フォグ・ハイダ - The Fog Hider

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著者 : 森博嗣
  • 中央公論新社 (2014年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046070

フォグ・ハイダ - The Fog Hiderの感想・レビュー・書評

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  • 限りなく静寂に近い空間に身を置きたい。枯葉が木から離れる音、雪が降り積もる音、霧が立ち籠める音が聞き取れるくらい聴覚を研ぎ澄ませたい。心が水でできているのなら、交わされる問答をひとつ残らず溶かし込めるように超純水ほど不純物を少なくしたい。 
    生きるとは、強さとは、真理とは何か。真摯に向き合わせてくれる。
    とりわけ私が深く考えたのは「正義」について。これから私がしようとすることは、誰かにとっては悪であったり膿であったりするかもしれない。でも私は私を守るためにそれを正義と信じて貫くのだ。
    《2014.05.22》

  • 4月に出た新刊、どうしても読みたくて今回はハードカバー。今作も読み終わった後、とても晴れやかな気持ちにさせてくれる物語でした。悪、というのは、客観的に観察された視点であり、本人にとっては悪でない、といった、以前出会った森さんの考えなど反芻しながら読みました。ゼンとデンチ和尚の話がとても印象的でした。『少しくらいの濁りはあった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでもそれを、奇麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします。』素直なゼンが、これからもたくさんの人に出会い、色んな矛盾にぶつかって、悩んで、生きていくのでしょうな。それを見ていきたいです。

  • 再読なんだが…。
    一日ゼンで楽しんだ。
    あさのあつこのやつと混ざったりもしたけど。

    年齢を考えるのはやめよう。うん。

  • ヴォイドシェイパシリーズ-4
    妻を持つ侍。仲間を持つ侍。

    蔵書
    電子書籍

  • 『ヴォイド・シェイパ』シリーズの4作目。3作目『スカル・ブレーカ』に続けて積読本を消化…。
    霧が立ち込める山の中。短文で詩のような戦闘シーンの描写がいい。『スカイ・クロラ』シリーズの、空の戦闘シーンが思い出される。
    今更ながら純粋で素直な主人公が可愛いと思う。真っ直ぐに世界を見つめて、新しい世界を広げながら、何故か?と問う。考えて人と話して考えて。少々理屈っぽいが穏やかに正直に人と対する姿勢は見習うべきところがある。
    最終巻でようやく都行き(2作目辺りから言ってる)。4巻分の気になる伏線の回収のために明日本屋へ行こう。
    160602

  • 2016.03.03

  • ヴォイド・シェイパ・シリーズ四作目。
    守るものの有無と強さについて。
    ちょっと切ない感じ。

  • ヴォイド・シェイパシリーズのなかでもいちばん読みにくい作品だった。事情が込み入っている。人を斬りたくないが刀を極めたいという矛盾。女性と暮らすということ。という二つが軸かもしれない。
    刀をふるか、刀をすてて人と暮らすか。

    キクラさんが言っていた、愛しい者がいるということは、傷があるのと同じ、という言葉が心に残った。

  • 結末悲しかったなー。良い方向に動いたこともありつつ、でもなぁー。うーんとか悩みつつ終わった巻でした。

  • 『悔いているのか、憎んでいるのか、悲しいのか、それとも嬉しいのか、涙ではわからない。まして、口から出る言葉は、もっと信用がおけない。人は、いつでも、どんな言葉でも、簡単に口から出せるのだ。』

    「ゼンさん。来てくれたんだ。嬉しい」
    「琴の音を聴くためです」
    「そういうときはね、ノギさんの琴が聴きたくて、と言うの」
    「そうか。ああ、気がつきませんでした。覚えておきます」
    「大丈夫なの? 鈴屋が襲われたりしない?」
    「それは、その、たぶんですが、解決しました」
    「え、どんなふうに?」
    「また、あとで、えっと、チハヤ殿が説明してくれるかと」
    「ゼンさんが、今説明したら良いじゃない」
    「いえ、今は、ノギさんの琴が聴きたいので」
    「あらら、なんか、ちょっと変な気もしますけれど、まあ、ええ、だいたいそれで、よろしいと思いますよ。そんな感じです」

    「刀のほかに、二つある ー 一つは場数。もう一つは知恵だ」

    「人は、じっと待つことができない。それはまるで、息を止めることにも似て、苦しく感じられるものだ。痺れを切らし、つい動こうとしてしまう。戦いというのは、そうして始まるのではないか。」

    「拙者が果てたときには、フミは自害しようとするでしょう。そのときには、どうか止めないでいただきたい。私が願うのは、それだけです」

    「俺はな、フミさんのために刀を抜く。それだけのことだ。なにか不足があるか?」

    『とにかく、自分の刀を、自由に振ろう。
    それだけだ。』

    「まさに今、大勢の人を殺そうとしている者がいて、それを止めねばならない、という場合には、その者を殺し、多くの命を救おうとするかもしれない」
    「救う命のために、命を奪って良いことになります」
    「そうなりますな」
    「それは、正義ですか?」
    「いえ、正義ではない。ただ、しかたがないことです。さきほど貴方が言ったように、正義とは、そのような悪人がこの世に生じないように導くことではないでしょうか」

    「少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします」

    『いくら考えても、答えのない問題ばかりだ。答がないことが自分でもよくわかる。それなのに考えてしまうのだから、困ったものだ。こういうのは、人の質なのだろうか。』

    『チハヤは、また声を上げて笑い、リュウがつられて笑った。何が面白いのか、よくわからなかったが、自分の心も温まった。酒のせいではなかったはずだ。』

    『みんなが同じではない。それぞれが、自分の命を持っている。なにかを楽しみにして、生きているのだ。苦しみだけで生きている者は、たぶん少ないだろう。それでは生きていけないように思われるからだ。』

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