ジョディ、傷つけられた子 - 里親キャシー・グラスの手記

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制作 : 塩川 亜咲子 
  • 中央公論新社 (2013年11月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045325

ジョディ、傷つけられた子 - 里親キャシー・グラスの手記の感想・レビュー・書評

  • 事情があって実の両親の養育を受けられない子供たちを家庭で預かる里親歴25年のベテランの著者の手記。
    重い内容ではあったが、著者の語り口に引き込まれほぼ一気読み。

    本作で取り上げられたジョディは8歳の女の子。両親の虐待が発覚して里親へ預けられることになり、4か月で4か所の里親先を転々として、著者のところへやってきた。そしてそこで、ジョディは性的虐待を受けていたことがはっきりする。

    ここで語られるすべてが、実は何もかも作り話でしたと言ってくれたら、どんなによかったか。
    それほど、ジョディの受けた虐待は想像を絶する惨たらしさだ。こんな小さくて無力な、絶対的な保護を必要とする幼い子に、ここまで酷いことができる大人がこの世に存在するなんて。しかもそれを率先して行っていたのが実の両親であるというのだから、あまりにも酷い。
    あまりに、ジョディが不憫でならない。

    著者の並々ならぬ努力によって少しの回復はみられた少女であったが、結局人格崩壊の寸前まで行き着いてしまう。精神的トラウマだけでなく、肉体的にも脳に虐待による損傷が見つかり、学習困難はそれにも原因があるとみられている。著者が言うには、彼女が曲がりなりにも普通に暮らし普通に生きていくことは、おそらく今後も望めないだろう、と。
    人生の根幹は幼少期の人間関係から形作られる。虐待者はそれを彼女から奪い取ってしまった。彼女の人生をめちゃくちゃにしたのだ。
    ジョディのこれからを思うと、本当に切なくなる。

    著者へ宛てたジョディの手紙がせめてもの救い。
    ほんの少しでもいい、彼女が人の温かさ、本物の愛情、幸せを感じられるようになってくれたら。
    彼女の幸せを心から願う。

  • 想像を絶する虐待の傷跡、献身的な里親やスタッフと投げやりな行政のケースワーカーの対比、やりきれない思いのキャシーの叫びが綴られている。

  • 図書館で「虐待」をキーワードで検索して出てきたもの。文学の棚にあったけどノンフィクションなので借りてきた。
    教師と里親の違いはあれど、中学生の時に夢中になって読んだトリイ・ヘイデンの「シーラという子」(なんて懐かしい)を彷彿とさせる本で、数時間で読みきってしまった。
    ただ、本の中で時間が進むのが遅いので気付いてはいたが、シーラ程まとまった物語にはなっていなかった。トリイがシーラに最初に関わった年月は覚えていないが、数年はあったような気がする。キャシーとジョディの里親子は1年足らずの時間しか過ごせなかったので、しょうがない。「まとまっていない」「しょうがない」どちらもジョディの生育環境に所以する、ジョディをジョディたらしめているものを表現する言葉とオーバーラップして得も言われぬ、苦々しい味が口の奥からしてくる。
    イギリスの里親制度、ソーシャルサービス制度のことが少しわかるのは日本やアメリカとの比較の意味でもいいけれど、ずさんな業務態度・実績でやる気のないソーシャルワーカーへの言及が、目にしていて少し痛い。ソーシャルワーカーの態度はたしかにひどいし、福祉制度で行き届いていない部分が多すぎて、そのしわ寄せを全部被虐待児が受けている。その不公平さはよくわかるだけに。すごく個人的な意見だと思うし、私も実際どの地域の専門家にも虐待が起こらないよう、止めるよう、子供を救い出すように仕事をしてほしいことは変わらないので、自分でこう思う気持ちがよくわからなくもある。

  • ただ里親になるということですら大変なのに、大きな問題を抱えたジョディを根気強く愛し続けるキャシー。子供達の協力的な姿勢も感動的だった。

  • 普段、戦争やら殺人やら陰惨な事件の本を多く読む私。
    慣れもあって読後感を引きずることはあまりないのだけれど、この本は読んだ後しばらく陰鬱な気分にさせられました。
    もちろん現実世界での児童ポルノは撲滅されなければなりませんが、こういう動画や写真を提供する親が存在しているというどうしようもない事実。
    人はどこまで自分の欲望のために他者(それも全くの他人ではなく我が子)に対する哀れみや憐憫を無くせるのか。
    最後、里親キャシーの元から離れ施設で暮らすことになるデョディ。里親の限界も、ソーシャルワーカーの無能も率直に描かれている所に好感が持てました。

  • 副題の通り、長年里親を経験してきたキャシー・グラスの手記です。
    4か月という短期間で5つの里親を転々としてきた8歳の少女ジョディ。
    悪魔が取り憑いたかのように粗野で暴力的で人間性のないジョディですが、ある行動からキャシーはジョディが受けてきた性的虐待に気が付きます。
    吐き気がする真実でした。それを身に受けてきたジョディが哀れでなりません。キャシー同様、自分が大人であることすら嫌悪したくなりました。
    ジョディは精神的にめちゃくちゃに壊されただけでなく、身体的にも脳に障害を負っていました。
    フィクションだと思いたいですが、ジョディと同じような虐待を受けた子どもも大勢いるんでしょうね…。
    読んでいて苦しくなる作品でしたが、最後はジョディにも変化がみられ、それが唯一の救いでした。

    訳者あとがきにありましたが、著者キャシー・グラス(仮名)は他にも里子の手記を出版していて、いずれもサンデー・タイムズ誌のノンフィクション部門でベストセラー入りしているそうです。
    本書に出てきたルーシーの生い立ちも気になるところ。


    ●合わせて読みたい本●
    デイヴ・ペルザー 『“It”と呼ばれた子』

  • 「問題児と里親 格闘の記録」評:岡崎武志=書評家(北海道新聞)
    http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/20140112/3.html

    中央公論社のPR
    「異様な行動の数々で、里親歴20余年のキャシーを圧倒する8歳のジョディ。徐々に明らかになるその凄惨な過去――読む者の心をつかんで放さない英国超人気作、待望の邦訳。献身と苦悩と希望の物語。」

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ジョディ、傷つけられた子 - 里親キャシー・グラスの手記の作品紹介

彼女はめちゃめちゃに壊された-未曽有の虐待を受けた8歳女児とベテラン里親…苦悩と希望の物語。

ジョディ、傷つけられた子 - 里親キャシー・グラスの手記はこんな本です

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