Red

著者 :
  • 中央公論新社
3.42
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本棚登録 : 1166
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046544

作品紹介・あらすじ

2歳の娘を持つ塔子は、友人の結婚式で元恋人と再会。引き寄せられるように快楽の世界へと足を踏み入れていく――。島本理生の新境地

感想・レビュー・書評

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  • それは現実逃避なのか、過去への執着なのか、それとも優柔不断なだけなのか。
    いや違う。私は確かにここにいるんだ、という彼女なりの精一杯の自己主張なのだと受け止めた。
    世間から何と言われようとも家族から不実と罵られようとも。誰も彼女の情を抑えることなどできはしない。
    妻でもなく母でもない、只一人の女として。
    「よそではちゃんと価値ある女性として生きていた」のだということを、この鈍感な夫もようやく気付いてくれるだろうか、と。

    彼女のとった行動に共感はできないけれど、彼女の心理は同じ女性として理解はできる。
    そんな自分に驚いた。

    この作品の受け取り方は読み手によって意見が分かれそう。
    様々な要素が詰まっていて混乱してしまった。この作品の主題は何なのか、何度も迷子になった。
    女性としての存在意義について考えさせられた作品。

  • 賛否が分かれそうな主人公。若干の嫌悪感があるのは、私が男性だからなのか。理解できるような、出来ないようなを繰り返しましたが、エピローグで静かな安堵感に見舞われた。

  • 映画化するというので早めに読んでおく。不倫という形をとったハーレクイン風というか、セックス描写を読むのがだんだん面倒になってきてちょっと飛ばしたけど、社会問題をどれも肯定も否定もしていなくてすごいと思った。例えば主人公の塔子の「働く母親」という点では、子育て=母親の役目という社会のしがらみへの苦しさを、こういうものだから仕方ないと諦めたり、周りが多少なりともサポートしてくれることに「まあ悪くはないか」と妥協したり、何に抗って何を受け入れていくかと選択しなければいけないところ、時代に沿っているんじゃないかと思った(それでも2014年初版なのね)。
    恋愛ターンについてはまあ……ベタ。島本理生は、人間が絶対に持つ暗さを書くのがうまいけど、男女間の恋愛のつきあい方は少女漫画的というか、ロマンチックなところがあるね、と思った。人同士の交流の書き方は好きなんだけどなあ。

  • 村主塔子31歳
    可愛い一人娘2歳の翠と、友人にはイケメンと羨ましがられてる
    夫の真の実家で義父母と一緒に、何不自由なく暮らしている。
    友人の結婚式で、大学の頃付き合っていた
    不倫相手の鞍田と10年振りに再会する…。

    出産後、仕事に復職する事が出来ず後悔していた塔子
    鞍田の計らいで就職する。
    家庭だけという小さな世界で暮らしていた
    塔子の世界は広がって行った。

    夫の真は育ちは良いが、鈍感で我儘で無理解で無神経
    そして、その自覚が全くない幼さ
    上手く行っているように表面は見える姑の麻子
    しかし、家の中で居場所がないように感じている塔子…。
    真に塔子が苛立つ気持ちは凄く共感出来ました。
    でも、塔子は不満を内に溜め込むばかりで何故まことに言わないのか…?
    言わないでいて、少し強引に誘われただけで、
    鞍田や一鷹に身体を許したり溺れたり
    ユラユラと惹かれていったりするのだろう…。
    何だか、腹立たしかった…。

    足りないものばかり欲しがる
    それが、自分にとって本当に欲しいのか、どれくらい必要なのか
    考える暇もないくらい忙しかった。
    鞍田さんが気付かせてくれた。
    今迄、内に溜め込んでいた不満を爆発させた塔子には拍手したかった。

    夫の真の本音を綴った手紙は印象的でした。
    育った環境が違うから、価値観が違うのは当たり前
    塔子も真も、最初からお互いの心の内を晒して
    本気でぶつかり合えば良かったのに…。

    娘・翠の為に真とやり直しているラストに少しモヤモヤ
    大きくなった翠の視点が切なかったなぁ。

  • 秋の夜長に…

    ってな事で島本理生の『Red レッド』

    昼ドラの様な(見た事無いけどw)ドロドロとした不倫話w

    もう、情事の描写がハンパ無いっ❣️

    前屈みで読み続ける(笑)

    女の子は好きなんかな、こんな内容w

    情事の描写の印象が強過ぎて、女心は理解出来ず…(笑)

    主婦にはウケそう♪

    2015年63冊目


    秋風が立つ、って意味知ってる?

    ってな事で、島本理生の『Red レッド』

    ヤバいっす!描写が半端ないっス♥
    映像で観るより想像力を掻き勃てられる(笑)

    と、そっちの方の楽しみもええんじゃが、内容も良かった~

    傍から見れば何不自由無い幸せな家庭の主婦が、友達の結婚式で10年前のバイト先の不倫していた社長と再会したのをきっかけに再び二人の間に火が付いた

    女の性と言うか、愛情、煩悩、苦悩、葛藤、悦び、色んな感情が垣間見える女の弱さと強さが勉強になりそうなお話w

    真面目そうな人程、のめり込み易くふしだらな様な……w

    実は前に読んでたみたい(笑)
    読み進めて行くと先の展開が手に取る様に分かってく不思議さw

    途中で読んだ事あるって気付いたけど、再読しても飽きずに熱中して読めるええ本じゃった

    2018年8冊目

  • 三年間もセックスレスじゃなかったら―大人の恋愛と官能の世界。妻、母を生きる女が一線を越えるとき、そこにはどんな世界が待っているのか―。充実した毎日を送っていたはずの女は、かつての恋人と再会し、激しく身体を重ねた記憶に導かれるように快楽の世界へと足を踏み入れていく。島本理生が官能の世界に初めて挑む!

    あのぉ~~~不倫する以前に・・・何するにも言い訳言い訳自己防衛の嵐でイライラ。自称・・・「私は小さい頃から地味で目立たなくて自信がないから・・・」イヤイヤこれだけやれちゃう貴方は自信満々でたいしたもんですよ。

  • 自分をわかってもらおうとすること、相手をわかろうとすること、ちょっとした思いやり、この夫婦にはこれらが決定的に欠けている!(偉そうに言えないが)
    「人生はほんの一瞬でも本気になれたら十分」という小鷹さんの持論は、ちょっとわかる気がする。エピローグを読んで物足りなさを感じながらも安堵した。翠ちゃんに幸あれ。
    これ月9でやればいいのに。いや、木10かな。
    ★塔子サン、スキだらけで流されすぎ!!

    • Bikkieさん
      やっと読み終わりました。どこまでが実体験に基づくお話なのかと思ってしまいますね。イノセントも予約中です ^^;(船)
      やっと読み終わりました。どこまでが実体験に基づくお話なのかと思ってしまいますね。イノセントも予約中です ^^;(船)
      2016/05/10
  • 危うい塔子。あっちへふらふらこっちへふらふら。まだ幼い子供がいるのに、母親としての自覚と責任が低すぎる。
    自己肯定感と自己評価がどん底くらい低い割にすぐ男にふらふらしちゃう所がガッツリ恋愛体質女なのに色々言い訳
    恋愛に走るならスパッと行けよ!と思ってしまう。
    同性でも好き嫌いが分かれそう。

    本読んだあとネトフリで映画も。
    夏帆と妻夫木聡。
    夏帆はイメージ通りだけど、
    妻夫木かぁ〜

  • 「夏の裁断」が思いのほかよかったので、こちらを手に取る。ざっくりと20代の頃、付き合っていた男性鞍田と再会し、かつての自分を取り戻していく。いわばピカレスク小説。
    前半は上質なオンノベを読んでいるような感覚に陥ったが、後半ページをめくる指がゆっくりになりぐっときた。
    ヒロイン燈子の旦那真を、ボヴァリー夫人の旦那に重ね合わせて読んでました。
    作中燈子をこじらせ女子と揶揄する場面があったが、流され女子だよ、と突っ込んでました。
    それにしても、「夏の裁断」は、文芸作だったんだな、とつくづく思った。

  • 同じ女として主婦として母として共感出来る部分もあったけど共感出来ない部分もあった。
    同居をしてての密会は、塔子さんにあっぱれ。
    そんな度胸ワタシにはないわw
    どんどん大胆になっていくには、本気で愛してしまったから?愛に溺れsexに溺れてしまったら何もかも捨てていいって思うのかしら?
    途中までは夫婦関係も嫁姑関係もうまくいってなかったじゃないはず。それが、もういいって思える瞬間が理性が飛ぶっていうのかな。
    ワタシもすっかり本の中に入り込んでしまった。
    気付き
    夫婦は、山あり谷あり。
    言いたいこともたくさんあるが、それは相手も同じ事。自分の想いばかりを押し付けていたら、うまくはいかない。
    時にはグッと堪えて、時には一気に爆発させて、いろんな想いを2人で過ごしていくのが夫婦なのかなw
    夫婦って何年やってもおもしろいわ。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島本理生の作品

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