あの家に暮らす四人の女

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの通り一軒の古い洋館に住む4人の女のお話。
    鶴代・佐知親子と佐知の友人雪乃とその後輩多恵美。たまたま一緒に住むことになったんだけど、なんだか楽しそう。家族ではないけど、同じ家に住んで一緒にごはん食べて、日常を共有していれば、家族のようなもので。血のつながりって大切と思っているけど、実はこだわるところでもないのかも。逆に本当の家族よりも程よい距離感と優しさや気遣いがあって、かえってうまくいくのかもね。
    ただただ普通の暮らしに、ほっこりします。会話が面白くてくすっと笑ってしまったり。この普通の暮らしの中にも突拍子もない事件(?!)が起こったりします。河童とかカラスとか、ちょっとびっくりするけど、面白い。そして色々あっても、女たちの毎日は続いていくのです。
    気心の知れた仲ならこんな風に一緒に住んでみたいなぁと思うけど、実際にはなかなか難しいよね。この物語の4人はそれぞれがいい具合に違っていてぶつかることがなさそう。なにげに奇跡のバランスなのかも。

  • アラフォーで独身の佐知、その母鶴代、佐知の友人の雪乃、雪乃の会社の後輩の多恵美。
    4人が暮らす古い洋館で、静かに日常が繰り返される。たまに不思議なことが起こりながら。

    淡々と4人の女性の日々を描いているかと思いきや、河童のミイラ(偽物)が出てきたり、カラスがいきなり語り手となったりと、ファンタジー感が一気に高まる場面もあり、まるでアトラクションのような飽きさせない長編。

    どこか浮世離れした呑気さの鶴代や警戒心のなさすぎな多恵美など、個性豊かな彼女たちの会話が面白い。

  • 木暮荘物語が好きな私にとって

    何人もの人間の共生

    というような背景の、小説は
    好物と捉え、タイトルで選んだ作品。

    途中、まさかの展開に
    驚いたけれど、
    万城目作品を読み続けていた今の私には
    案外すんなり受け入れられる程度のファンタジーでした。

    振り返ると
    ちょっと笑っちゃう。

    けれど
    泣ける。

    やっぱり、三浦しをんさんの作品は
    気持ちがあったかくなります。

  • 設定に興味をそそられ、笑える所があり、楽しめた。全体的に何だこれはが続いて、恋愛したことない女性目線何だろうと、ひしひしと伝わってきた。この方のエッセイとしてなら面白いのだが、最近の作品ではずっとこんな感じ。

  • 母娘と友人、その後輩。女四人がひょうんなことから同居を始めた都内の洋館。母娘を昔から見守る老人や異界の目も入りながら、大小様々な事件をまったり乗り越え、ゆっくり変化する日常。居心地の良さの中にも、遅かれ早かれ変化するであろう環境に揺らぎつつ、これからも「でも幸せ」なのだろうと思う。「昔あんなことあったよね」と幸せな日々を回想するのが現在進行形であるかのような。今それをわかっていて良かったと思えるような。こんなシェアハウスっぽい老後、あこがれるかも。でも現実には資金面との闘いだろうな。

  • 杉並の老朽化した洋館に住む母娘。娘は40才を目の前にしているが独身。あくせくしなくても生きていけるだけの資産は有るが、大富豪というわけでは無くひたすら目減りしていくばかり。何故か縁もゆかりもない女性二人が居候をしており、4人で仲良く暮らしていくのでありました。
    男ばかりで4人で暮らしているというとなんとなく殺伐とした雰囲気になりそうですが。年齢がばらけた女性4人だと楽しそうな雰囲気が。まあ女性の方が寄り集まるとトラブルになりそうなイメージ有りますが、他人だと逆にいい具合に気を遣い合って楽かもとも思います。
    超常現象もぼちぼち有りながら牧歌的に話が進んで行くので、何も考えず楽しく読むのが吉という本でありました。
    何故か昔から離れに住みついて、ご家族をお守りする使命を勝手に請け負っている山田老人が一番好きです。

  • すごい良かった!パキパキした語り口と声を出して笑ってしまう可笑しさと。さらに、最後の父のナレーションには、少し泣きそうにもなった。カラスのイデアは、村上春樹の騎士団長と似てる感じがした。イデアってそういうものなの?

  • 古い洋館に住む4人の女性たち。親娘、娘の友人、友人の後輩。まるで「細雪」の姉妹のように暮す女性たちの日常が描かれています。ストーカー騒ぎだったり、雨漏りだったり日常がのんびり過ぎていく。物語の中心の佐知は不器用でついつい応援したくなるし、その友人の雪乃との友情も近過ぎもなく遠くもなくちょうどいい。4人の女たちがそれぞれ魅力的で、こんな共同生活はおとぎ話のようで、ありえないと思いながらあったらいいなと夢見てしまう。三浦しをんさんのお話はいつもどこかくすっと笑いを誘います。最後までほっこりした気分になれるステキな小説です。

  • あらすじ
    東京の阿佐ヶ谷。新宿までは10分だけど、駅からは徒歩20分のお化け屋敷なみの古い家。38歳刺繍作家の佐知、母の鶴代、佐知の友人雪乃、雪乃の後輩多恵美が暮らす。離れには使用人の息子だった老人山田。ある日は、開かずの間からカッパのミイラを見つけてしまったり、あるときは多恵美の元彼問題を解決したりしながら暮らす。

    軽ーく読める。何か発展があるとか、前に進むとかはあまりない。ただただ女4人の暮らしをふつーに書いている。東京なのに、よく育つ畑とか、デパート行くのに一大事とか、お風呂上がりに部屋に上がり込んでうだうだしゃべるとか、ドラマにしたら面白そう。深夜枠のゆるい時間に。

  • *謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声―古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』*

    タイトル通り、4人の女の共同生活をゆるゆると綴った物語。途中まではよくある内容でさらっと読みましたが、語り手が変わった途端、見える情景が変わりました。この世にはない多くのものに見守られているー普段は気付きもしないこのことに胸を突かれます。やさしい読後感、さすがです。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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