下戸は勘定に入れません

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著者 : 西澤保彦
  • 中央公論新社 (2014年5月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046148

下戸は勘定に入れませんの感想・レビュー・書評

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  • 冒頭───
    2010年、十二月二十六日。
    鵜久森市には暴風注意報が出ていた。お誂え向きの夜だ。
    かたちばかり自宅に持ちかえった論文の下書きや資料などろくに見もしないで、昼間からだらだらと飲んだくれていたおれは、そろそろいい塩梅になったところで、手ぶらでマンションを後にした。徒歩で繁華街のほうへ向かう。
    戸外は予想以上に寒く、たちまち身体の芯から冷える。歩いているうちに、酔いが半分がた醒めてしまった。首筋とのあいだに隙間ができないよう、マフラーをきっちり巻きなおす。やれやれ、せっかく準備万端で出てきたっていうのに。どこかで飲みなおさないと駄目だなこりゃ。

    時空間を過去や未来へ行ったり来たりのいわゆるタイムスリップもの。
    この行ったり来たりがややこしい。
    読んでいても、いったい今どちらの時間の物語を書いているのか分からなくなるほどだ。

    主人公の“おれ”こと古徳が泥酔してさまよい歩いているうちに、学生時代の親友早稲本に出会う。
    そこから、彼の妻で古徳の元カノでもあった美智絵やその母親や娘の優香、さらには友人たちをも巻き込んで学生時代にスリップし、そのとき分からなかった様々な事実が判明してくるという内容なのだが、なんか話が現実離れしている。
    優香の出生の秘密など、その最たるものだ。
    ええっ、そんなことがあっていいの?
    それで優香が産まれたのだったら、美智恵に罪悪感や贖罪の思いはないのか、と思ってしまう。
    さらには、どれだけ美智恵が美形だと言っても、五十才間近で娘と見間違うばかりの美貌なんてわけがなかろうにと突っ込みたくなる。
    SFだから、何でも許されると思ったら大間違いだ。
    SFだって、最低限のリアリティは必要だ。
    この作品には、どうもその辺りの概念が欠けているように思えてならない。

    著者略歴には、───SF的設定と本格推理の融合をはたした独自の作品群で読者を魅了し続けている───とあるが、わたしは全く魅了されなかった、とだけ言っておこう。
    もともとが、中央公論のHPに連載された作品だからね。
    そんな作品がそれほど面白いわけはないな、とあらためて納得。

    この作品もそうだが、最近読む小説は、本の雑誌やダ・ヴィンチなどで”お薦め本”とされたものが多い。
    しかしながら、ほとんど面白い作品に出会った例がない。
    何故だろう。不思議である。
    ブクログ仲間さんのお薦め本などは、大抵が面白いのに当たるのだが。

  • ユルユルのタイムスリップミステリですが、読後感はすごくさわやかでこの世界にずっと漂っていたい。そんな思いをさせる作品でした。
    最近の西澤保彦作品のようなどす黒い感じはなかったのは良かった。
    二話目の三角関係の関係性の推論はさすが西澤保彦って言う黒さはかいまみえました。
    近年の作品では読後感さわやかすぎでした。
    読後感は「七回死んだ男」以上にいい。

  • あまり実用性のないエスパーが、その特異環境でロジカルな謎解きを行う、著者専売特許みたいな短編集。
    あらすじは西澤保彦なら馴染みあるものだが、同じタイプの作品中でも印象に残る面白さ。
    今回、連作短編ということもあって「能力・状況設定」「謎の発露・発展」「論理的な議論・解決」がとにかくスタイリッシュに納められている。突拍子もない話を、60ページ程度で、違和感はなくむしろ馴染みあるくらいに話を進めるセンスはとんでもない。
    この美点は、全編をひとつの長編として捉えたときも有効で、大前提が既に奇抜なのにも関わらず、よくまぁというほど派手にストーリーを転がす。
    ラストがいくらなんでもズルい収束だが、中年のタイムスリップものであり、面白可笑しい青春小説の側面も持つ良作。
    4

  • 面白かった。未来のことがわかってて正気で生きていけるのか?

  • 西澤作品のイメージというと、酒や料理の描写。笑っちゃうような登場人物たちのやりとり。机上の空論的な安楽椅子探偵の推理。ぞっとするような、人間のエゴがある。それがぜんぶ詰まっていて、楽しめた。しばらく西澤作品から離れていたような気がするけど、最近の作品を読んでみると、人間のエゴのおぞましさ的な部分がずいぶん薄まっているな、と感じた。なくなったわけではない。本書でも、出てこない主人公の母や、友人の祖父など、影を落としている。でも、生理的に不快になるほど、それが前面に出てこなかったかなと思ったのだ。この前読んだ『悪魔を憐れむ』もそうだった。作品に渋みというか、深みを与えるアクセント程度に収まっていて、読みやすくなった、とでもいおうか。
    あと最後に思い出したのは、男の妄想かとも思えるような、恋愛描写、いやあれは惚れられる描写とでもいうんだろうか(笑)。そのあたりまで、本書では楽しませてくれた。読んでいて、楽しい本だった。

  • 出てきたウィスキーを飲んでみたいと思いましたw 悲しい出来事などもあるが、最後のハッピー感が良かった。

  • この一杯が、タイムマシーン!お酒を飲むと、
    同席者とともにタイムスリップしてしまう
    古徳教授。その特異体質と推理力を発揮して、
    町の事件を解決する。

  • おもしろかった。
    のんだくれ×超能力
    んでもっておっさん×美女
    とゆー西澤さんのオハコ展開。
    なぜあんなパーフェクトちっくな女性が
    自殺願望だらけのおっさんに魅かれるのかは、
    神のみぞしる。

    あいかわらずこの人の怒涛の推理展開の部分は
    読んでてどどどど~~って感じがしておもしろい。
    いっちゃん最初に読んだのは麦酒の家でしたが、
    あれと同じカタルシスがありますなー。

    まあ、息子の彼女と寝取る(言葉通りの意味で)父とゆー展開はいくらなんでも「それはない。」と思うが・・・。

  • 久々に西澤保彦を読んだ。後ろの作者紹介欄に『SF的設定と本格推理の融合をはたした』とあるけど、そういう作風だったっけ?やたら酒が出てくるのは覚えてるけど。これはまさにSFだった。過去にタイムスリップするというのを、皆あっさり受け入れすぎじゃね?早稲本家の人たちは出来すぎだ。しかし、息子の彼女を寝取るって、どういう神経なんだ。1回やるだけは寝取るって言わないのか。しかし名前がみんな変だよな。読みにくいというか、逆に覚えやすいというか。2話目の自殺しちゃうのは何か切なかった。

  • 酔うとタイムスリップするという安定の西澤設定SFミステリ。
    一応はハッピィエンドっぽいが,各話は闇が深い。

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