楽園

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 63
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046056

作品紹介・あらすじ

京都でも特別な意味を持つ街、「楽園」と名付けられたその一帯は、かつて男が女を抱きに訪れる場所だった。お茶屋の跡に建てられた白い壁のアパート「楽園ハイツ」そこに住む6人の女たちの間で静かに熟成される、うぬぼれ、疑い、焦り、嫉妬。京都の川沿い、かつての花街でひとりの女が美しく変身した。戸惑う隣人たちが行き着く先は楽園か、地獄か?

感想・レビュー・書評

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  • 書き下ろし。2017年に文庫化。

    京都の古い色町「五条楽園」が2010年に警察の摘発で廃業に追い込まれた跡に「楽園ハイツ」と名付けて建てられたアパートの住人たちの物語。

  • 2016 8 10

  • 2016年2冊目は昨年、下半期に固め打ちした花房観音女史の作品。

    あらすじ:京都、五条の遊郭跡に建つ「楽園ハイツ」。そこには管理人の営む喫茶店と、五世帯、六人の女が暮らしていた。そして彼女達にはそれぞれ……。

    花房観音が得意とする、複数女性の視点から物語を紡ぎあげるパターン。今回のキーワードはズバリ「性」。そこに「羨望」「侮蔑」「悔恨」といったドロリとした感情が静かだが、しっかりと脈打っている。

    実は、この作品、それほど期待してはいなかったんです。しかし、思いのほか面白かった。「性」を中心に据えているので、表現も描写も多用されているが、官能のそれとしては濃度や密度が足りない。『婦人公論』(中央公論新社)からなので、女性むけなのかな(?)。個人的には官能には分類したくないです。

    この作品も、キーパーソンは早い段階で予想はついていました。そして、「序章」と絡めてどう落とすか?は「そうきたか」という感じ。そんな中でも、今回も女性の裏の顔や、暗部を描かせると、この方、やはり「上手い」と思わされた。

    個人的には、★★★★☆評価は当然。ただし、あまり、他人(ひと)にすすめることはないでしょうが……。

  • テーマは明確で文体も読みやすいけどやっぱり描写の点で万人向けとは言えないかも。

  • おー、いいじゃないですか。こういう感じは、わりと好きですねー♪

  • 女は死ぬまで女なんだなー。煩わしい。

  • 京都市内にある、ほんの数年前まで営業されていた五条楽園という遊郭のあった場所に建てられたアパートに住む女性達の話し。自分は価値がある人間かどうかってどういうときに意識するのでしょうか。ましてや女性の場合、男性からどう見られるのかということに大きく影響されるのでしょう。そんなことを感じました。

  • 「太陽の下で皆に祝福される人生が誰にとっても幸せとは限らないのだ。闇の中で、後ろめたさや罪を背負うことで生きていられる人間もこの世にはいる。」見たくないものを見させられたような気分になる小説。性描写は予想してたほどではない。男には想像できない言葉ばかり。

  • 女ならきっと誰もが、自分の中に漠然とその存在を感じているどす黒い部分を、手のひらで掬って「ほら」と見せつけられたよう。
    女の視線の中に秘められた侮蔑、嫉妬、羨望。そんな目で見られているのかと思うとぞっとするが、私自身も人をそんな目で見ていると認めないわけにはいかない。
    数人の女が登場するが、どの人物の抱える不安も欲も、確かに私自身の中にあることに気付かされる。
    女のサガから逃れられないけれど、女であり続けようとする登場人物たちは哀しく愛おしい。
    これだけどろどろした人間模様と葛藤を描きながらも、さっぱりしているのは、情動に溺れない観察者の視点が貫かれているからだろう。
    セックスって、そんなにいいものなんだ……。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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