怒り(上)

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著者 : 吉田修一
  • 中央公論新社 (2014年1月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045868

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怒り(上)の感想・レビュー・書評

  • 八王子で起きた殺人事件。
    夫婦が殺害され、現場に残された「怒」の文字。
    逃亡を続ける犯人の山上一也。

    その事件から1年後のこと。
    遠く離れた3つの場所で3つのストーリーが展開されていく。
    そこには「山上?」と想像される人物が一人ずつ。
    誰が山上なの?
    どんどん引き込まれて、とまらない。

  • 八王子で起こった夫婦殺害事件。
    容疑者山神一也は一年経った今でもまだその足取りが掴めていない。
    廊下には被害者の血を使って書かれた言葉「怒」の文字が残されていた。
    「怒」の文字は何を意味するのか? 

    房総半島の港町浜崎に住む父と若い娘。
    東京の会社に勤めながら実はゲイである若い男。
    母親と共に沖縄の島に移り住んできた女子高校生。
    犯人山神を未だに追い続けている警察官。

    四つの視点と舞台から描かれ、それが頻繁に変わるため、最初は非常に読みにくい。
    短い章単位であちこちへ飛び、登場人物も多いので、それぞれのキャラを頭の中で纏めきるのがなかなか難しい。
    それでも、そこはさすがに現代の名文家吉田修一。
    少しずつながら話の展開に興味が湧いてくる。

    警察官を除く三つの場所に謎の男が一人ずつ登場してくる。
    当然その誰かが犯人山神一也なのだろうと推測できるが、それが誰なのか?
    ヒントと思しき会話や場面が合間に現れだす。
    ばら撒かれた数多くの伏線がどのように回収されていくのかが気になり、徐々に居ても立ってもいられなくなってくる。

    というあたりで、上巻は終了し、下巻へと続くのである。
    そんなわけで、この上巻の三分の二を過ぎたあたりから、ページを捲る手が早くなってくるのだ。
    さあ、どういう結末が待っているのか、下巻が非常に楽しみだ。

  • その男が誰なのか核心に迫っていくスリルがあります。吉田さんは人物、生活を浮き彫りにするのがうまいですね。どんどん引き込まれて、このまま下巻に突入です。

  • さすがだなあ。前作以上に地方コミュニティの閉塞や重たい空気感が漂いながらミステリーとしてのエンターテイメント性がアップしている。映画化はある一点で大変困難だろう。キャラの、特に造形を脳内でイメージする小説ならではの設定。

  • 読了。
    ネットで東方神起のある曲について書いてあると知り、図書館でかりて。そしたら映画上映中のやつだったww

    読みやすかった。上下巻合わせて1日で読めた。というか返却日過ぎてたので急いで読んだんだけど。

    この巻では何か影のある人物が何人か出てくる。それぞれが、指名手配されている凶悪事件の逃走犯らしき人物のように思え、「こいつか?ん?逆にこいつ?」みたいな感じでどんどん読み進めることができる。

    そしてそれらの人物に関わる人たちにも不幸や悲しみやネガティヴな思いがまとわりついていて、暗い。

    まず最初の夫婦殺害事件のインパクトも強いのだけど。

    続きが気になってすぐ下巻に手を出すと思う。
    (161106)

  • 全力で信じることを試される人々の話。

  • 他人を信じるのって、何て難しいのだろう。
    愛とか、恋とか、そんな単純なことでは語れないほどに。

    だから、他人に信じてもらえるということは、
    限りなく尊いのだ。
    無性に、嬉しいのだ。

  • ボランティア仲間の方に勧められて。
    おもしろい。
    誰が山神なのか、誰もが山神なのか。
    煽られてるわー、私。
    下巻が楽しみ。

  • トンペンの間ですごくこの作品が話題になって、読もうと思って積んでたらいつの間にか映画化、文庫化の流れに!遅ればせながら上下巻一気に読みました。
    事件ものとして面白かっただけではなく、心に刺さるものがあってズキズキしました。

    とある事件がベースになってるけど、事件そのものよりもその事件を知った人々の反応や揺れる気持ちに重点が置かれてている話でした。
    愛する人、大事な人を心の底から信じることとは。
    信じていた相手に絶望することとは。
    人と人が関わって生きていく上で、逃れる事のできないテーマを突きつけられます。

    千葉編の洋平と愛子の親子や、東京編の優馬、沖縄編の泉それぞれの心情が生々しくて切なくさせられました。
    気持ちが揺れ動く様を肌身で感じてしまう描き方です。
    ところどころに流行りや旬の時事問題を挟み込んでいるのが日常風景をより鮮明に際立たせていて、リアル感抜群。

    映画キャストを知ってしまったので、原作読んでて登場人物の脳内イメージが松ケンとか広瀬すずになっちゃってます…
    ぶっきー×綾野剛で倒れそうです。
    作家さんはまさかビギではないだろうけど、「Somebody to love」とか好きな二人が残ったとか、すごいところを突いてきていて…タダモノではないです。

  • あなたの身近な人が、殺人犯に似ていたら。
    あなたは、どうしますか?

    通り魔的殺人犯が世間を騒がせている。
    指名手配写真を見たら、あの人にそっくりだ。

    似てる。
    似てるというより。
    似てる、そっくりというより。本人か。
    いやでも、まさか。まさか、そんな。
    ないない、ありえない。
    いやでも、もしかして。

    その人を信じられるほど、過去を知らないことに気付いた時。
    その人が過去を語らず、隠したがる風を感じた時。
    あなたは、どうしますか?

    怒りに任せた殺人。通り魔的であれ、思い詰めたものであれ、殺人は同じ。
    でも、それらの罪の重さは同じなのでしょうか?

    上下巻と長編ですが、『悪人』よりも、深く考えさせられる問いかけの数々に、思わず、下巻に手を伸ばしてしまいました。

    図書館スタッフ(学園前):れお

  • 殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作! (「BOOK」データベースより)

    ぐいぐいきます。久しぶりの吉田さん作品。この小さなお話がいつかつながるのか、どうつながるのか、いったい本当の犯人は誰?どの人物もそう見えてしまう。おもしろーい!!

  • 八王子で起こった殺人事件。
    若い男が住宅に侵入し、夫婦を殺害。その後室内を物色し、逃走。事件発生から一年経ったがまだ、容疑者は逃走を続けている。

    ゲイの会社員が東京で出会った若い男。
    千葉の港町で働きだした若い男。
    沖縄の離島で隠れるように生活する若い男。

    本名かどうかもわからない名前を名乗り、過去を語らない男たち。事情があるのだろうと周囲は彼らを受け入れるが、心から目の前の男のことを信用はできない。もしかしたらこの男はあの八王子事件の犯人なのでは? だから身を隠すように生活しているのでは?
    信じるとは何か。

    三つの場所の謎の男。事件を追う警察。

    -----------------------------

    世田谷一家殺害事件と市橋達也の逃走劇がモデルなんだろう。明らかに同じ設定の部分があって、妙な既視感があった。

    『怒』という血文字の恐ろしさ。
    米軍問題やレイプ被害者への対応、性的マイノリティ、多くの謎と課題を残して下巻へ続く。

  • 「犯行後、男は六時間も現場に留まり、そのほとんどを全裸で過ごしている」

     小説の書き出しと言うのは重要で、読者を作品に惹きつける役割を持つ。

     久々に、これはすごいと思う書き出しだった。

     何かの事件の残虐性、異常性を一行だけで表している。すごい。

     書き出しに惹きつける力がある作品は必ず面白いと思って間違いない。

     そして一気読みである。


     八王子の住宅街で殺人事件が起きた。

     猛暑日に起きた犯行は夫婦が包丁で刺殺され、そのおびただしい血の跡には犯人が書き残した「怒」の一文字が血文字で残されていた。

     犯人のその後の足取りは途絶え、事件から一年が経った。

     同時進行する物語は四つ。

     千葉県外房の漁師の父と娘、家出してから二カ月後に歌舞伎町で保護された娘との生活に将来を見いだせない父親。
     そんな漁村に田代という男が現れる。田代はここで働かせて欲しいと言う。
     素性の知れない男に、娘は好意を抱きはじめる。

     新宿二丁目、広告代理店に勤める優馬は仕事終わりにここへ来て好みの男を探していた。いわゆるゲイだ。
     発展場の奥に一人座りこむ男を見つけ、セックスした。身寄りがないその男、直人との二人生活が始まった。

     沖縄県波留間島に夜逃げ同然で逃げてきた母と娘。中学生の泉はある日、同級生の辰哉のボートで無人島を訪れる。
     そこの廃墟で出会ったバックパッカー然とした男は田中と名乗った。ふらふら旅をしているうちに、ここに辿り着いたという。それから数度、田中に会いにこの無人島に来る。

     八王子署、夫婦殺人事件の担当の北見は事件の手がかりを求め続ける。
     そんな北見は寮に老猫を飼っている。公園で拾った猫だが、普段寮にいないときの世話を、同じく公園で猫に餌を与えていた美佳に頼んでいる。だが、この女の素性も知れない。


     怒りとは何か。作中で怒りに関する会話がある。

    若い刑事「山神という男は何かに怒ったところで、結局その状況は良くならないと思っているんじゃないでしょうか。だから怒っている人たちが愚かに見えるというか、こうはなりたくないというか……、すべてを諦めてしまった人間のような……」

    本部長「君、まさか、君もそう思ってるんじゃなかろうね。上司には何を言ってもどうせ無駄だって。私たちはちゃんと聞きますよ」

     本部長に茶化された若い刑事が俯いて席につく。その拳が強く握られていた。(P-175)


    辰哉「この前、チベットの僧侶が焼身自殺したってニュース見たんだ。死ぬほど嫌だって気持ちって、いったいどんな気持ちなんだろって思った。すげー悔しいとか、悲しいとか、情けないとか、そんな簡単なものじゃないんだよな。俺は本気なんだって。本気で怒ってるんだって。でもさ、それを死なないで相手に伝えることってできないのかなって。……でもさ、無理なんだろうね。その本気っていうのを伝えるのが一番難しいんだよ、きっと。本気って目に見えないから……」(P-211)


     素性不明の男三人と、事件を追う刑事。

     怒りの向かう先はどこなのか。下巻に続く。

  • それぞれの登場人物が、どこかで結び付くのかと思ったが、こーゆーやり方があるのか…と納得。優馬と直人のエピソードのオチはいまいち。よくゲイを題材にするが、たまにはハッピーエンドにして欲しい。作者の人生経験がベースにあるとは思うが、そゆこと?みたいに深読みしてしまう。

  • 映画も良かった

  • 映画を鑑賞後、原作に興味が沸き図書館で借りて来た作品。

    結末が分かっているので、ミステリーを楽しむと言うよりも、映像で表現したかったそれぞれの人物像を楽しみながら上巻読破。
    映画では割愛されているエピソードもあり、小説あっての映画だとは分かってるけれども、映画の番外編的なお得感。
    先に小説を読んで、愛子がぽっちゃりキャラだと知ってたら、キャスティングに疑問を思ったかもしれないけれど、宮崎あおいの抜け感のある演技は、イメージに合ってたなと。

    小説全体の感想は、下巻の方で。

  • 障害絡みの話がややつらい。

  • 八王子で起こった残忍な夫婦殺人事件。現場に残されたのは「怒」という血文字。犯人は山神一也。しかし彼は逃走したまま行方が分からない。

    海辺の港町。家出して風俗で働いていたが、父親に連れ戻された愛子。

    大手広告代理店で働くゲイの優馬。ハッテン場で知り合った直人と自分のマンションで暮らしている。

    男にだらしない母親を持つ泉は母親のせいで沖縄の波留間島へ夜逃げしてきた。そこで出会った放浪の旅を続けている田中と出会う。しかし、泉は米兵に乱暴されて…。

    様々な人間関係が進む上巻。

    下巻が楽しみ。

  • 映画を先に観て

    あまりにも引きずってしまったので…
    原作を読むことにしました

    映画では読み取れなかった感情がたくさん。

  • それぞれの生い立ち、経緯のある人たち。事件の犯人にどう関わり遭うのかがドキドキです。

  • 3.5 殺人事件とは全く関係なく進む4つのストーリー。これからどう収斂されるのか予測不可能。下巻も必読。

  • 2017.04.夫婦が自宅で殺害され,血文字で怒と書かれている事件があり犯人は長年逃亡している.千葉の漁港に仕事はありませんか?と突然現れた田代は,漁協の洋平の娘の愛子と付き合い一緒に住みたいと言い出す.ゲイの優馬は,何者か分からない直人と暮らすようになる.癌で闘病を続けていた優馬の母親が亡くなる.中学生の泉は,母親の浮気で名古屋に住めなくなり沖縄の小さな島のペンションに住み込みで働く母と一緒に沖縄にやって来る.同級生の辰哉と那覇に遊びに行くが米兵に襲われてしまう.三つの話が同時進行.冒頭の殺人事件とどのように絡まっていくのか?

  • 映画が面白そうだったので手にとってみた作品

    内容が重そうだったので読むまでに時間がかかったけど読んでみたら一気に読んでしまった

    今はまだバラバラのピースがどうハマっていくのか楽しみ

    人間は性と死から逃げられない
    生々しい現実を描いてる

    下巻でどういう結末が待ってるのか楽しみ

  • 娘が図書館から借りてきたので便乗。返却期間があるので急いで読んだ。純文学「贖罪」を読んだ後だけに軽くさらっと読めた。

    ※ネタバレしているので、まだ読んでない人は注意してください!

    千葉の漁港浜崎、沖縄波留島(いずれも架空地名)、東京と三か所で起こる三つの話が交互に進んでいく。それに八王子の連続殺人事件がからみ、最初は読みづらい。
    要するに愛する人をちゃんと信じてあげることができるかどうかにかかわる話だ。三件とも八王子事件の犯人ではないかと思わせぶりな書き方で、実際千葉と東京では最愛の人を疑い、最終的にその愛を失ってしまう。(千葉の場合はもどってきますが。)ところが、信頼していた人に裏切られ…ていう例もあるので(沖縄の場合)、人生はままならない。
     しかし信頼してもらうためには自分もさらけ出さないと。秘密主義の人は信用ならない、というのが私の持論です。千葉も東京も、疑われても仕方ない状況だったんじゃない?

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怒り(上)の作品紹介

殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!

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