人生相談劇場

  • 中央公論新社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045851

作品紹介・あらすじ

アウトロー街道を突っ走る二人が、皆さまのお悩みを承ります。クスリか毒か?「答えが出ない」型破りな人生相談!

感想・レビュー・書評

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  • うーん、山田詠美さんは相変わらずかっこいい。とても自分と同い年だとは思えません。ずっと「エイミー」のまま。ずいぶん古い話だけれど、「アタシの昔の男が捕まったからってガタガタ騒がないでよ」という啖呵は忘れられない。芥川賞の選評なんかでも、胸のすく思いを何度かした。

    その山田詠美さんが、長年仲良しだという「塀の中の懲りない人」安部讓二さんと二人で、人生相談に答えるという企画。とは言っても、中味はほとんどお二人のおしゃべりで、あんまり回答にはなってないけど、まあ面白いからよし、というところか。

    最後のほうなんか、ちょっと安部さん!人の相談に答えてる場合じゃないでしょ!アナタの人生の方がピンチですから~、って感じになってるのが、もう何とも言えない。エイミーもほぼ本気で怒っていたようだけれど、安部さんったら七回だったか結婚離婚を繰り返したあげく、今の奥さんと出会って二十年以上連れ添ってるのに、メールをくれたファンに惚れちゃうのだ。このファンってのがまた、女の人なら百人中九十九人が「あ~、その女はダメ!」と言うであろう身勝手な感じの人なんだよねえ。なんで男性はこういう人に弱いんだろう?なんでその小狡さがわからない?謎だ…。

    とまあ、本筋の人生相談以外のところでハラハラするわけだけれど、それよりも!山田詠美さんが対談中に「今日プロポーズされたの-」と実にうれしそうに報告し、その後結婚し、そのラブラブ(古い…。でもまさにこれ以外言いようがないのよ)な新婚生活の様子をあれこれノロケてるのに、ほんとにびっくりした。そうかあ、表紙とかの写真で「あれ?なんだかエイミーふっくらして、表情もほんわかしてる」って思ったのは「二人でいっぱいご飯食べてたら太っちゃった」結果であったのか。「インテリヤクザみたい」だったという「ヒロちゃん」も十キロ太ったんだって。「二人でソファに並んで座って歯磨きするの。『歯磨き兄弟』って呼んでるんだよ」だそうな。もうなんとでも呼びなはれ。

    これまでのエイミーのイメージは、「都会で、豊かに育ち、勉強もできる子が、とんがった不良になり、書くことと出会って、あふれるエネルギーを小説の形にしている」というものだった。写真で見るまなざしは鋭くて、底の知れない欠落感を抱えているように見えた。この後作品にも変化はあるのだろうか。

    (ふと思いついたが、田舎で、ビンボーで、「お勉強」が嫌いで、不良になったのが西原理恵子さんだ。対極だ。どっちも頭はいいけど)

  •  月刊『婦人公論』に連載された対談の単行本化。タイトルのとおり、読者からの人生相談に両著者が対談形式で答える体裁をとっている。
     ただし、話しているうちに相談とは関係ない内容になってしまう回が多い(笑)。

     安部譲二は、小説家としては半引退状態らしい。本書でも、「(小説が)書けなくなった」「小説の依頼がない」とくり返し発言している。
     小説家としての力量については措くとしても、人生経験が豊富な人だけに、人生相談への答え方は含蓄があって面白い。

     20数年前、私が生まれて初めて書いた雑誌コラムは、「雑誌の人生相談読み比べ」というテーマであった。さまざまな雑誌に当時連載されていた人生相談を読み比べて、ベスト3を選ぶというネタである。
     そのとき、安部が当時『週刊ポスト』に連載していた「人生問答」を第2位に選んだことを思い出した。

     本書においても、安部、山田ともに、思わずメモしたくなるようないい言葉をたくさんくり出している。
     たとえば、45歳主婦の、勤め先の一回り若い男性との恋を「進むべきか、あきらめるべきか」という相談に対する答えの一節――。

    《安部 だからね、恋っていうものは「恋」って言うから美しいんで……。女は知らないけれど、男はそれを性欲だと思うと身も蓋もないよな。
    山田 私も、発情することが感情と一緒になったときに恋と呼ぶんだと思ってますよ。だから、初恋は一番最初の発情期で、純愛って一番よこしまな発情の形態だと思ってる。》

     私生活でも仲のいい友人だという2人は、対談でも終始息が合っている。それでいて、山田が安部を本気で叱りつける一幕もあるなど、内輪の「なあなあ」に終わっていないところもよい。

  • ●チエさんのおすすめコメント●
    著者の二人が、くだらない会話をしながら真剣に相談について考えていきます。
    武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000124908

  • こんなに話が飛びますか、と思いつつ
    読み終わったらなんだか気が楽になりました。

    見えないだけで、みんな抱えてるものですよね。

    しかし、お二人だからか性の話が多かったな笑

  • ★★1/2かなあ。
    これってTVだったなら2人のニュアンスが
    伝わってきたんだろうけど、活字だと
    ちょっときついかも。

  • うーん。
    そうか、なるほどって思うような答えはない。

    お二人の雑談を聞いている感じかな。

  • 山田詠美x安部譲二「人生相談劇場」読んだ http://www.chuko.co.jp/tanko/2014/01/004585.html … 山田詠美のモラリストっぷりここでも発揮されている。悩み相談自体はどうでもいい内容ばかり。世の中の人はただ悩むのが本当に好きなんだなあ。安部譲二の浮気相談が一番おもしろかった。奥さんすごい

  • 914.6
    婦人公論連載お悩み相談
    政治家になりたい妻、熟年離婚希望、義兄弟と結婚したい…
    歳を重ねたからこそ答えられることもある

  • 婦人誌の対談の書籍化。読者から寄せられた悩みに答えるという態だけど、そこはあまり(というかほとんど)関係なく、これはもうお二方の劇場。それにしても(悪い意味ではなく)お二人ともなんと年を取ったものか。8回目?9回目?となる婚姻を20数年続け、70代も後半となる安部さんはともかく、"あの"山田詠美さんが、と非常に感慨深い。とても幸せそうで、何の文句もありませんが。それにしても、最後の安部さんの恋愛騒動は本当だったのでしょうか。

  • 詠美さん、私よりずっと年上なのですが、可愛らしい人だなぁと思います。
    安部さんは色々な意味で元気ですね(笑)。
    寝る前に少しずつ読みました。

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著者プロフィール

安部譲二

一九三七年東京生まれ。麻布中学在学中に安藤組に入る。日本航空のパーサー、クラブ経営、ノミ屋などさまざまな職に就く。一九八六年、刑務所での体験を綴った『塀の中の懲りない面々』で作家デビュー、ベストセラーとなる。『絶滅危惧種の遺言』『もう、猫なしでは生きていけない。』ほか著書多数。二〇一九年九月二日逝去。

「2020年 『愛してるよ、愛してるぜ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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