズ3作目
    ますます面白くなってきた。
    ゼンの吸収力が半端ないな。
    作者は理系の教授だけあって、思考も論理的だなと感じる。そこが好き。

  • このシリーズでは一番好み。
    どれも嫌いではでないけれど、初めて面白いと思いながら読んだかもしれない。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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