- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120046520
感想・レビュー・書評
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まず根本的に、わたしはSFが苦手だ。だから単位の話とか、必殺技みたいな現象とか、おそらく理解できていない。読み飛ばしたつもりはないけど、たぶんわかってない。
だから自分への辻褄合わせとか必要なく、ふつうに(?)面白かった。友情、努力、勝利。これぞエンタメ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ダ・ヴィンチ」編集者自薦のコーナーで紹介されていたので手に取ってみた。
読み終わっての感想は、いい要素満載にも関わらず「惜しい」作品だなぁ、と。
・作者の身近に自閉症の方がいるが故の、切実でリアリティのある「自閉症」描写
・学園もの、SFものという、王道で読みやすい世界観
・お約束かもしれないが、よく立ったキャラ
・小説、マンガ好きには触れてくる、所々ちりばめられたサブカルネタ
いろいろな良い要素が詰め込まれているにも関わらず、「これは!」という作品になりきれていない。特に感じたのは、詰め込みすぎ。登場人物、イベントを全て描こうとする意図が強すぎるのでないかなぁ。そのために、語り手は三人称となるのに独り言を入れてみたり、登場人物の頭の回転が読者置いてきぼりの速さだったり、といった部分で破綻してしまっているのでは。もったいないのだけれど、もうちょっと全体を絞り込んでくれればスッと登場人物に入り込めて読みやすい作品になったのではないだろうか。
万人にお勧めできる作品ではないが、ラストにつながる終盤の逆転、盛り上がりも楽しく、読後感はよい。細かい引っかかりを無視して読破できるタイプの読者であれば、これがデビュー作である作者佐伯氏の、今後の大化け期待含みで、読んでみて損したと思うことはないのでは。荒削りではあるが、楽しい作品だった。