北条早雲 - 青雲飛翔篇

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045677

作品紹介・あらすじ

伊勢新九郎(後の北条早雲)は、叔父との養子縁組のため備中荏原郷から都へ向かう。そこで見た極楽と地獄が同居しているような光景に、「都には魔物が棲んでいる」と恐れる新九郎。室町幕府の役人となり、ある役目を果たすため向かった駿河では、名将・太田道灌と出会う。「戦を好まぬ」という生ける伝説の姿を知り、新九郎は己の生き方を悟る-。北条早雲の知られざる前半生がここに!

感想・レビュー・書評

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  • 後に伊豆と相模を奪い取る、北条早雲こと伊勢新九郎。
    その人生を描く、シリーズ第1作。

    新九郎31歳まで。

    漠然と、もともと伊豆近辺の出身で成り上がっていった、と思っていたら、全然違った。

    育ちは備中だし、京にいて室町幕府の役人だったことも。
    意外な経歴。

    自分の感情を、怒りを、ただぶつけるだけだった少年が、我慢を覚え、書物からさまざまなことを学んでいく。
    新九郎の成長ぶりが、さわやか。

    身分や立場にかかわらず、人を大事にできるからこそ、多くの者たちに慕われていく。
    新九郎のまっすぐな人柄も、魅力的。

    家族思いの新九郎がどう決断し、この先の道を歩んでいくのか、続きが楽しみ。

  • 富樫さんの軍配者シリーズにある、早雲の若き頃の話。
    『北条早雲 青雲飛翔篇』です。

    軍配者シリーズの3冊が秀逸だったので、これもなかり期待していましたが、“期待以上でした!”

     時代劇の王道である、信長、秀吉、家康の時代から少し前が時代背景。 応仁の乱の数年後になります。

     正直、史実(歴史)は良く知りません。物語と史実の相違点についても、全く分かりません。
     ただし、物語として本当に面白い!読みながらドキドキします。
     その地域の勢力の説明などが、端々に挟まれています。本当はその当りもじっくり読んで、内容を把握して進むべきなのでしょうが、物語の先が知りたくてスルーしたり・・・
     私的には、2回読む必要があります。(笑)

     この時代の都の描写には驚きました。本当なのだろうか?何らかの記録から描写されているのでしょうが、ここまでとは。日本にも、こう言う時代があったことを再認識させられます。

     読み進めて後半、物語の進捗と残りページから、着地点がどうなるのか心配になりましたが、やっぱり!!

    続編『北条早雲 悪人覚醒篇」が2015年に刊行予定だそうです。マジか?

    続きは来年まで、おあづけです・・・

  • 早雲の軍配師では、小太郎の支障として脇役の早雲を主役とした作品であり、軍配師においても描かれた、戦国時代の下克上の先駆けの一人となりながらも領民に慕われた領主の成り立つを描く物語であり、長編連作としてシリーズ化される作品の序章。本作ではそもそもの生い立ちとして、善良たろうとする主人公が、悪人となると占われ、何故、国取りにまで至るのかという、そもそもの背景を描く。山の民との関係とか、後々の風魔忍軍の先駆け的な脇役と、一蓮托生的な濃厚な兄弟仲間、妻との関係を配し、姉との関係で何故、伊豆小田原なのかというところまででエピローグではあるが、ここからどう国取りに至るのか次回作が待たれる。

  • 伊豆をとり、戦国の火蓋を切った北条早雲の物語。戦国三悪人の一人に数えられながら、家族を大切にし、領地の民を慈しみ、人との繋がりを大切にし、約束を守る男だった

    1:備中荏原郷
     名を鶴千代丸という。真っ直ぐなガキ大将であった少年時代。義母と長兄とは相容れず、姉が大好きで、弟や村の悪ガキたちと走り回る毎日。ある日、姉が村の娘たちと一緒にかどかわされる。

    2:上洛
     元服し新九郞と名を変える。寺で『太平記』や『義経記』、漢典を読む日々。京の叔父の養子になる話が持ち上がる。極楽のような町と思っていた京で見た死が蔓延る横で遊興にふける支配者階級のものたちという地獄。

    3:伽耶
     『源氏物語』の末摘花が結んだ縁で伽耶と結婚する。仲睦まじく長男・鶴千代丸を得たが…。
     宝物のような日々から永遠にそれらを失った絶望の日々。

    4:駿河
     土倉から米を奪い炊き出しを行っていたが、そのことが明るみになり、京都では命を狙われるようになる。姉・保子の夫が戦死し、六歳の甥と親族との家督争いで窮地にたつ。新九郞は弟と友人たちとともに駿河に向かう。


    〇軍配者シリーズが好きだった。やはりこの物語も面白い!一気に読みたいんだけど

  • 伊勢新九郎(後の北条早雲)の幼少時代から志を立てるところまでが描かれている。太平記から軍略を学び盗賊に誘拐された姉を救い出す話では新九郎の大将としての器の片鱗が、叔父との養子縁組のため備中荏原郷から都へ向かった際に街に溢れる貧民たちに何ができるか考える様子からは民への優しさが、将来の北条早雲に繋がることが想像できる。

  • 伊勢新九郎が上洛し、伊勢貞道の養子となる。その後、伊勢新九郎が今川義忠に嫁いだ姉のもと、駿河へ下り、調停を行い、龍王丸が成人するまで範満を家督代行とすることで決着。
    今川氏の家督争いが収まると京都へ戻り、9代将軍義尚に仕えて奉公衆となる。
    伊勢新九郎は、小笠原政清の娘、真砂と再婚。
    ここまでの展開。
    伊勢新九郎が、乱世で、その考え、生き様が変わっていく様が非常に良く表現されていた。
    惹きつけられますね。

  • 面白い〜!!
    初富樫倫太郎さん&北条早雲でしたが、
    当時の時代背景の描写もわかりやすく、読みやすい歴史小説です。
    とてもワクワクする…!
    このシリーズ、一気に読めちゃいそうです。

  • 待ってました北条早雲,子供時代から流石の人物.面白い.

  • 歴史小説好きだが、早雲の話は読んだこと無いな。と読んでみる。
    「日本史では、北条早雲が伊豆を奪ったことにより戦国時代が始まったと教えられる」とまで言われていたとは、応仁の乱最中の時代背景と共に主人公の幼少の頃からの話。ストーリーも勢いがあって面白い、この続きだけじゃなく、富樫氏の他の作品も読みたくなる。

    【応仁の乱】
    応仁の乱1467年に発生し、約11年間にわたって継続した内乱。室町幕府管領家の畠山氏、斯波氏の家督争いから、細川勝元と山名宗全の勢力争いに発展し、室町幕府8代将軍足利義政の継嗣争いも加わって、ほぼ全国に争いが拡大した。戦国時代移行の原因とされる。十数年に亘る戦乱は和睦の結果、西軍が解体され収束したが、主要な戦場となった京都全域が壊滅的な被害を受けて荒廃した。

  • 大変おもしろくて一気に読んでしまった。次巻も楽しみ。太田道灌とか今川氏親とか実際はどんな人だったのか調べたくなった。なお難点として、仕方のないことなのだけど、室町時代の人の名前は同じようなのが多くて把握しにくい。

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著者プロフィール

1961年北海道生まれ。98年に『修羅の跫』で第4回歴史群像大賞を受賞しデビュー。以降、時代小説や警察小説を中心に活躍。本書はドラマ化もされた「生活安全課0係」シリーズの主人公・小早川冬彦が、警視庁本庁から日本各地へ活躍の場を広げていくシリーズ第2弾。著書に「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」「スカーフェイス」「警視庁SM班」などのシリーズ他多数。

「2023年 『スカイフライヤーズ 警視庁ゼロ係 小早川冬彦Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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