出張料理・おりおり堂 - 卯月~長月

著者 :
  • 中央公論新社
3.27
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本棚登録 : 291
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047084

作品紹介・あらすじ

高層マンションのママ友カーストに疲れた主婦、燃えさかる炎の下踊り狂うオネエの皆さん、花嫁様(こけし似)とその下僕(残念)、喜寿を迎えたご老人と幸せいっぱいのご家族、気の置けない幼なじみのオヤジども。事件は台所で起きている。アラサー婚活女子、イケメン料理人といざ、二人三脚!おりおりの美味と、とりどりの依頼人が織りなす悲喜こもごも!

感想・レビュー・書評

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  • たまには、今の季節にちなんだ本を読んでみようかなぁと…。
    (やっぱり美味しそうな本♪)

    主人公・澄香32歳、独身。
    後輩の結婚式の帰り道に、素敵な老婦人・桜子と出会ったことがきっかけで、
    「骨董 おりおり堂」で働くことになる。
    寡黙なイケメン料理人の仁にひとめぼれして、
    味に敏感な特技(?)を見込まれ、出張料理のアシスタントに。

    澄香の妄想パワー全開なばかりか、
    いけずな京女や、常連客のオカマさん、
    登場人物たちが、みんなどこかマンガっぽい感じ。
    なので、この前見たドラマの「主任~♪」の配役で楽しみました。

    四季おりおりの食材を使ったお料理と、
    桜子の凛とした雰囲気や、着物。
    歳時記の部屋とよんでいるカフェの空間。
    ものすごく好きな世界でした。

    続編も気になります。

  • タイトルの文字と表紙のいろどりがはんなりした感じで、おもわず、「卯月~長月」「神無月~弥生」の二冊まとめて棚から引き抜きました。
    出張料理…うんうん、おいしい料理と人情の話に違いない!
    そうしたら…
    人情、「人」の「情」のお話には違いないのだけれど、どちらかといえば恋のお話に天秤が傾く。

    本来は骨董屋である「おりおり堂」の奥のカフェで料理を出すイケメン料理人の橘仁。
    実は、お客様のお宅におじゃまして料理をふるまう出張料理人でもあった。
    料理はからきしダメだが神…のような舌を持つ派遣OL(絶賛婚活中32才)の山田澄香は、スカウトされて彼の助手を務めるようになる。

    澄香の心の中で展開される、ハイテンション恋する乙女(32歳ですが)モノローグ、というかセルフ乗り突っ込みがすごい。
    なんだこれ、中央公論新社って書いてあった気がするけど、ア○ファポリスじゃないの?それともラノベ?!
    澄香の前に立ちふさがる、ライバル美女も登場して、お約束な展開!

    出張先のお客様にもさまざまな事情があり、特に「文月」の鱧の神崎氏の人生観は、仁の過去を掘り起こすきっかけとなった。
    浮ついた感じだった澄香の気持ちも、シリアスなものになっていく。

    仁の作る料理の描写は文句なしにおいしそう。
    オネエさんたちも、大変良い仕事をしてくれる。
    読みやすくておもしろい文体です!
    先が気になるので、とにかく読むことにします。
    がんばれ、山田!


    卯月 タワマン夫人と鯛供養
    高級マンションの奥様たちの食事会。
    さりげなく、カーストが透けて見える。

    皐月 炎の鰹とオネエの謝肉祭
    最近あちこちの小説に顔を出すドラアグクィーンたち。
    男のたくましさと、乙女の繊細さを併せ持つ!

    水無月 モンスターブライドと五色の極楽鳥
    地味こけしのわがまま暴虐ぶりに、読者ぶち切れ寸前…
    しかし、思わぬ展開。

    文月 骨切り鱧と西から来た男。
    神崎又造氏の米寿の祝い。
    集まった四世代のしあわせな宴。
    しかし、京都出身ときいて仁が作った鱧料理に神崎氏は…

    葉月 焼き夏牡蠣と招かれざる客
    鱧が京女を呼び寄せた?
    いい男ぶりのチョイ悪オヤジ(死語)も牡蠣を抱えてやって来る。

    長月 恋の行方と月夜の宴
    ついに、仁の過去が明かされる。
    長月の有明の月…というやつですか…
    誰もがみんな待っているのね。
    いつまで待てばいいのだろう。

  • 場所は骨董屋。素敵な老婦人と、出張料理を行うイケメン仁。
    そして自分では気づかなかったが、味覚が優れている事を見初められ、突然働く事になる澄香。
    美味しそうな料理はもちろん、忘れがちな日本の季節の移ろいも品良く織り交ぜていて、かつ恋模様やイケメン仁の過去などなど、読み応えあります。
    澄香の語りが読みやすい。

  • 内容的にはぴったりなのかなとも思うけど、澄香がかなりアホな子でイタタタタという感じ。徐々に落ち着いては来るので、なんとか楽しんで読むことが出来ました。
    とはいえ仁さんとの関係を考えると、もうちょっと澄香の努力や力が支えになっている所が見えると良かったかな。

  • 無口で無愛想だか心根は優しい料理人仁とオーナーである、上品な老婦人、桜子の元で働くことになった涼香の出張料理屋。彼らの元には一見幸せそうでも内情は様々な悩みを持つ者たちからの依頼が次々とくる。時に理不尽な注文もあるが、一つ一つ丁寧に調理し、それぞれの依頼者に配慮した心尽くしの料理を作る。人を楽しい気持ちにするための料理と様々な人の気持ちが合わさり、人々の気持ちはきほぐされていく。仁の内面に徐々に惹かれていく涼香だが、依然働いていた京都での仁が抱える辛い過去が見えてきて。。。

  • ひょんなことからイケメン出張料理人の下で働くことになった元派遣OLが主人公の6編の連作短編集。
    出張先の色々な事情や人間模様が透けて見え、ほっこりしたり、しんみりしたり、色々な感情が駆け巡る。
    主人公・山田の妄想が軽過ぎて少し鼻につくところもあるけど、おりおり堂の女将や常連さんたち脇役が固い。

  • 粋に着物を着こなす老齢の桜子がオーナーの骨董店おりおり堂は、イケメンの料理人の仁(じん)が行う出張料理もやっている。ひょんなことから出張料理人仁の助手となった32歳の澄香。仁へ恋心と妄想を抱きながら助手を務めてゆく。
    仁が出張料理を行うには深い事情があった・・・。

  • 偶然訪れた骨董屋で出会ったイケメン出張料理人。鋭い味覚を見込まれ、その料理人の助手となったアラサー元派遣OLは、一流の腕と気配りのある料理人にすっかり夢中。季節の美味しい料理と、なかなか難しそうな恋の行方を、コメディタッチで読みやすく描いている。少女漫画を読んでいるような感覚で、かなり気楽に読めるうえ、季節の行事や植物、食べ物について学べるので若い人にもオススメかも。

  • 表紙と題名でなんなりほっこりの物語かと思い図書館にて借りましたが、正直ぶっ飛んでいました。
    澄香の妄想モードな語りで最初から最後までまで…なんか軽ーい!という印象でした。こういうの嫌いし、スラスラ読めて逆に好きなんですけど、読みたい時の気分の差が激しいので、今の気分ではだいぶイラついてしまった…。
    何回も途中でもう読むの辞めようかなお腹いっぱいと思ったのですが。
    映画を観ようと思って再生したけど思いの外つまらなくて、でも消すのも面倒くさいから流しっぱなしにしていたら、あれ?なんか続き気になる?どうなるの?という風に持っていかれる展開で、この本も最後まで読めました。

  • 婚活中の山田と友達のやりとりが、コミカルさの中にリアル感があった。山田が採用された舌の敏感さがあまり発揮された場面が少ないのが残念。濃いキャラが多くて飽きない。どちらかといえば、料理より恋愛話が主軸。

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著者プロフィール

安田依央
大阪府生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。二〇一〇年に『百狐狸斉放』で第二三回小説すばる新人賞を受賞し、一一年に単行本『たぶらかし』として刊行。
他の著書に『終活ファッションショー』『ひと喰い介護』、「人形つかい小梅の事件簿」シリーズがある。

「2023年 『出張料亭おりおり堂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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